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ゼレンスキー大統領に学ぶ人脈構築術

<ゼレンスキー大統領の行動力>

ウクライナのゼレンスキー大統領は2023/5/19、サウジアラビアのジッタで、22か国・機構が加盟するアラブ連盟の首脳会議に出席しました。「侵略者に自国の3分の1を譲り渡すことに賛成する人はこの中に誰もいないはずだ」演説では戦乱が続くアラブ圏の国々を列挙し、戦果が広がるウクライナへの連帯を呼びかけました。 

続いて、2023/5/20,21に突如広島を訪問し、G7サミットの後半の主役となりました。30時間の滞在中に巧みな外交を展開して、欧米からの追加の軍事支援を取り付け、新興国にも自国の支援を訴えました。
まずインドのモディ首相と会談し、グローバルサウスの盟主を自認するインドに「問題解決のためにできる限りのことをする」との回答を引き出しました。
続いてインドネシアのジョコ大統領と会談し、ロシア軍の全面撤退を柱とする和平案への支持を訴えました。

今回の一連の移動でゼレンスキー氏は、西側の支援拡大に向けたG7各国との結束を強めるため、様々な手配をしています。
まずフランス専用機の派遣を要請しました。マクロン氏は4月に訪中するなど独自の外交方針を取り、ウクライナ問題でもロシアに融和的になりかねないとの懸念が出ていたタイミングだったため、フランスを対露強硬派に引き込む狙いがありました。タラップに降りたゼレンスキーが乗り込んだのはドイツBMW製の黒い防弾車でした。これでドイツとの結束を演出しました。

バイデン米政権は2023/5/20、欧州の同盟国によるウクライナ軍への米国戦闘機F16の供用を容認する姿勢を示しました。 
2023/5/20夜にサミット会場の宇和島に入ったゼレンスキー氏が真っ先に会ったのはイタリアのメローニ首相とイギリスのスナク首相です。両首相はG7でもとりわけロシアに強硬な立場です。スナク氏は米戦闘機F16を巡り、バイデン米政権が欧州同盟国からの供与容認に方針転換する過程で大きな役割を果たしました。
ホスト国である日本にも配慮しました。岸田首相とともに訪問した広島平和記念資料館で、「現代の世界に核による脅しの居場所はない」と記帳しました。

一方、しっかりと会う人に優先順位をつけていました。ブラジルのルラ大統領はG7開催中にゼレンスキー大統領と会談しなかった理由について、「本人と話したかったが、約束していた時間に向こうが来なかった」と発表しました。ルラ氏の発言は中露よりの内容が目立ち、会談の優先順位が低かったためです。 
 
自国に帰国しても動き続けました。2023/5/23、ウクライナに侵攻するロシア軍との戦いの最前線となっている東部ドネツク州を訪問しました。ウクライナ大統領府によると、前線を指揮する部隊幹部と面会して報告を受けた他、兵士を激励しました。兵力の強化についても言及しました。

<移動距離は25000キロ以上>

ゼレンスキー大統領は2023/5/19-5/23で自国がロシアの侵攻を受ける中、超長距離移動を実施しました。この5日間での移動距離は25000キロ以上です(キーウ→ダッタ(2500キロ)→日本(9000キロ)→キーウ(12000キロ)→ドネツク往復(1500キロ)。Googleマップで測っておりますので、正確ではありません。ご了承ください。) 

<リアルにこだわる>

G7参加は岸田首相が2023年3月にウクライナを訪問した際に、ゼレンスキー氏にオンラインでの参加を要請しました。しかし、ゼレンスキー氏はリアルでの参加にこだわりました。日本政府はサミット開幕前日の5/18、ゼレンスキー氏のオンライン参加予定がウクライナ側の事情により5/21になると発表し、5/20AMにG7のスケジュールを変更し、5/21にゼレンスキー大統領が対面参加するセッションを開催することになりました。
この一連の流れを見ても、直前までオンライン参加だったことが分かります。ゼレンスキー氏がリアルにこだわった結果、G7のスケジュールが変わったのは明らかです。 

<事実を写真をしっかり残す>

ゼレンスキー氏が外交に優れている特徴の一つとして、リアルで会い、その上で写真を撮って公開していることだと思います。G7サミットでも議長国である岸田首相の横に並び、G7でないにもかかわらず中心にいることを印象付けました。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71206190S3A520C2MM8000/

東部ドネツク州でも、しっかり前線の部隊幹部と写真を撮り、アップしております。

​​https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR240200U3A520C2000000/
 
<人を残す仕事が最上>

近代日本の政治家、後藤新平氏は『財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すを上とする』と人を育てる価値を説きました。『金を配るを下、信を築くを上とする』とも述べました。

<ゼレンスキー大統領に学ぶ人脈構築術>

ロシアとウクライナの戦争が始まってから1年3ヶ月以上が経過しております。当初は1週間で決まると言われていた戦争がこれだけ長期化している原因の一つとして、予想外のウクライナの善戦があると思います。その主な要因は、ゼレンスキー大統領の外交努力だと私は考えます。
後藤新平氏の「人を遺す」ためにはまず「人をたらす」必要があります。その点でゼレンスキー氏は「人をたらす」天才かもしれません。F16の供与も含め、欧米諸国があれだけウクライナに武器を供与しているのはゼレンスキー氏の功績だと思います。 
ただ、特筆すべきはゼレンスキー氏は2019年5月に大統領就任しましたが、2018年3月から政治活動を始めたばかりで、政界の人脈が全くなかったにも関わらず、ここまで人脈を広げたことです。

ここから学ぶべき点は、人脈を構築するにはたとえ厳しい状況であろうが、忙しかろうが人に会いに行くことだと考えます。また会ったことを写真に残し、他の人に広めることだと思います。
世の中で人脈を広げたいと考えている社会人の方は多くいらっしゃいますが、なかなか実現していない方を見かけます。「仕事が忙しい」「コロナで会えない」「遠方なのでまた今度」という様々な理由をつけて人に会うことを避けていませんでしょうか。
ゼレンスキー氏ほど忙しい人はいないと思います。戦時中の大統領より危険に晒されている人はいません。ウクライナより遠い友人は滅多にいません。この行動を見ると人に会えない理由は『全てが言い訳だな』と反省しました。
私もできる限りリアルで日本全国のメンバーに会いに行きます。また会った時に写真を撮り、ポータルサイトにアップし、その内容を月例会等で発表しています。この活動を2年半続けただけで人脈は相当広がりました。人脈が欲しいと思っている方は是非実践してみてはいかがでしょうか。ゼレンスキー氏とまでは言いませんが、いい人脈が獲得できる可能性が高いと思います。


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