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働かなくてもいい国日本

日銀が2022/3/17に発表した2021年10〜12月期の資金循環統計(速報)によると、2021年末時点での家計の金融資産は前年同期比4.5%増の2023兆円と、初めて2000兆円台を超えました。最も多かったのは現預金で1092兆円、全体の54%を占めました。金融資産が初めて1000兆円を超えたのは1992年で、30年かけて2倍になりました。家計と企業の金融資産は新型コロナ対応の給付金などで預金が増えたため、2020年3月末と比べてそれぞれ200兆円ほど増えました。
欧米と比べると家計の金融資産に占める現預金比率は日本が突出しています。アメリカは1割、ヨーロッパは3割と、日本の5割を下回ります。金融資産のうち投信は20%増の94兆円と過去最高を更新したものの、要因は株式相場の上昇です。株式も15.5%増と大幅に伸びましたが、金融資産全体に占める比率は1割程度です。
 
高齢化率で世界トップを走る日本で、1世紀を生き抜いた人々が示すセンテナリアンが急増しています。国立社会保障人口問題研究所の推計によると、日本の100歳以上は2050年に53.2万人になります。60歳以上が有する金融資産を推計したところ2019年時点で約1210兆円で、日本の6割の金融資産を60歳以上が有しています。ニッセイ基礎研究所の試算によると60歳以上の消費総額は2010年頃から年1兆円規模で増え、2030年に家計消費の約半分111兆円になります。
米ハーバード大学のデビット氏は2020年、労働・ボランティア・孫の世話など欧米の高齢者の経済的貢献度がGDPの7.3%に相当すると算出しました。日本の2020年のGDPで見れば、建設業の5.9%や小売業の5.7%を上回ります。
日本では65歳以上の労働参加率が25%と、アメリカの20%、ドイツの8%よりも高いです。内閣府の調査では65歳を超えても働きたい人が7割に達します。日本の高齢化率は29.1%と先進国で突出して高く、これが社会保障費の増大を招き、財政や家計を逼迫させる要因となってきました。 
 
OECDによると、過去30年間でアメリカの名目平均年収は2.6倍、ドイツやフランスも2倍程度に増えましたが、日本はわずか4%の上昇です。岡三証券の試算によると、毎月1万円を日経平均株価に投資し続けた場合の長期運用利回りは、1980年代開始だと2%程度であるのに対し、2013年以降なら5〜22%になります。
 
日本は2021年経常収支が15.4兆円ですが、2022年度には原油高の高騰や円安等により4兆円程度まで減少すると見られています。今までは自動車等の貿易で黒字が常態化しておりましたが、今後はもしかすると円安、貿易赤字による経常赤字の可能性もあります。
 
2022年4月から高校の家庭科で金融教育が必須となりましたが、金融庁を中心として家庭の資産運用を活発化させたいとする政府の思惑が見え隠れします。理由はこの金融資産2000兆円です。2000兆円をROE平均の8%で運用できた場合、160兆円が毎年資産運用益として計上されます。日本のGDPが2021年540兆円だったことを考えると約3割です。実は日本の3割は、働かなくてもこの資産運用益だけで食べていける計算なのです。現実は上記に記載の通り、100兆円以下しか運用されていないため、GDPの上乗せができず、働かなければならないのです。
 
仮に60歳以上にベーシックインカムとして生涯の生活保障をする代わりに金融資産の運用をさせてもらえるとしたら、1210兆円の元手で資産運用ができます。極端な仮説ですが、これを年率8%で運用させると97兆円の運用益が出るため、ほぼ国家予算となります。あと10兆円程度を経費削減できれば、計算上は働かなくていい国になります。
働きたい人だけが働き、働きたくない人は働かず、やりたいことをやる。それはある種の理想郷だと思いますが、理論上は実現できるのです。
 
まだ資産運用を始められていない方も多くいらっしゃると思いますが、長期分散投資でやれば、世界経済が上向いている限りは長期では高確率で利益がでます。リスクの高い投資をする必要はありません。インデックス投資で十分です。投資にリスクはつきものですので最初の一歩は怖いかもしれませんが、100年人生幸せに生きるためにぜひ資産運用にチャレンジしましょう!



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