見出し画像

出生数が示す日本のあるべき姿

厚労省は2022/5/24、2021年度の人口動態統計を発表しました。出生数は2020年度と比べて約3万人減の81.4万人で14年連続減少、過去最少を更新してます。国の2017年時点の将来推計では2021年は約87万人のはずでした。2022年の3月でも出生数が上向く兆しはありません。また、2022/6/3には1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率が2021年は1.30で、6年連続で低下したと発表しました。15〜49歳の女性人口の減少と、20代の出生率低下を理由に挙げます。 
出生率は2005年の1.26が過去最低ですが、1.30は過去4番目の低さです。1.5未満が『超少子化』水準で1.3未満はさらに深刻な状態です。東北大学の『子ども人口統計』によると子供の減少率がこのまま続くと、2966年10月5日に日本人の子供は一人となり日本は消滅します。 
 
出生から死亡を引いた自然減は62.8万人と過去最大になりました。国立社会保障・人口問題研究所の予想を上回る速さで進む出生減が原因です。
生産活動の中心を担う20〜64歳の人口数は、2040年までの15年間で平均すると毎年東京都練馬区の人口に匹敵する約73万人減少します。 
 
2021年度の婚姻数は2019年比約10万件減の50.1万件で戦後最少です。婚姻数の減少は将来の出生減に直結します。晩婚化、晩産化、コロナ禍によって人との交流が減った他、結婚を控える動きが出ていることが大きな要因と考えられます。
2015年の出生動向基本調査によると、未婚女性で『結婚せず仕事を続ける』と答えた人は増え続け、『結婚しても子供を持たずに仕事を続ける』と合わせると25%と、未婚女性の1/4が出産する人生を想像していない状況です。
既婚女性が子供を持たない理由として、『子育てや教育にお金がかかりすぎる』と答えたのが8割に達しました。子育て支援に係る日本の家族関係社会支出は2019年のGDP比で1.7%にとどまり、出生率が比較的高いスウェーデン(3.4%)やフランス(2.88%)には遠く及びません。 
 
コロナ禍で出生数が減る現象は各国共通ですが、2021年は上昇傾向です。アメリカは2021年に約366万人出生し7年ぶり増、出生率も1.66と上昇、フランスも出生率は1.83%で上昇、ドイツも増加する見通しです。
 
人口統計は確実に将来を読める数少ない指標となります。今0歳の人は20年後に確実に20歳になります。逆に言うと今の0歳児の人数が20年後の20歳のMAXの人数ということです。この20年間で亡くなる方もいらっしゃるとは思いますが、日本の2042年における20歳の人口はMAXで81.4万人であることは決まっております。
マスコミでは出生率が脚光を浴びますが、今後は出生数の方が重要となります。なぜなら出産適齢期の人口自体が減るため、例え出生率が2を回復したとしても、母集団が減っているため出生数が減り続けるからです。
そして都市化が進んだ各国で共通していることですが、出生率は減少する傾向にあります。理由は都市に住めば便利なため、一人で暮らしていても問題がないからです。田舎であれば楽しむにも人と楽しむしかありません。しかし都市であれば人と交わらなくても楽しむものがいくらでもあります。その結果都市化が進めば晩婚化、晩産化が進んでいき、少子化が進む傾向にあると言われています。日本の都市居住率は先進国の中でもトップの9割です。そのため少子化が進んでいることはある意味避けられないことかもしれません。
 
GDPは簡単に示すと『一人当たり生産性×人数』で決まります。人口統計から人数が減ることは確実です。そのため GDP を維持、向上するには一人当たり生産性を上げるしかないのです。日本の1970年代の高度経済成長はベビーブーマー世代の人数増によってもたらされました。一人当たり生産性の上昇によるものではありません。
ここからわかることは、日本のあるべき姿は今までの過去の延長線上にないということです。今までのやり方を踏襲していたのではジリ貧となります。大企業や公官庁では前例踏襲が基本となり減点主義が横行しておりますが、それでは日本の将来はないのです。むしろ『前例を疑ってかかる』『何が悪かったのかを検討して新しいことにトライする』『加点主義が基本』というのが今後の日本のあるべき姿なのではないでしょうか。

新しいことにトライするのは非常に難しいです。頭も使いますし、覚悟も必要です。そういう意味では非常にやりがいのある時期に今の日本はいるというポジティブな考え方もできます。私も自分の行動が前年踏襲となっていないか、まず自分のことから見直してみようと思います。是非皆様も将来の日本のために、新しいことにトライしてみてはいかがでしょうか? 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?