見出し画像

お金に関する公的制度を知ろう~その1~

以前のNIKKEIプラス1で特集記事として「知らなきゃ損するお金の制度」が取り上げられていました。
どうしても「備え」と言うと民間の保険に目が行きがちですが、公的制度は非常に手厚い保障となっております。しかも皆様が毎月社会保険料として多額の保険料を給与天引きで支払っておりますので、利用しないというのはおかしな話です。
保険の難しい点は、目に見えない点です。多額の保険料を払っているのに補償内容を知らないという話はよく聞きます。高額資産を買っているのにそのものが何か知らないというのは非常に不思議な話です。ぜひ多額の社会保険料に見合う保障が何なのかを確認しましょう。 今回は1位~5位です。

<1位 高額療養費制度>
毎月の医療費に上限を決めておき、これを超える負担が生じた場合に払い戻してくれる制度です。医療費が月に100万円かかっても、健康保険で30万円になり、さらにこの制度で最終的な負担は9万円になります。勤め先の健康保険組合が「付加給付」というもう一段の上乗せを用意していれば2万円程度に抑えられます。事前に入院などがわかっている場合は「限度額適用認定証」という書類を取っておけば立て替えもいりません。
入院等大きな病気にかかった場合、まず「月額10万円を超えることはない」ということを認識しましょう。「10万円を超える場合はこの高額医療費制度を使う」 と思って頂ければと思います。

<2位 年金受給の繰り上げ、繰り下げ>
公的年金は原則65歳からもらいますが、60~70歳からの受け取りも選べます。早くもらえば繰り上げ、遅くもらえば繰り下げです。繰り上げると一か月ごとに年金は0.5%減り、繰り下げると一か月ごとに0.7%増えます。計算すると年金は60歳に繰り上げれば30%減、70歳まで繰り下げると42%増です。2022年からは延長が75歳まで繰り下げられ、84%増になります。
上記「定年後の働き方」でも記載した通り、人生100年時代、シニアの方々も定年以降働く時代となりました。年金の受給額と所得を合わせて自分のライフスタイルを考える必要があります。自分が生活費としていくら必要なのかを計算し、適切な年金受給を心がけましょう。

<3位 年金保険料の免除・猶予>
国民年金は20歳以上が強制加入となりますが、学生で収入が十分ない、社会に出た後でも失業などで保険料を払う余裕がない場合は、保険料の全額または一部の免除、猶予の手続きがあります。免除猶予期間も年金をもらうのに必要な加入期間10年の一部と扱われます。10年以内であれば後から保険料を納めることもできます。
未納は意味がありません。未納にするぐらいであれば、免除申請をして免除を適用したほうが有利です。大学生の息子さんがいるお父さんお母さんは、ぜひ子供に免除申請を教えてあげてください。

<4位 iDeCo(イデコ)>
公的年金に上乗せして、個人が任意で加入する私的年金です。基礎年金(1階部分)、厚生年金(2階部分)で足りないと思う人の3階部分になります。掛金、運用益、給付を受け取る時に税優遇があります。掛金が全額所得控除、運用益も非課税と有利です。2022年には加入できる年齢が60歳から65歳に、受取開始年齢も75歳まで拡大されます。
iDeCoに関しては、過去のメルマガ( YCS No38,39,44)でも取り上げており、企業版DCが適用対象外の会社員の方はぜひ加入しておくべき年金です。普通に株の運用をされている方であれば、まずiDeCoで運用した方が所得税分だけ確実に節税になります。 
 
<5位 傷病手当金>
健康保険組合などに加入する会社員等が、業務外の病気やケガで働けないときに受け取れます。給与の2/3程度が最長1年半支給されます。
傷病手当金があるのに民間保険に手厚く入る例が多いです。傷病手当金と自分の加入している保険の補償範囲が重なっていないか確認しましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?