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環境世界大統領?

<平均気温は上昇の一途>
 
日本の国立環境研究所は人工衛星で大気全体の濃度を測定し、2021年平均は1875ppbと過去史上最高と発表しました。年間の上昇幅もこの10年の平均8ppbの2倍以上となる17ppbで過去最大となりました。米海洋大気局(NOAA)も同様の結果を発表しております。 
 
メタンは天然ガスの主成分で、20年間の温暖化効果はCO2の約84倍あります。地表付近の濃度は18世紀頃まで700〜750pbbでしたが、人間活動で上昇し現在は1800ppbを超えています。世界の平均気温は産業革命前から1.1度上がり、その2〜5割がメタンによるものとみられています。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)はメタン排出削減で気温上昇のピークを抑えられると分析しています。
2021年秋、欧米が指導し日本を含む100カ国以上の国・地域が、人間活動に伴うメタン排出削減に取り組むグローバル・メタン・プレッジを立ち上げました。2030年までに2020年比で30%以上減らす目標を掲げ、2050年までの気温上昇を0.2°抑えます。
 
メタンの排出源は人間活動と自然由来に大別されます。人為的排出は、天然ガスや石油といった化石燃料の採掘や輸送、畜産や水田といった農業分野、生ゴミなどの廃棄物から発生し、排出量の測定は比較的容易です。一方、自然由来は排出量の推定が難しいです。従来2つはほぼ同等と見られていました。国際エネルギー機関によると2021年のエネルギー分野のメタン排出量は1.3億トンです。
 
<気温上昇による損害も甚大>
 
イングランド銀行は2022/5/24、英大手金融機関19社を対象にした気候変動リスクを測るストレステストの結果を発表しました。政策対応が全くなされず地球温暖化が最も過酷に進むケースでは、2050年までの累計で3346億ポンド(約53兆円)の関連損失が生じるとの推計を示しました。
 
欧州中央銀行は2022/7/8、気候変動が銀行経営に与える影響を分析したストレステストの結果を公表しました。温暖化対応で企業への融資や保有する資産が毀損した場合、損失額は700億ユーロに達する可能性があると試算します。 
 
デロイトトーマツグループがTOPIX100社を調査したところ、61%が有価証券報告書などで気候変動によるリスクや収益機会に言及していました。コーポレートガバナンスコードも開示充実を求めており、今後は情報を経営にどのように活かすかも焦点となります。海外では米S&P500の構成銘柄のうち56%、英FTSE100構成銘柄の94%が気候変動問題の情報を開示していました。役員の短期の業績連動報酬にESGの実績を反映させる動きも広がり、イギリスは77%、アメリカは60%に対し、日本は15%です。 
 
<外は危険>
 
世界中でこの夏熱波が襲ってきております。スペインでは50度、フランスでも40度、日本でも6月に40度を超えるなど各国で気温上昇が明らかです。日本は7月に入ってから一旦梅雨に戻ったため気温上昇は抑えられましたが、夏休みに入り今後の気温上昇が予想されます。
気象庁の定義によると最高気温が25度以上が夏日、30度以上が真夏日、猛暑日が35度以上ですが、最近では夏日が春に計測されることも多く、夏はほとんどが真夏日もしくは猛暑日となります。体感としては定義を改定し夏日を30度以上、真夏日を35度以上、猛暑日を40度以上とした方が現状と合ってるような気がします。
自分が子供の頃は夏休みに家の中にいたら『もやしっ子になるよ』と言われたため、よく公園に遊びに行きました。蝉も取りに行きました。親となった今では『日中は外に出ては危ないから、公園に行くなら夕方にね』と子供に言ってる始末です。親としてはこの炎天下の中、子供を外で遊ばせることに対しては危機感すら覚えます。こう考えると確実に住みにくい世の中になっていると感じます。
 
地球温暖化の話は私が子供時代の頃から既に出ていました。アメリカのゴア元副大統領は1970年代から半世紀に渡ってこの地球温暖化について取り組んでいます。2006年に発表した『不都合な真実』から15年以上が経過し、その当時に発表した以上に不都合な現実が実際の世の中となっています。このまま行けばCOPが予想する通り、2050年には人類が住むことが難しい地球となってしまいます。 
 なぜ人類は不都合な真実が現実になると分かっていても行動できないのでしょうか?私見ですが、やはり『自分ごとではない』と考えているのが一番の原因なのではないでしょうか?2050年は自分が生きているとはいえ今の方が重要だと考えます。『そのうち何とかなるさ』という将来への淡い期待、また『将来別の人が何とかしてくれるさ』という自分の責任ではないという考えが、結局この半世紀にもわたりこの地球温暖化を放置し続けた原因なのかもしれません。 
 
<環境世界大統領のトップダウン>
 
COPが開かれこの問題を毎年話し合っていますが、先進国と発展途上国の間で解決策が出ていません。新興国を代表する中国、インド等は自国の経済発展を優先させたい、そもそもこの地球温暖化を進めたのは先進国の責任だと考えています。先進国は過去は変えられないので、今及び将来を変えるために CO2排出量の多い新興国を止めたいと考えています。考えている前提が全く違うため議論が噛み合わない状況です。 
 
でもやらなければ人類は地球に住めなくなります。各国がエゴを言っている場合ではないのです。部分最適を求めるのではなく、孔子がいう『仁』に基づく全体最適を求めるべきではないでしょうか。
もし私が国連の事務総長だったら、国連改革を行って環境分野における世界大統領を作ります。常任理事国の上の地位となり国連加盟国は世界大統領の命に従うこととします。そして初代環境世界大統領にスウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏を採用します。私が考えるに、彼女が一番この問題に対して真剣に取り組み、実行する具体策を持っていると考えているからです。サポート役としてゴア元副大統領を任命し世界各国との交渉役を担います。
話し合いは重要だと思います。ただし決まらない場合トップダウンで決めるのも必要だと思います。環境分野は話し合いに半世紀かけましたが結局決めきれませんでした。もうそろそろトップダウンでやる時期ではないでしょうか。人類としての覚悟が問われる時だと私は考えます。 


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