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福島第一2号機配管の穴。美浜原発の配管破断メカニズム「流れ加速型腐食」とは状況違う

こちらで福島第一原発2号機の配管で起きたのは「流れ加速型腐食」か?と書いたが、結論から言えば、東電広報の回答として、美浜原発の配管破断とは「全く状況が異なる」ということになる。10月7日東電会見で3日の資料を使い細切れに(リンク切れするが、動画45分目あたりと1時間44分目あたりで)聞いて分かったことを箇条書きでまとめておく。


穴の大きさと水の温度は?

  • 配管に空いた穴は1センチ(先日2センチと書いてしまったが訂正)

  • 配管の厚さは7.1ミリ(規格上の公称値)。

  • 配管を通っていた水(スキマサージタンクから流れて、熱交換器に向かう水)の温度は→「燃料プール水を循環させるラインなので、原発稼働時でも65度以下。熱交換器で冷却してプールに戻す」。

穴が空いた腐食のメカニズムは?

  • 穴は「減肉現象」の中の「流れ加速型腐食」と分類されるものか?→「現時点ではどのようなメカニズムで穴が空いたかは確認できていない。事故後に一度も点検していない。穴が空いた部分は炭素鋼であり、長時間で少しずつ減肉して腐食が拡大したのではないか」

  • 腐食で穴が空いた以上の原因調査は?「復旧する(穴が空いた箇所を補修し、バイパスラインを新たに構築する)中で、線量が高い場所でもあるので、これ以上の調査は難しい」

  • 穴が空いた箇所は、事故前は点検計画に基づいて点検されていた箇所で、肉厚の測定や弁の点検など、一般的な系統の点検は実施していると思うというのが東電広報の見解。減肉検査対象で点検されている箇所だったかは不明。

美浜原発の配管破断の原因「流れ加速型腐食」とどう違うか

2004年8月に起きた美浜原発の破断事件(参考:失敗知識データベース)について、当時の原子力安全・保安院は、炭素鋼配管の腐食減肉現象をいわゆる「エロージョン・コロージョン」と説明。米国電力技術研究所は「流れ加速型腐食」と呼んだ(参考:柴田俊夫氏論文「炭素鋼配管の高温水中腐食機構」)。

  • 今回、漏水原因の穴が空いた配管の穴との共通点は、炭素鋼配管であること。

  • 違いは、今回は使用済燃料プールから受け取った熱を除熱する前の1次系だが最高65度で圧力はかかっていない。美浜原発は2次系配管だが、発電用の蒸気を回しているので、大容量で高エネルギー(高温高圧)。従って、状況は全く異なる。

現在は循環冷却を止めており、蒸発分を補給・注水している。
おしどりマコ記者が、会見中に、直近の注水量を尋ねていた。回答は「9月30日に16.9立方メートル(m3)、10月1日に6.2m3」だった。

使用済燃料プールの循環冷却システムは事故前・事故後で違っている上に、今回の漏えいを受けて事故前のシステムをバイパスさせたり、補給・注水したりしている状況は言葉で表現し難いので、東電資料に書き足して以下を作っておいた。100%表現できている自信がない(自分用メモ以上のものではない)。

2024年10月3日東電「2号機使用済燃料プールスキマサージタンク水位の低下に伴う漏えい箇所特定に向けた調査の結果について」P3をもとに緑枠と下部で説明を加えてみた。

【タイトル写真】

FPC熱交換器室内の配管の状況(10月1日調査時:ドローン撮影) ※調査終了後、漏水は止まっている。(2024年10月3日東電「2号機使用済燃料プールスキマサージタンク水位の低下に伴う漏えい箇所特定に向けた調査の結果について」P1)より


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