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原発の運転期間の延長「要は、お金の話なんじゃありませんか、委員長?」ー衆予算委

2月20日、衆議院予算委員会第6分科会で、くしぶち万里議員が、GX基本方針と原発の運転期間延長の決定プロセスと立法事実について、西村明宏環境大臣と山中伸介原子力規制委員長に、30分間にわたってジワジワと問い質していった。

くしぶち議員:原発事故はまだ収束していない。緊急事態発令中。帰宅困難区域から避難した3万人が帰れない。安全神話を繰り返してはならない。そのために国は、原子力の推進と規制を分離し、独立した組織として新たに発足したのが原子力規制委員会であり規制庁。しかし、2月10日、岸田政権は原発推進に大きく舵を切り、安全神話が復活しかねない内容を盛り込んだGX基本方針を閣議決定した。環境大臣に問う。原発依存度をできるだけ低減する方針は変わりないか?

環境大臣:変わりはございません。

ここから先のくしぶち議員の問いの一部を抜粋するが、西村大臣と山中委員長がなんと答えたのかは、以下の動画(該当箇所を頭出し)をクリックしてご覧になることをオススメしたい。

くしぶち議員:環境大臣に問う。2月8日に反対意見が出されているのに、なぜ、結論を待たずに10日閣議決定をしたのか。独立性をもつ委員会の決定をなぜ尊重しなかったのか?

くしぶち議員:委員長に問う。2月13日臨時会では新たな制度案を異例の多数決によって決定。その後、委員長は「法案のデッドラインがあるから」と釈明した。事実か?

くしぶち議員:委員長に問う。2月15日の予算委員会で、岸田総理は、運転期間の上限は原発の安全規制のためだったと答弁している。実際に原子炉等規制法は第43条の3の32に定められており、成立時は安全規制だったことは紛れもない事実だったということで間違いないか?

くしぶち議員:委員長に問う。規制委員会ができた経緯、そして、原子炉等規制法の新しいルールが決まった時のことを振り返ると、規制行政を原子力規制委員会に一元化するのとセットで決まったのが新しい原子炉等規制法だ。つまり、原子力規制委員会の発足と、運転期間の上限はセットであった。つまり、運転期間が全削除されれば、原子力規制委員会の存在意義に関わるものだ。今回G X基本方針に従って運転期間を全削除された法案が出るが、「立法事実」は何か?

くしぶち議員:どのような経緯だったのか見ると、3つの段階がある。

  1. 2017年、事業者が意見交換会で、運転期間から一定の期間を削除と提案。

  2. 2019年、経団連が不稼働期間を運転年限から除外し、運転期間を60年越えにすることを提案。

  3. 2021年4月14日の原子力小委員会(経産省)で、電気事業連合会から安全対策投資の回収が厳しいから運転期間を見直してくれと要望。

要は、今回の原子炉等規制法が改正される本質は、安全のための投資が嵩むから、費用を回収するためには運転期間の延長が必要だという電力会社からの要望。要は、お金の話なんじゃありませんか、委員長?

(略)

くしぶち議員:どうにも腑に落ちない。環境大臣、どうして原子炉等規制法から運転期間を全削除するのか?(↓以下、この部分からの頭出し)

【視聴の感想】

この原子炉等規制法から原発の運転期間を削除する束ね法案は、G X基本方針の閣議決定に続き、2月下旬に閣議決定する予定だった。しかし、2月17日の閣議後に、岸田首相が環境大臣と経産大臣に「国民の皆さまの不安を払拭していくためにも、国会審議などにおいてしっかりと説明ができる準備を進めた上で法律案の閣議決定を行うべき」と指示(既報)。今日の質疑を見る限り、全く説明になっていない。閣議決定は無理ではないか。

【タイトル写真】

上記「くしぶち万里の国会質問!衆議院・予算委員会 第6分科会 環境省・原子力規制庁(2023年2月20日 10:00頃~)」の動画のスクリーンショット(筆者)。

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