臨時会見 #福島第一原発2号機燃料デブリ
2024年9月5日11時から、「2号機燃料デブリ試験的取り出し作業中断に関する 原因と対策」(2024年9月5日)の臨時会見があった。3時間。
夕方の定例会見で不明点を確認後、2度以上加筆(9月5日18時56分)。東電資料から図なども加えた(9月6日9時半頃)。
0. 会見開始後3時間目に明らかになった三菱重工の虚偽・隠蔽
小野明・福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントが退席後、共同通信記者とおしどりマコ記者が最後に食い下がって質問したことで分かったことがある。元請企業である三菱重工の工場から福島第一原発2号機へと、燃料デブリ試験的(3g)取り出しに必要な「押し込みパイプ」を搬入して組み立てる作業の報告について。
作業は7月27日と28日、2日で行うことを予定していた。
しかし、実際には29日まで計3日かかった、ということ。
概略は次の通り。
27日には「押し込みパイプ」5本を仮置き場からテレスコ式装置近くに持っていくべきところ、1本(①)だけが取り残されていた。(しかし、運搬作業は終了したと報告)
28日には、5本目がないことに気づかないまま4本(②③④⑤)にケーブルが挿入された。気づいた一人の元請工事担当者が残りの1本(①)を仮置き場からテレスコ式装置近くに持ってきたが、番号を確認せず、これを②と誤認した。
29日、同じ元請工事担当者が、遠隔操作室福島第一構内の事務所にいる(と夕方会見で広報が訂正)三菱重工の「設計担当者」と相談をして(太字はリリースにはない)①②③④⑤とつなぐべきところ、②③④⑤➕①だったのを、⑤と①を入れ替えて、②③④①⑤とした。【加筆】つまり、作業員らの頭の中では②③④は同じ形状なので、①③④②⑤で問題解決したと認識していたが、実際は②③④①⑤になった。同日、別の元請工事担当者が、「適正に配置したと思い込み、押し込みパイプの順番を直接確認しなかった」。30日、東京電力監理員は訓練通りと考え、順番通りかどうかを確認しなかった。
元請の三菱重工から東電には作業は28日に終了したと報告があった(作業日誌に記載されていた)と広報(高原さん)は言うが、もしそうなら「隠蔽だ」「虚偽報告だ」と両記者から批判があがった。(夕方の定例会見で「終了」の意味が報告側と受取側で明確ではなかったの説明もあり。)
そして、8月22日に至るわけだ。
・そんなわけで、養生材が番号を塞いでいて、それが気づかなかった一因になったのではないかと疑問視されていたが、結果的に、運び込みの時点やケーブル挿入の時点で、一度でも誰かが養生材をめくれば、防げた事件だった。
・7月30日、最終確認を行った「東京電力監理員」の落ち度も見逃せない。
・東電は「パイプ運搬といった運搬・開梱等の一般的な準備作業、及び十分訓練してい るパイプのケーブル入線作業は、当社が確認することとしていなかった」(資料P9)と記している。会見では「高線量で重装備で退域を急いだ」と繰り返した。
しかし、高線量で重装備は福島第一原発の一丁目一番地だ。
高線量で重装備だからこそ、一般的な運搬、開梱で、パッケージに番号を打って運搬順を決めておきさえすれば防げた(何かが書かれているようにも見えるのだが)。
1.8月22日の調査結果が明らかにならず
順番間違いが発覚した当日(8月22日)の会見で、広報岩本氏は「今日の作業では2mほど進む予定だったが、1.5mの地点まで進んでいる」(既報)と言っていた。当日、何がどうなって発覚したのかまでの調査結果の記載がない。
【加筆 養生を剥がして、形状の違いに気づいたのは8月22日の3班目だったことを9月5日夕方会見でも確認。】調査はこれで終わりではあるまいと聞いたら、終わりだという。しかし、終わりで良いわけがない。
2.1.5mを引っこ抜くところから再開か?
「今日の作業では2mほど進む予定だったが、1.5mの地点まで進んでいる」ということは、作業再開後の最初のステップは、1.5m進んだところから、引っこ抜くところから始めるのかと尋ねたが、これからのこと、と答えなかった。【加筆 押し込みパイプは押し込んでおらず、テレスコが外筒についており1.5mまで入っていると(正直なところまだうまく理解できていない)。】
今後、以下の「現在」から「作業開始」までの流れを辿る予定。
(「押し込みパイプ復旧作業」に「押し込みパイプ入替」と記載されているので、ラックにセットした②を下ろすことも含まれるのだろう。)
3.写真説明こっそり訂正
指摘した写真説明資料(既報)は、今日、何の説明もなく訂正されていた。Before(左:8月22日東電資料)と After(右9月5日東電資料)
なお、9月2日に投げておいた質問についての回答は次の通り。
4.作業員60人の構成 未だ不明
元請、孫請、曾孫請の構成について「現在整理中。まとめて回答する」ということだったが、今日も明らかにならず。再度求めた。
現場は「被ばく線量を考慮して、6人X8班の48人。遠隔操作や待機で後方に12人、計60人で作業が行われた」というのが8月22日の説明だった。
しかし、7月27日は62人、28日は60人、29日は62人という説明。
遠隔操作室はどこにある?と8月22日から聞いていたが、今日になって「セキュリティ上、回答できない」という回答がきた。
5.500kgのパイプ回す訓練「した」
500kgのパイプを人手で回転させる設計 #福島第一原発2号機燃料デブリ (2024年9月3日)で書いたこと。500kgのパイプを90度回転する訓練はしたのか?と聞くと、訓練したという。本当かどうかは、作業が再開されればわかることなので、それ以上の追及はしなかった。【加筆 5日夕方会見後のぶら下がり取材で、90度を反時計周りに回すのは、5本全てを組立てた後であり、回す理由は、それにより、テレスコを降ろす動作になるというものであることを確認。】
訓練は、R装備(以下)で行ったが、組み立て順を間違える始まりである「搬入・開梱」については「一般的な作業だから」訓練しなかったという。お粗末すぎる。
小野明・福島島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントには、当日、柏崎刈羽原発再稼働に向けて柏崎市に出向いていた社長の姿勢について見解を尋ねたが、それはまた後日。
【タイトル画像】
「2号機燃料デブリ試験的取り出し作業中断に関する 原因と対策」(2024年9月5日)より
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?