原発ゴミの行方
お尻を押さえてトイレを探す原発事業者
捨て場のない原発の使用済み核燃料をなんとかしなければ、もはや原発を稼働させることができない。
そんな段階になって、今、原発事業者はお尻を押さえながら、トイレを探しているような姿を見せている。
知らされずに原発回帰
美味しいものをより多く食べた消費者が暮らす都会ではなく、人里離れた場所へと。そのことは、消費者には大々的に知らされることもなく。それなのに、岸田政権はトイレのない原発回帰策を打ち出している。
東京電力のトイレ
東京電力は柏崎刈羽原発の使用済み燃料を、青森県むつ市に作った子会社に「中間貯蔵」させたい。
子会社とは「リサイクル燃料貯蔵株式会社」。東京電力が80%株主、日本原子力発電が20%株主。
この子会社が「リサイクル燃料備蓄センター」(RFS、冒頭写真)を作って、青森県やむつ市に50年の約束で、使用済み核燃料を受け入れさせる。
しかし、「50年」については、同社は「施設ごと(※)の使用期間は50年間とします。キャスク(貯蔵容器)ごとにおいても最長50年間の貯蔵とします」と書いている。「(※)「施設ごと」とは、順次設置する貯蔵建屋ごとをいいます」とも書いている(こちら)。
キャスクを入れ替えて、新しい施設に入れ直せば、永遠に50年を繰り返すことも可能ではないかという疑問がわく。永遠の「中間貯蔵」になり得ないか?
青森県内で住民説明が行われたことを受けて、7月10日に国際環境NGO FoE JAPANらが、緊急報告会をオンライン開催している(動画も資料もこちらから視聴可能)。
FoEによれば、柏崎刈羽原発7号機の使用済み燃料保管プールの貯蔵率は97%にも達しており、柏崎市の桜井市長は「6,7号機のプールの貯蔵率を80%以下にすること」を柏崎刈羽原発の再稼働の条件としている。だから、東電がRFSの稼働を急がせているのではないかと見ている。
不正キャスク問題
つまり、この夏にも柏崎刈羽原発からキャスクに入れられた使用済み燃料が、青森に向けて運ばれるかもしれないのだが、実はこのキャスクを巡っては不正があったがためのドタバタがあったとされる。
不正を行った日本製鋼所M&Eの親会社である日本製鋼所が、報告書を含めた経緯を公開している。
日本製鋼所 M&E(株)における不適切行為による使用済燃料乾式貯蔵容器 品質検査の不適切行為に係る再発防止策の進捗について |
株式会社日本製鋼所 - JSW
また、このことを追っている貴重な大竹進さんがNoteで書いているので、一読していただきたい。
核のゴミ容器(キャスク)は14年前の 中古品で安全なの?~不正が内部告発された「M&E室蘭」製だった|大竹 進
これについては、続報しなければならないが、東京電力に関しては、ひとまずは、ここまで。
関西電力のトイレ
関西電力は高浜、大飯、美浜の敷地内に乾式貯蔵キャスクで「一時保管」したい。参考「核燃料一時保管の乾式貯蔵施設 関電 大飯・美浜原発も申請|NHK 福井県のニュース」。
中国電力のトイレ
中国電力は山口県上関で「中間貯蔵」したいと目論む。参考(使用済燃料中間貯蔵施設|中国電力)
日本政府が使用済み核燃料の再利用(核燃料サイクル)政策を決めているのに、六ヶ所村での再処理は始まらないし、たとえ、一度きりで捨てるとしても、最終処分する場所もない。どれもその先がない、どん詰まりのエネルギーが原子力だ。