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1F汚染水の海洋放出が海外で許される本当の理由(メモ)

9月18日(月・祝)に代々木公園で行われた【集会】「ワタシのミライ NO NUKES & NO FOSSIL~再エネ100%と公正な社会を目指して」(主催:ワタシのミライ、Fridays For Future Tokyo、さようなら原発1000万人アクション)。行けなかったが、UPLANさんの動画配信サイトでその一部を見ることができた。


小出裕章さんが語ったこと

代替案には目もくれず、福島第一原発(1F)事故でトリチウム等に汚染された水を海洋放出することについて、京都大学原子炉実験所におられた研究者、小出裕章さんが以下のように語っていたので、要旨をメモとして残させていただきたい。

なんとしても海へ流すのには実は理由があるのです。日本中の原発の燃料は、青森県の六ヶ所村につくっている再処理工場に送られて、長崎原爆の材料になったプルトニウム239を取り出す計画だった。

ではその時に放射能はどうなるのか。ガラスで固めて核のゴミの本体になるが、トリチウムは全量を海へ流すという計画だった。福島の原発で溶けた燃料は250トンです。青森の再処理工場は毎年800トンの燃料を処理して、それに含まれていたトリチウムは全部流す。それでも安全だと認めていた。その作業を40年続けると許可を与えた。全体では3万2千トンもの燃料を処理して含まれていたトリチウムを海へ捨てるという計画なんです。

トリチウムを海に流していけないと認めてしまえば、再処理工場運転が全くできなくなり、日本の原子力の根幹が崩壊してしまう。(略)原子力を許してしまうのかどうかという根本的な問題に絡んでいる、そういう闘いが今続いている。

20230918 UPLAN動画 より音おこし

経産省は「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」で既に、海外の原発や再処理施設もトリチウムを流しているという図を出してきていた。

経産省 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会
2018年8月30日 説明・公聴会説明資料 P38

裏を返せば

しかし、裏を返せば、原子力を利用する国は六ヶ所村の再処理工場を稼働させようとしている日本も含め、自国の原発を稼働するためには、海洋放出を止められないということを意味する。

「トリチウム」という、水と分離できない放射性物質は、処理に困るお荷物で、早く、安く、水に流したい。原発をやめたくない国は、1F汚染水の海洋放出にはNOとは言えない。それだけのことなのだ。

選択肢が、最初(経産省の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会)から「海洋放出が一番安い」の一択だったのは、ここが出発点だと考えればわかりやすい。

2020年2月10日 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 報告書 P7

ただし、1Fにおける安い(34億円)は嘘だし、2次廃棄物「特になし」も嘘だった。たくさんの嘘で成り立つ海洋放出。小出さんが指摘したように、原発を象徴する根本的な闘いなのだ。

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2018年8月30日経産省 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 説明・公聴会説明資料 P38


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