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原子力推進「束ね法案」閣議決定:提出理由を見よ

2月下旬と予定されていた束ね法案が、2月28日、閣議決定された。

脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法案等の一部を改正する法律案」という。略称は「GX脱炭素電源法」。

さっそく入手した。

5本の束ね法案

法案のタイトルにある「電気事業法案等」の「」には、
・電気事業法に続いて、
・再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法)、
・原子力基本法、
・原子炉等規制法(炉規法)、
・原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律(再処理法)

が束ねられている。

提出法案の読み方

法律案が提出されるときには、(以下、経産省「「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」サイトよりリンク)
法律案概要
法律案要綱
法律案・理由
新旧対照条文
参照条文
が一緒に出てくるが、「法律案・理由」の「理由」(必ず最終ページにある)を見ると、この法案では以下のように書かれている。

我が国における脱炭素社会の実現に向けて、非化石エネルギー源の利用の促進を図りつつ電気の安定供給を確保するため、電気の安定供給の確保等の観点から発電用原子炉の運転期間を定めるとともに、その設置者に対し、長期間運転する発電用原子炉施設に関する技術的な評価の実施及び管理計画の作成を義務付けるほか、使用済燃料再処理機構の業務への廃炉の推進に関する業務の追加、再生可能エネルギー発電事業計画の認定の取消しに伴う交付金の返還命令の創設その他の規律の強化等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」

GX脱炭素電源法案より

全国の国語の先生!

全国の国語の先生! この一文について、生徒になんと言いますか?

これが「束ね法案」の姿です。
大切なことをたくさんの法案を束ねて薄めて国会に提出する。
何が目的かを見失わせる。
相対的に審議時間を縮め、慎重な審議を妨害する。

この法案の肝は、原子力発電所の運転期間(原則40年最長60年)が、炉規法から削除され、電気事業法に移り、60年超の老朽原発の利用も可能にすること
それが、すっかり薄まっている。

岸田内閣が2月28日朝、閣議決定した「GX脱炭素電源法案」の概要

もう一度、束ねた法案を見てみる。
・電気事業法
・再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法)、
・原子力基本法、
・原子炉等規制法(炉規法)、
・原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律(再処理法)

原発のことだけじゃない、再エネや核のゴミの再処理の話が一緒に、山盛りになっている。提出した内閣の責任は重大だ。これを止めることができたはずの与党の責任はさらにそれより重い

しかし、提出された国会側は、これをどう審議するのか。
憲法第41条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
だから、その責任は最も重い

【タイトル写真】

GX脱炭素電源法概要




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