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GX基本方針閣議決定に待った!

GX基本方針が10日(金)にも閣議決定される見込みだったが、待ったがかかったと思われる。

石渡委員「この案に反対します」

今日2月8日(水)の原子力規制委員会の議題1は高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の検討(第8回)だった。最後の最後に石渡明委員が案の採決を求め、3つの理由で反対だと述べた。以下の通りだ。

私はですね、科学的技術的な知見に基づいて人と環境を守ることが原子力規制委員会の使命だと思っております。

1. 今回の改変というのは、何らかの科学的技術的な新知見があってそれに基づいての法改正ではないと理解しています。

2. 今回の炉規法改正案は運転期間を落とすということ。安全側への改変と言えない。経産省の資料概要(74ページ)にあるが基本的に40年60年の枠組は維持すると書かれている。それなら、今の炉規法をわれわれ原子力規制委員会が進んで改正する必要性はない。

3. 私は委員会の中で地震・津波などハザードに関する審査を担当しているが、いくつかの発電所で審査が伸びている。いたずらに延ばしているわけではなく、鋭意審査しても時間がかかっている。すると審査に時間をかければかけるほど、その分だけ運転期間が延びる。審査をして延びると、より高経年化した炉を動かすことになる。二律背反になる。

ということで私はこの案に反対します。

2023年2月8日原子力規制委員会における石渡明委員の発言(筆者音起こし)

原子力規制委員会(2023年2月8日)該当箇所頭出し

山中伸介委員長は「私は多数決を行ったことはない」として、原子力規制委員会としての結論を来週まで持ち越すことにした。

岸田政権は「推進と規制の分離」を否定するのか

運転期間を炉規法から削除することと、高経年化評価制度を法制化することは一体だ。すると、「GX実現に向けた基本方針」P7には以下のようにあるので、このままの案を閣議決定することは不可能だ。一体である法案の閣議決定も無理である。

既存の原子力発電所を可能な限り活用するため、原子力規制委員会による厳格な安 全審査が行われることを前提に、運転期間に関する新たな仕組みを整備する。現行制度と同様に、運転期間は 40 年、延長を認める期間は 20 年との制限を設けた上で、一定の停止期間に限り、追加的な延長を認めることとする。

「GX実現に向けた基本方針」P7

もし、岸田政権が原子力規制委員会の結論を待たず、原子力の「規制と推進の分離」を真っ向から否定して強行するなら別だが。そうでない限り、閣議決定できない。

原子力政策課は判断できるか?

そこで早速、経産省原子力政策課に「(原子力規制委員会でカクカクシカジカ結論が出ていませんから)、GX基本方針は10日には閣議決定できなくなりましたね。その確認です」と電話取材を入れた。

若者官僚はいったん電話を保留後、「担当者が退室して答えられない」「明日も国会対応があり、むにゃむにゃ・・・」と逃げた。以下はその続きのやりとりだ。

Q:では明日朝一度電話しますけど、退室されたご担当者のお名前を。
A:いわゆる相談をして、誰が対応するかということになる。
Q:(私の心の声:誰が対応するか分からないのに、とにかく退室したんだね)では明日朝電話します。ちなみにGXの取りまとめ役はどこ?

GX基本方針の取りまとめ課は大臣の判断を仰ぐか?

そして、資源エネルギー庁総務課戦略企画室だとわかったので、早速また電話して、同じ質問をした。GX基本方針の閣議決定できなくなったのではないか?担当者は席を外していた。聞きたい質問を伝言に残して、今晩、もう一度、担当者に尋ねるつもりだ。

もちろん10日予定の閣議決定を取りやめるかどうかは、少なくとも、西村GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣の判断が必要になると思われる。

【タイトル写真】
原子力規制委員会(2023年2月8日) NRAJapanチャンネルを筆者キャプション
https://www.youtube.com/watch?v=xfoAROLG7wo&t=7427s

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