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「ニコニコしている人には放射能の影響が来ない」と発言した医師が「緊急事態応急対策委員」に(加筆)

タイトルに「の影響」を加筆、文中■■で2箇所加筆しました(4月14日)。

4月5日の原子力規制委員会で、緊急事態応急対策委員が新任・再任された。規制庁の杉本長官官房緊急事案対策室長が「別紙に委員の案を付けてございます。●の4名の方が新任で、○の方は再任ございまして、新任の方々は、原子炉等の関係では神﨑様、放射線防護の関係では大石様、田上様、山下様を新たな委員の候補として挙げてございます」と説明を行い、「異議なし」で決定した。

その別紙をめくっていてギョッとした。
福島県立医科大学の「山下俊一」の名前があったからだ。

緊急事態応急対策委員とは

緊急事態応急対策委員とは、原子力規制委員会設置法第22条 で以下のように定められている。

第22条 原子力規制委員会に、原子力規制委員会の指示があった場合において、原子力災害対策特別措置法第二条第二号に規定する原子力緊急事態における応急対策に関する事項を調査審議させるため、政令で定める員数以内の緊急事態応急対策委員(以下「応急対策委員」という。)を置く。
2応急対策委員は、学識経験のある者のうちから、原子力規制委員会が任命する
3応急対策委員は、非常勤とし、その任期は、二年とする。
4応急対策委員は、再任されることができる。

原子力規制委員会設置法第22条

ここでいう、原子力災害対策特別措置法第2条第2項とは「原子力事業者の原子炉の運転等により放射性物質又は放射線が異常な水準で当該原子力事業者の原子力事業所外へ放出された事態をいう」と定義されている。

緊急事態宣言直後の山下医師の発言

2011年3月の福島第一原発事故直後、まさにそういう事態に陥ってすぐ、山下医師は、福島県の放射線管理リスクアドバイザーに任命され、県内各地で講演を行った。その中で、「ニコニコしている人には放射能が来ない、クヨクヨしていると放射能が来る」と発言して、大ひんしゅくを買った(■この発言は「放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます」であり、来ないのは放射能ではなく影響である、とのコメントをいただいたので暫定加筆します(本人に確認するまでの間)■)。

そればかりか、生涯100ミリシーベルト以下の被ばくであっても放射線障害との因果関係は明確に否定されていないにもかかわらず、「1年100ミリシーベルトを浴びても、がんのリスクはない」と説明したことも問題にされた。

■100ミリシーベルト発言に関しては筆者自身、記者会見で尋ねたことがある。その際、山下医師からは「当時は政治的な発言が必要だったが、私しか言う人間がいなかった」旨の回答があったことも加筆する。■

そして、2020年3月の「子ども脱被曝裁判」では、証人尋問で、これらの発言を弁明したり修正したりした(*)。ちょっと考えれば、最も相応しくない人選だ。

緊急事態応急対策委員の任命(令和5年4月5日 原子力規制庁)

その日(5日)午後の会見で、それを「知った上での任命か」と山中委員長に尋ねるつもりだった。しかし、敦賀原発や東通原発1号、高浜原発4号、高経年化原発の安全規制、そして運転期間延長についての国会審議についての質問で精一杯で、うっかり聞きそびれた。そこで、4月11日の会見で尋ねた。

山中委員長「事実を知りません」

Q:先週の委員会の中で、緊急事態応急対策委員が、新たに任命された方がいますが、その中に山下俊一、福島県立医大の先生が選ばれたんですけれども、この方は3.11の直後に、福島で、「にこにこしている人には放射能が来ない、くよくよしていると放射能が来る。」という発言をされて非常にひんしゅくを買った方なんですけれども、こういった情報はあっての任命になるでしょうか。
山中委員長:すみません、ちょっとその事実を知りませんでした

「知らない」こと自体が衝撃的で、このことを呟くと、「本当に知らないとすれば委員長の資格なし」「知らないわけない」などのコメントが寄せられた。

 びっくりしたのは私だけではないことにまずはホッとした。「緊急事態宣言」はいまだに解除されていないが、人々はその頃を忘れている今日この頃だからだ。

(*)ニコニコ発言「緊張解くため」〜
山下俊一氏が9年前の発言釈明
2020/03/06 OurPlanet-TV

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出典:緊急事態応急対策委員の任命(令和5年4月5日 原子力規制庁)


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