複合災害は「当然、含まれる」ー原子力災害時の屋内退避の検討チームの検討範囲
2024年3月27日の原子力規制委員会で「原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チームの設置」が決まった。忙しい方は以下の目次から「会見で確認した4点まとめ)に飛んでください。これまでの話から辿りたい方は「複合災害では「避難と屋内退避」を組み合わせるという机上の空論」をご参考ください。
検討事項と自治体を含むメンバー
検討結果を2024年度中を目処にまとめるとして4月中に第1回を開催するというもの。
検討項目は2月14日にまとめた論点を元に、以下3点となった。
そして、それらの具体的な内容は検討チームの中で議論するとした。
検討チームのメンバーは原子力規制委員会の2人(伴信彦委員と杉山智之委員)と原子力規制庁の面々、内閣府から原子力防災担当、外部専門家。自治体からも宮城県復興・危機管理部原子力安全対策課と、敦賀市市民生活部危機管理対策課が参加する。
「当然、自然災害によって事故が発生したケースも含まれる」
質疑で石渡委員が、「これは福島の事故のような自然災害との複合災害も検討内容に含まれるということですか」と聞き、杉山委員が「どういったプロセスで事故に至ったかも関係する。当然、自然災害によって事故が発生したケースも含まれると思いますし、そうなると当然、屋内退避している周辺状況も自然災害の影響を受けていることも考えられると思いますので、当然、具体的に何を議論するかということは今後の議題となるがスコープの中には、そういった条件下も入ってくると私は認識しております」と応じた。(以下、動画、該当箇所)
会見で確認した4点
そこで、以下4点を確認しておくことにした。
●放射性物質の放出に伴う被ばく線量評価のシミュレーション について
●放射線防護施設について
●検討チームの自治体メンバーについて
●複合災害について
会見で確認した4点まとめ
まとめると以下の通りだ。
●放射性物質の放出に伴う被ばく線量評価のシミュレーション は行われる。
●放射線防護施設など 建物の種類も検討の中には入ってくる
●原子力災害対策指針に批判的な自治体メンバーも必要と判断されれば招く。
●複合災害は屋内退避についての様々な検討に入ってくる。
複合災害での避難計画に関するNHKの調査報道へのリンク
能登半島地震を受けて、NHKが全国の原発周辺自治体を取材。
過酷事故発生で直ちに避難が求められるPAZ(5キロ圏内)で、複合災害で避難不能な場合、屋内退避できる放射線防護施設で全住民を収容できるのは16地域のうち5か所。壊れた避難道路の復旧作業協力を建設会社に求める場合の安全確保の方策を計画などに書いてあるのは、19道府県のうち6つだそうだ。(2024年4月1日「原発5キロ圏内の待避施設 全住民の施設確保5か所にとどまる」)
【タイトル写真】
山中伸介原子力規制委員長(2024年2月14日の会見で筆者撮影)
質問することに集中し過ぎて3月27日は写真を撮り忘れた。
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