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【UFC SãoPaulo】おかえり?ルイス。【メインイベント以外の注目試合】UnderCard PICK UP『UFC FightNight Almeida vs Lewis』※試合後追記しました。


大会色合い

今回はブラジル大会のファイトナイトで、全カードがブラジル人選手vs他国選手。ブラジル人ファンのアウェー選手に対する「お前は死ぬ!」のコールが会場に鳴り響きます。(こんな意味だったはず。

今年1月にはグローバー・テイシェイラvsジャマール・ヒルをメインイベントとしたUFC283がリオデジャネイロで開催されています。

メインイベントは最多KO数の記録を持つデリック・ルイスvs UFC5連勝中フィニッシュ率100%のアウメイダ。
ルイスはUFC291にてマルコス・ホジェリオ・デ・リマを跳び膝で吹っ飛ばした試合が当時契約最後の試合とされてて、別のプロモーションに移ってしまうのかなと勝手に悲しんでいたら契約更新されたみたいで、思わずおかえりという言葉が浮かんできてしまいます。
ガーン、トゥイバサ、パブロビッチ、スピバックとトップを狙うランカー達に食われてしまっているので、破竹の勢いで勝ち進むアウメイダに対して一矢報いたいところ。

と思っていたらルイスが車を時速136マイル(約219km)で爆走し逮捕されたとの記事が。何してんねん!

注目試合

特に気になる4試合をピックアップ。
デビュー戦の選手がチラホラいて、ベテランvs新星のカードも多く組まれています。
今年のコンテンダーシリーズにも出場した選手が出ているので、あの一発勝負で見せたパフォーマンスが本物かどうかも分かってきますね。

(女子ストロー級:プレリム④)アンジェラ・ヒル[#12] vs デニーシ・ゴメス

ギルバート・バーンズにちょっとだけ顔が似てなくもないような、女子ストロー級でも屈指の剛腕デニーシ・ゴメス
23歳/8-1 (UFC2-1) 6KO

2022年DWCSで契約を掴み、23歳の若さで現在2連勝2KO。
前戦はUFC290。メキシコファイター大声援の中ヤスミン・ハウレギちゃんに対して得意の右オーバーハンドを開始早々にぶち込んで
秒殺し、会場をお通夜状態にしたのは記憶に新しいです。

そのさらに前の試合では華麗なハイキックをDWCSで見せ、契約を勝ち取ったブルーナ・ブラジルと対戦し、最後の決定打も右をクリティカルヒットさせ試合を終わらせています。
女子階級では数少ないハードパンチャーに期待。

対するは元Invicta王者のベテラン、アンジェラ・ヒル
38歳/15-13(UFC10-13) 5KO

女子ストロー級での最多試合数なだけあってファイト・オブ・ザ・ナイトを4度獲得(ジェシカ・アンドラージと並んで最多)していて、2014年に参加したTUFではカーラ・エスパルザ、UFC192ではローズ・ナマユナスと後にベルトを戴冠する選手と対戦しそれぞれ敗戦してリリース。その後Invictaで王者になるとUFC再契約、復帰戦となったジェシカ・アンドラージ戦は敗戦するもファイト・オブ・ザ・ナイトに選出。

コロナ禍にでは自身が感染したり、対戦相手のチームメイトに感染者が出たりと新型コロナウィルスに振り回されることも多かったですが、2021年には、後にジャン・ウェイリーの持つタイトルに挑戦する事となるアマンダ・レモスと対戦し、ダウンを奪い合うなど接戦となる中スプリットの判定で敗戦してしまいますが、ここでもファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得しています。

ゴメスはベテラン、ヒルと得意の右で駆け引きできるか。
ヒルは同階級のトップ選手のほとんどと戦っていて経験豊富。
レモス戦では相手の前蹴りを複数回顎に直撃していて生きていたので、ゴメスは他に武器が見せれると良いのですが。

(ウェルター級:プレリム⑥)エリゼウ・ザレスキ・ドス・サントス vs リナト・ファクレトディノフ[#15]

魔のウェルター級にて頭角を表しているランキング15位、リナト・ファクレトディノフ
32歳 21-1(UFC 3-0) 11KO/6SUB

ロシアのローカル団体で戦績を重ね、UAEウォリアーズで勝利した昨年12月にUFCデビュー。相手はTUFを制したブライアン・バトルで、1R、2R共にダブルレッグ、3Rはダウンを奪って各ラウンドトップポジションをキープしコントロールし続けて圧倒的な勝利を飾りました。そのコントロール時間は14分11秒。流石にバトルに対しては気の毒だなと思って試合を見ていました。

2戦目はいつの間にか復帰してきたケビン・リーを相手にストレート気味のフックでダウンを奪いすぐさま首を刈ってわずか1分足らずで締め落としてしまいました。現在20連勝中の怪物。実はATT所属。

対するはカポエイラをバックボーンに持つエリゼウ・ザレスキ・ドス・サントス。
36歳/24-7(UFC 10-3) 14KO/3SUB

現ミドル級チャンピオン、ショーン兄貴がウェルター級だった時代に対戦していて、ドス・サントスが華麗なバックスピンキックをヒットさせKO勝利しています。
UFCでの3敗のうちフィニッシュされたのは2019年中国大会でのリー・ジンリャン戦でのKO負け1つ。
前戦はヌルマゴ一族の中では結果が出せていない方とされるアブバカル・ヌルマゴメドフに判定勝ち。

ファクレトディノフのパフォーマンスに期待。

(ライト級:プレリム⑧)エルブス・ブレナー vs カイナン・クルシェフスキー

シュートボクセのサブミッションフィニッシャー、エルブス・ブレナー。
26歳/15-3 (UFC 2-0) 2KO/11SUB

今年7月のショーン兄貴vsマゴメドフがメインイベントで行われたファイトナイトのプレリムにて、ツヨツヨノーランカーのクタテラーゼを相手に逆転劇をやってのけたヤングマンで、これがあるからプレリムは見逃せない!と再認識しました。
アームバー、RNC、三角、ギロチンとポピュラーな形でサブミッションを得意としています。
クタテラーゼ戦では額をパックリとカットするほど肘を浴びて血まみれになりながらも、最後はボディ、頭部とフックを効かせてKO勝利。金髪が血まみれで髪の毛全体が赤く染まった姿で勝ち名乗りを受けていました。

対するは、今年のコンテンダーシリーズで契約を掴んだカイナン・クルシェフスキー。(エステバン・リボビクスの欠場で急遽参戦
32歳/15-1(4KO/9SUB)

契約を掴んだ試合を見るとスタンドではパンチを主体に組み立てる選手で、フック・ストレートのコンビネーションが綺麗に入っていました。相手のパンチに合わせてタックル、相手の対応も悪かったですがバックを取って振り落とそうとする動作に合わせてRNCをセットし相手を絞め落としました。
ローカル時代の決まり手はギロチン、RNCばかりで、絞技を得意としているようです。

リボビクスの欠場により急遽出場となったクルシェフスキーがどんなパフォーマンスを見せるか。ブレナーがタフファイトを見せるか。

(ウェルター級:メインカード⑤)ガブリエル・ボンフィム vs ニコラス・ダルビー

今年1月のリオデジャネイロ大会にも出場した、ボンフィム兄弟、弟のガブリエル・ボンフィム。
26歳 /15-0 (UFC2-0) 3KO/12SUB

兄弟揃ってDWCS勝利、契約、デビュー戦勝利を歩んできた中、ライト級で戦う兄が UFCで1敗してしまった一方、UFC2戦2勝、MMA戦績15戦無敗オールフィニッシュと完璧な戦績を重ねていく弟のガブリエル。
RNC、ギロチン、肩固め、ヴォンフルー、絞技サブミッション超得意。
デビュー戦では打撃を嫌がった相手のタックルにギロチンを合わせて華麗に勝利。
2戦目ではニーオンベリーから体を返そうとした相手の頭を待ってましたと言わんばかりのギロチンセットでフィニッシュ。

開始早々アグレッシブな打撃を見せてフィニッシュを掻っ攫うファイトスタイルで3連勝を狙います。

対するはデンマークファイター、ニコラス・ダルビー。
38歳/ 22-4 (UFC 6-3) 6KO/4SUB

元CWウェルター級王者で、幼少期には空手を習っていて柔術は茶帯。
2015年にUFCデビュー。ダレン・ティルとの試合では1Rにティル得意の左でダウンを奪われながらも3Rにはハイキックを当てるなどフィニッシュ寸前かと思うくらいまで追い込んで巻き返しました。(結果はドロー)
その後2018年にリリースされ、そこからは怪我、うつ病、アルコール依存症と戦いながらCWで勝ち星を重ね再びUFCに参戦。めちゃくちゃ苦労人です。

前戦は今年6月のムスリム・サリコフ戦で1Rにはハイキックを頭部にヒットさせダウンを奪うなどして接戦を制しています。
3連勝中ですが相手はクラウディオ・シウバ、ワーレイ・アウヴェス、サリコフ、となかなか渋めです。

サブミッションでの敗戦は4度。うちRNCが3、肩固めが1。
またしてもガブリエルが1Rでパフォーマンスを発揮してしまうか。

※※※試合後追記※※※

見返したい試合、面白かった試合

面白かった試合、驚いた試合、書き置きします。

(ライトヘビー級:プレリム④)ビトー・ペトリーノ vs モデスタス・ブカウスカス

2022年DWCSで契約を掴んだ負けなしビトー・ペトリーノ。
26歳 9-0(UFC 2-0) 6KO/1SUB

対するはリリース経験ありのモデスタス・ブカウスカス。
29歳 15-5(UFC 3-3) 9KO/2SUB

距離をキープしてハイキックを見せるブカウスカスに対しプレッシャーをかけていくペトリーノ。
ペトリーノは中に入りにくくなるようなジャブで牽制しつつ蹴り足を掴んで足掛け、これを凌がれますがお尻でクラッチからのリフトしてズドン!ペトリーノがテイクダウン成功。

2Rにはブカウスカス側がインターバル明けにマウスピースを忘れるアクシデント。たまにありますよね。
気を取り直して向き合った両者。ペトリーノのジャブにワンツーを合わせるブカウスカス。ペトリーノは少し手が出しづらくなったでしょうか?

と思った矢先!!!!先にワンツーを出そうとしたブカウスカスがフェイントジャブに合わせて左の前手フックのカウンターを出してこれがドンピシャ!!!
仰向けに倒れたブカウスカス、すぐに意識は戻ったような感じでしたがレフェリーストップ!!!

技ありのKOで3連勝となったペトリーノ。
次はランカー戦来るでしょうか?

(ウェルター級:プレリム⑥)エリゼウ・ザレスキ・ドス・サントス vs リナト・ファクレトディノフ[#15]

1Rに早速パンチを効かせてトップキープに走るファクレトディノフ。
ドスサントスはミドルを一発深くヒットさせます。
2R、パンチの交錯からファクレトディノフはタックルを合わせますがドスサントスはこれを切ります。
ここでテイクダウンが切れたお陰で、ファクレトディノフの大振りオーバーハンドがあまり活きてこないような気もして、逆にドスサントスが打撃戦をやりやすくなってるように見えます。

ファクレトディノフの左足にカーフ、インローを蹴っていくドスサントスですがニータップからの入りでファクレトディノフがテイクダウン、壁レスリングになるとバックへ回りますがドスサントスが凌いで残り時間少ない中スタンドへ。

3Rになるとインロー、カーフでドスサントスが主導権を握って開始1分はタックルの打ち合い。
切り続けるドスサントス、雑っぽくなるファクレトディノフ。
ジャブ、前蹴りで突き放して距離ができるとミドルを入れるドスサントス。残り90秒付近、ドスサントスの前蹴りを腹にもらったファクレトディノフが前に倒れます。
ここでドスサントスがトップポジションから猛ラッシュ!!!観客も大歓声!!!
3名中2名が28-28(10-9,10-9,-8-10)をつけてドロー結果となりましたが、立ちはだかる壁としてのドスサントスの役回りに天晴れでした。

逆にファクレトディノフはテイクダウンがなくなると厳しい展開に。打撃の向上に期待したいところです。

(ライト級:メインカード①)エルブス・ブレナー vs カイナン・クルシェフスキー

急遽カード変更により唯一のブラジルvsブラジルとなったこの試合。
コンテンダーシリーズではボクテクを見せた見せたクルシェフスキー。下がって距離を取るシュートボクセのブレナーに対して中央からプレッシャーをかけます。
膝で牽制しつつ遠いところからオーバーハンドで踏み込んで、短い返しのフックを打つブレナー。背中のタトゥーの「族信」の文字が気になります。

距離を詰めたいクルシェフスキーでしたがラウンド4分経過するところでブレナーが大きく踏み込んで右ストレート!返しのフックがヒットするとクルシェフスキー倒れ込んで一撃KO!!

前回はクタテラーゼに大逆転劇を演じたブレナーが今回も魅せてくれました。返のフックは側頭部にカスったように見えましたが、こんなに効くんですね。

(ウェルター級:メインカード⑤)ガブリエル・ボンフィム vs ニコラス・ダルビー

開始直後からエキサイトな展開に!
足を止めずとも近い距離でパンチの交錯をする両者。先にタックルを打ったのはダルビーですが壁レスでボンフィムが凌ぎます。
クリンチを取ろうとするように手を出したダルビーに対して胴でクラッチしてテイクダウンを取るボンフィム。サイドからマウントに移行してダルビーには苦しい時間が続きます。

2R、早々にボンフィムがテイクダウンしてサイドをキープ。
スプロールしたダルビーの首をコントロールしてバックへ移行しようとしますがダルビー立ちます。壁レスでの肘打ちを見せるダルビー。これが結構効いたんじゃないかと思われます。あとちょっとガス欠気味なボンフィム。
アッパー、膝でさらに畳み掛けるダルビー!!
ボンフィムもヘッドムーブして嫌がりますが全くステップ使いません。壁背負ったまま。

タックルを切ったダルビーがさらにクリンチ膝、を連続で打ち込みボンフィムダウン!!!そのままパウンドでレフェリーストップ!!!!

ダルビー、大きく差のついたアンダードッグで見事勝利!!!
無敗の若者を退けるパフォーマンスでブラジル会場をお通夜に!!!
無敗のレコードを持った選手がこうしてノーランカーに敗北する、UFCの魔境を見た試合でした。

大会総括

爆走逮捕されたもののなんとか行われたメインイベントですが、スタッツをみるとアウメイダのコントロールタイムは21分。5ラウンドの25分のうちのほとんどがアウメイダのトップポジションだったわけですが、ルイス相手にこの記録というのはあまり讃えられるようなものではないような気もします笑

立ち上がるのは何気に上手いルイスですが、アッパー狙いも虚しくポイントを失っての敗戦となりました。

ブラジル会場の歓声が極端なのも面白いですが、期待のボンフィムを破ったダルビーが無事にブラジルを出国して帰路につくことができたかどうかが心配です笑

さて、ブラジル大会はこの辺にしといて笑
次はついに武士道を進むイリーの復帰戦となります。
今年は残り5イベントとなったUFC。カードの消滅、アップセット何が起こるか分かりません!!!