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ファイトナイトでもタイトル戦!メインイベント以外のUFC注目試合・良試合。『Noche UFC Grasso vs Shevchenko 2』※試合後追記しました。



大会色合い

扱いとしてはナンバーシリーズ外となる「FightNight」大会ですが、メキシコ独立記念日に開催されるため特別な装飾をされている今大会です。
大会名も「NOCHE UFC」となっていて、これはメキシコで使われている言語であるスペイン語で「」を意味するらしく、「FightNight」をメキシコっぽさに飾った名称にしているものと思われます。という解釈でいいんだろうか。
NocheUFCという表記を初めて見た時はメキシコの地名かと思っていたんですが、文化的な意味合いがあったようで、一つだけ賢くなれた気がします笑

メインイベントにはメキシコ人初女子王者、アレクサ・グラッソと前絶対王者ヴァレンティーナ・シェフチェンコのフライ級王座をかけたダイレクトリマッチが組まれています。前回の対戦ではシェフチェンコが”ワイドマン”してしまって(UFC194ロクホ戦を参照)、バックテイクからRNCで敗れています。
UFC290ではフライ級ブランドン・モレノ、フェザー級ではヤイール・ロドリゲスがそれぞれ正規チャンピオン、暫定チャンピオンのベルトを持っていましたが今となっては2つとも失われてしまったのでメキシカンにとってはグラッソのベルトが最後の砦となりました。

ファイトナイトではありますがメキシコ独立記念日として意味を持たせた上で、メキシコ人王者グラッソの防衛戦を添えてアンダーカードも注目株が並べられておりとても楽しみな大会となっています。
コメインイベントにはお喋り野郎のケビン・ホランドと僕が注目して応援しているジャック・デラ・マダレナのウェルター級ランカーマッチが組まれています。マダレナ勝って欲しい。

ちなみに会場はメキシコではなく米国ネバダ州ラスベガスのT-mobileアリーナで開催されるようです。公開計量イベントではメキシコの楽曲が流されてメキシコ色を彩ったいい雰囲気の中行われていました。

注目試合

メイン、コメイン以外での注目試合をピックアップ。
試合後には面白かった試合を追記します。

(フライ級:プレリム)エドガー・チャイレス vs ダニエル・ラセルダ

前戦はUFCデビュー戦であり、平良達郎選手と試合をしたエドガー・チャイレス
27歳 10-5 (UFC0-1) 4KO/6SUB
判定で負けはしましたが達郎選手の相手を務めたということで個人的にやや注目です。
タックルに対してはギロチンを狙う姿勢を取る事が多かった前戦ですが、なかなかギロチンは極めるのは難しいので悪いポジションになってしまうことが多かった印象があります。とはいえギロチンで極めて勝ってる試合もあるので自信の表れか、タックルに対する対処として癖になってしまっているか。

対するはUFCデビューから4連敗中の崖っぷちダニエル・ラセルダ。
27歳 11-5 (UFC0-4) 5KO/6SUB
UFCでの敗戦は全てフィニッシュ負け。UFC2戦目となったフランシスコ・フィゲイレード戦ではトップポジションにいながら膝十字を極められてしまいました。
前戦は平良達郎に極められてしまったCJベルガラと対戦。1Rにはスピンキックでベルガラのテンプルを捉え、オクタゴンを走って逃げるベルガラに対して走って追い掛けながらラッシュを仕掛けてKO寸前まで追い込みます。しかし謎のタフネスでラウンドを凌いだベルガラに逆転負けを喫してしまいます。かなり攻め疲れしていたように見えました。
救いだったのはこの試合がファイト・オブ・ザ・ナイトに選出された事でしょうか。

(ミドル級:プレリム)ロマン・コピィロフ vs ジョシュ・フレムド

前戦クラウディオ・ヒベイロを一撃KOした注目株ロマン・コピィロフ。
32歳 11-2 (UFC3-2) 10KO
前戦は1Rフィニッシャー、クラウディオ・ヒベイロに対して高速の蹴りで追い込み、一瞬相手に見せ場を作ることを許してしまいましたが最終的にハイキック1発で試合を決めてしまいました。今回も物凄い打撃に期待です。
現在3戦連続KO勝ち。4連勝なるか。

対するは2連勝中、勝ち越しがかかったジョシュ・フレムド。
29歳 11-4 (UFC2-2) 4KO/4SUB

個人的な印象としてはトレショーン・ゴアに首が取れるんじゃないかと思うぐらいとんでもないギロチンチョークを喰らってしまった選手として記憶しています笑
とは言え敗戦後の試合ではギロチンチョークで勝利を収めています。
ドゥマス戦ではパンチが効いて組んだ相手に対して小手を巻いて豪快な大外刈りを見せていたのは印象的でした。

スタンドでコピィロフがガンガン主導権を握るイメージしか沸かないですが、それを掻い潜って捕まえられるかフレムド。

(フェザー級:メインカード)フェルナンド・パディーヤ vs カイル・ネルソン

注目選手はメキシコからフェルナンド・パディーヤ。
26歳 15-4 (UFC1-0) 5KO/8SUB
22歳の時にUFCとの契約が決まるも、ビザやパンデミックの影響で長いことデビュー戦を待つことになってしまったパディーヤ。
ようやく行われた今年4月のデビュー戦ではその長い腕から出されるパンチを、避けようとするジュリアン・エローサに8発くらい連続で当て続けTKO勝利を掴んでいます。
デビュー前の前戦となったFuryFCでの試合では前蹴りを使いながら中央でプレッシャーをかけ続けますがパンチが交錯する中で被弾します。リーチが長いからと言って極端にアウトボクシングするような感じではないように思えます。更にはタイクリンチも使用しフェザー級としてはかなり高い、顎に届く打点の膝も打てます。この試合ではタイクリンチの膝の後にエルボーを打ち込んでKO勝利しています。

対するはカナダ国籍カイル・ネルソン。
32歳 14-5 (UFC2-4) 5KO/4SUB
2018年に代打でデビューを果たしますがライト級での試合だったため本来の階級ではないという悪条件となる中、ディエゴ・フェレイラには敗戦。
デビューから2連敗した後のポーロ・レイエス戦では組み際のエルボーをヒットさせるとボディやオーバーハンドを混ぜた豪快なラッシュを仕掛けレイエスにTKO勝ちを収めています。
この試合が実は2019年に開催されたメキシコでのファイトナイト大会だったのとポーロ・レイエスもメキシコ国籍の選手で完全アウェーでした。これを跳ね除けて会場をお通夜状態にしたネルソン。今回もメキシコ狩りとなるか。
前戦は筆者がDWCS2022で注目していたブレイク・ビルダーとUFC289で対戦し、豪快な強打をぶつけ合うような内容で判定勝利を収めています。

パディーヤ推しですがネルソン苦手なんじゃないかなーなんて思っています。どう対処するか。面白い試合になると思われます。

(バンタム級:メインカード)ラウル・ロザス・ジュニア vs テレンス・ミッチェル

メキシカンの若武者ラウル・ロザスJr。
18歳 7-1 (UFC1-1) 1KO/5SUB
昨年DWCSで契約を勝ち取り、当時17歳で史上最年少UFC契約ファイターとなったロザスボーイ。
その若さ故、注目度も高くデビュー戦はナンバーシリーズ。オッズも-240のfavoriteとなって期待値が高いです。グラップリングを得意としている選手で、デビュー戦ではシングルレッグからリフトし豪快にテイクダウン。バックテイクをするも不安定な体勢を堪えてボディトライアングルでロックするとバックチョークで試合を極めて鮮烈デビューを飾りました。
2戦目クリスチャン・ロドリゲス戦では1Rお得意の子泣き爺ポジションからバックチョークの形を作りますが上手くディフェンスされラウンドを凌がれます。2Rではケージ際でのバックテイクを対処されてポジションを与えてしまい、スクランブルを制することが出来ず逆にバックを与えてトライアングルロックされてしまいます。タックルに膝を合わされてもいたので対処されてしまっている感が否めないラウンド。
3Rではグラップラーにとっては一番辛いであろう、タックルを切られ続ける状況になり再度バックコントロールされて結果は判定負け。
敗因は駆け引きの引き出しの少なさでしょうか?とは言えまだ未成年の選手と考えると引き出しが少ない!なんていうのは酷だと思いますがどう成長しているか期待したいと思います。

対するはテレンス・ミッチェル。
33歳 14-3 (UFC0-1) 6KO/8SUB
UFCデビューとなった前戦UFC290では期待の22歳キャメロン・サーイマンと対戦しスクランブルゲームで1Rにバックマウントでパンチを浴びてTKO負けしています。とは言え自身もサブミッションでの勝利は多く、フィニッシュ率は100%なので期待感は持てます。
Youtubeにあった彼のハイライト動画を見るとハイキックや跳び膝と勢いのある飛び道具に、極めの速さもあって怖い選手に見えはしたんですが。
ちなみにこの選手、TUF24で只今絶賛マネルケイプと喧嘩中のフライ級ランカー、カイ・カラ・フランスと対戦しているんですね。1R30秒でKO負けを喫しています。

ただしサブミッションでの負けがなく、ロザスボーイがどう攻めるか注目です。
逆にミッチェルは現在33歳で、前回は22歳、今回は18歳が相手と2連続オヤジ狩りとならないよう連敗を避けたいところです。

※※※試合後追記※※※


面白かった、見返したい試合

メイン、コメイン以下で面白かった試合をピックアップ。

(ライト級:プレリム)アレックス・レイエス vs チャーリー・キャンベル

自身の身体の問題で6年ぶりの試合となったレイエス。
36歳 13-3(UFC0-1) 9KO/4SUB

対するは昨年DWCSでクリス・ダンカンに逆転勝ちを許してしまい、契約を逃したチャーリー・キャンベル。
28歳 7-2 5KO

試合はスタンドの展開。
見合う両者でしたが差し合いの中でキャンベルが打撃をヒットさせると、更にプレッシャーをかけてケージを背負わせ、アッパーからのコンビネーションでフックをヒットさせ見事KO勝利!!!

コンテンダーシリーズでは結果的に逆転負けしてしまいましたが、それまでは優位に試合を進めていたので今回鮮烈デビューを飾ることが叶ってよかったと思います。

(ミドル級:プレリム)ロマン・コピィロフ vs ジョシュ・フレムド

大方予想通りの展開で、コピィロフが打撃で主導権を握ります。
フレムドは前蹴りと関節蹴りをつっかえ棒としながらサークリング。
1R中盤コピィロフがミドルキックを放つとガードが下がったフレムドに対してさらにパンチで畳み掛けます。フレムドのタックルは不発。ブザー直前にはコピィロフのバックブロー。エルボーが鼻に当たって流血したように見えました。
2Rも変わらずコピィロフがミドルを炸裂させて立ち回るとラウンド終盤にコピィロフのパンチが腹にクリーンヒット。フレムドは悶絶して倒れ込み見事コピィロフのKO勝利!!!
先日の木下選手がアームフィールドに喰らったように水月っぽい場所にめり込んだのかな?
お見事の4連勝4KO!
気になるのはここまでの勝ちパターンが似ているので、起点となっているミドルが対処された時にどう引き出しがあるのかを期待したいと思います。

(女子ストロー級:プレリム)ルーピー・ゴディネス vs エリース・リード

メキシカンのゴディネスが左フックをヒットさせるとリードは後退しバランスを崩しながら尻餅をつきます。
ゴディネスすかさずバックテイク!!
バックチョークは極まらず、腕十字に切り替えると完全に極まった形になりハーブディーンもゼロ距離で見ていてあわやストップかと思われましたが、これを耐えてブザーが鳴ります。
2R、グラウンドのボトムから立ち上がったリードでしたが大勢不十分のままパンチをもらい効かされたところにゴディネスがラッシュを仕掛けます。
数発強打を当ててゴディネスはテイクダウン!!
そのままいいポジションをキープし、バックチョークで見事勝利!!!

ゴディネスは打投極を混ぜ込んだいいMMAを見せてくれました。試合展開は一方的でしたが、MMAの魅力が詰まった試合となりました。


(バンタム級:メインカード)ラウル・ロザス・ジュニア vs テレンス・ミッチェル

ロザスボーイに-750のfavoriteと圧倒的な数字がついていて、そんなにか?!と思って見ていたこの試合。
サブミッションでの負けがないミッチェルに何をするのか注目していました。
蓋を開ければリスキーな距離での打ち合いを選択。
少し近い距離になると危ういなとは思いましたが若さでカバーしつつ基本的なことはやっていて、18歳でこの完成度はすごいなと感心して見ていました。

左のフックをヒットさせミッチェルはダウン。
仰向けになったところを畳み掛けてパウンド!
なんとかしたいミッチェルですがお得意のグラウンドコントロールもあってマウントになり打撃を浴びせてそのままフィニッシュ!!!

テイクダウンに拘る戦法そのままかと思いきや、この結果。
彼の土俵は間違いなくグラウンドゲームですが、それをせずして選択した打撃戦をやってのけたのは本当に凄いです。まだ18歳。
客席にはお母さんの姿。喜ぶよりも安堵の表情。そらそうだよね。
こっから10年やってもまだ28歳。段階を踏むマッチメイクをしてもらって、完成度の高いMMAファイターになるのを楽しみにしたいと思います!

大会総括

コメインのマダレナが勝利したのでホッとしていたらメインイベントのタイトルマッチが面白すぎて大満足のNOCHE UFCでした!

マダレナに関しては、得意のボクシングが活きていてカーフなど蹴りを混ぜながらいつもの綺麗なパンチのコンビネーションを魅せるなど調子は良さそうでした。見ていて気持ちがいい。
何よりフレームのでかいホランドの懐に入って打撃戦を展開したのは流石です。
前回は謎の弾丸レスラーに苦戦してしまいましたが、魔鏡中の魔鏡であるウェルター級ランカーには更なる鬼レスラーも棲んでますので次のマッチメイクに怯えながらしっかり応援していきたいところであります。

女子フライ級はドローとなりましたがシーソーゲームな展開に、前回を思い出させるシェフチェンコのやらかしなど魅力たっぷりな試合となりました。
方々で言われていますが5R 10-8は妥当だと思えません。そこだけがモヤッとする大会でしたがシェフチェンコの次の試合に期待です。
トリロジーあるかな?

来週はフィジエフvsガムロットをメインに添えたいいカード目白押しのファイトナイト。
井上直樹選手の姉である魅津希選手の復帰戦も組まれているので要チェックです。