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メインイベント以外のUFC良試合。『UFC290 Volkanovski vs Rodriguez


今大会の色合いあれこれ


7月と言えば米国の独立記念日として祝日が上旬に定められており、毎年ここ7月で行われるナンバーシリーズには良質なカードが揃う大会だと認識してます。30周年ということもあり、毎年7月に行なっているファンイベントもいつもより大掛かりなものになっている印象です。
筆者も過去ラスベガスへUFCを観に足を運びましたが、どうせ手間暇かけて行くなら7月だろうと、その時期だけは決めて計画を立てたのを覚えていて、7月はどこへ行かずともソワソワしてしまいます。

アーリープレリムには昨年DWCS出身の有望選手が多く起用されており、プレリムには日本代表平良達郎選手、そして激闘王、元UFCウェルター級王者のロビー・ローラー引退試合。
メインカードは2大タイトルマッチとトップランカー、期待のニッカルと見どころ満載の内容です。
特色としてはメキシコの選手(アギラー、ハウレギ、チャイレス、そしてタイトル戦のモレノ、ロドリゲス)が多く参戦しており、メキシコ人ファンが多く会場に駆けつけていたような歓声でしたね。
サーイマンとデュ・プレシは共に南アフリカと同国選手の参戦も個人的には印象的でした。
日本大会開催もいいですが、聖地ラスベガスに日本人ファンが駆けつけてニッポンコールする日が来ると信じています笑


厳選試合

今回も泣く泣く4試合に絞って、書き残していきます。
試合内容をつらつら書いて長くなりましたので、もうちょっとサクッと読めるような記事を試行錯誤していきます。

(バンタム級:プレリム)キャメロン・サーイマン vs テレンス・ミッチェル

 2連勝中の8戦無敗、昨年DWCS出身キャメロン・サーイマンに対して急遽代打出場となり、UFCデビュー戦のテレンス・ミッチェル。
元々はラウル・ロサスJrを下したクリスチャン・ロドリゲスが出場予定でしたが二週間前くらいに欠場が発表されていました。
テレンス・ミッチェルはACE(Alaska Combat Entertainment)、AFC(Alaska Fighting Championship)で試合しており14勝のうちフィニッシュ率100%とスコアの綺麗な選手で短時間決着の多い選手です。リーチがかなり長い。

試合は序盤サーイマンがハイキックを空振りするとミッチェルがタックル。そこに合わせて柔らかい体でかなり深いギロチンをサーイマンが仕掛けていきます。
サーイマンは下からの仕掛けでポジションを奪うとトップをキープ。
なんとか立つミッチェルですが、サーイマンがケージに押し込み膝を打ちながらコントロールしてバックポジションを奪うと、相手の鼠蹊部にしっかり足を入れてミッチェルの体を伸ばしバックマウントからパウンド連打でレフェリーストップ!!

DWCSでは回転蹴りなど見せながらケージ際のフック、アッパーでKOしていてスタンドの印象が強かったサーイマンですが今回の試合で改めて組みの上手さを見せてくれました。序盤の蹴りはちょっと荒い感じがしましたが、まだ22歳。ここ数年大きく盛り上がりを見せるバンタム級でどこまで勝ちっぱなしをキープできるか期待です。

(女子ストロー級:プレリム)ヤスミン・ハウレギ vs デニーシ・ゴメス

メキシコ人ファンから大歓声を受ける10戦無敗ハウレギ。
に対して、女子選手屈指の剛腕ゴメス。
昨年DWCSで華麗な足技KOを魅せたブルーナ・ブラジルのデビュー戦の相手を務め、見事KOで返り討ちにしたのが記憶に新しいです。

そのブルーナ・ブラジル戦、試合直後にオーバーハンドを見せており、試合中も右の剛腕を振っていきます。頭を下げてからオーバーハンド、ニータップフェイントからオーバーハンド、左をブラフにオーバーハンドと、とにかく強烈な右に自信を持ったファイトスタイルのゴメス。

この日の試合でもハウレギに対して初手はオーバーハンドで仕掛けます。
上体を低く沈ませた後、放った右オーバーハンドが入るとすかさず右フック。腰を落としてケージ際に追い詰められたハウレギに対して右手で押さえ込みながら的確に左パウンドを顎目掛けて連打していきます。ここで秒殺ストップ。公式記録は20秒。強い!

確率で考えてしまうとKO率はどうしても下がってしまう女子選手ですが、ゴメスは貴重なハードパンチャーとして駆け上がって欲しいです。まだ23歳!
秒殺の試合が続いた今大会ですが、女子選手の試合での秒殺はまた格別に珍しいのでピックアップしました。

(ライト級:メインカード)[11]ジェイリン・ターナー vs [12]ダン・フッカー

個人的にはこの試合がタイトル戦以下のカードではファイトオブザナイトです。

ライト級とは思えない長身とファイトセンスでランキングを駆け上がり中のタランチュラことターナーと、ポイエーと5R激闘を繰り広げ、その後もライト級トップ選手と試合を重ねる漢、フッカー。
ポイエーの後はチャンドラー、マカチェフ、フェザー級でアレンとトップ選手と当たり敗戦を重ねてしまいますが膝十字ニキことプエレスへのボディ前蹴りで腹を破壊して勝利、さらに今回は金髪ヘアーとカッコ良さがより目立ちます。

ターナーはムラーキー、リデルなど実力者をフィニッシュしてこれから更に上位のランカー戦を楽しみにしていましたが前戦マテウス・ガムロットと対戦し判定負け。
にしてもガムロットの組みでの仕掛けをかなり対処していたので逆に新たな評価を受けた印象でした。

序盤、JJを思い出させるような、長い手足で関節蹴りを混ぜながら組み立てるターナー。フッカーもしっかり距離を保ち、互いに相手の打撃を合わせるハイレベルな打撃戦を繰り広げます。
が、ターナーの前蹴りによるフッカーのボディへの被弾が気になります。

試合が動いたのは2R、ターナーのハイキックがフッカーを捉えます。序盤からサウスポーに構えるターナーの左のボディキックがかなり刺さっていたので、ターナーの組み立てが効果的でした。距離を詰めたターナーの肘によってフッカーの出血が目立ちます。このままターナーが主導権を握って試合を優位に進めるかと思いきや!!!
2R終盤、体を沈めボディのフェイントから前進しながらのフッカーのパンチがターナーを捉え、ケージ際の撃ち合いになるとフッカーのパンチが更に火を吹きます。この時のターナーの対処は打ち返す、肘打ち、からの手を伸ばし首相撲に持っていくような動きでした。首を抱えられたフッカーはさらに連打。距離をとって間ができた時、ターナーが気合の雄叫びを見せます。
再び首相撲からの膝を放ったターナーがバランスを崩してフッカーがトップポジション、バックを取ってネック気味のバックチョークの形に入ったところでブザー。

 最終ラウンドも序盤からフッカーが距離を詰めていきますがターナーの対処がどうも荒く感じます。やはり距離をとって安全圏からリーチを生かした攻撃を軸にしているので、分かりやすく近距離では被弾するというか、対処が苦手に見えます。途中タックルにいったターナーにはブーイングが起きてたように聞こえました。
詰めるフッカーのパンチに体勢を崩すターナー、そのままトップキープし、最後はスタンドになるもフッカー優位のままブザー。

打撃数は2R、3Rとフッカーが上回ってましたが2Rのハイキックの被弾があったので判定はどちらになるかと思われましたがフッカーが勝利!!!!
日曜の昼間に叫んでフッカーを応援してしまいました。素晴らしい勝利です。諦めたらあかんですね。

(ミドル級:メインカード) [2]ロバート・ウィテカー vs [5]ドリカス・デュ・プレシ

正直この試合に関してはメインカードの中であまり関心がありませんでした。何故ならウィテカー勝利予想が揺るぎなかったからです。ガス欠から何故か勝つ謎のファイター、デュ・プレシとの試合が組まれるなんて。
と思って肘ついて見てたら試合状況が急転し、決着してしまいました。

ミドル級2位のロバート・ウィテカー。僕がUFCをしっかり見始めてからずっと前線で戦い続けるミドル級屈指のストライカー。アデサニヤさえいなければ彼がベルトを持っていたでしょう。
対するドリカス・デュ・プレシはダレン・ティル、デレク・ブランソンをフィニッシュで下しランキング5位にまで上り詰めた選手。なんかバテてる感じなんだけどなんか勝つ!という見てるこっちの語彙力を奪うような印象です。ブランソン戦も2Rで二人ともフラフラでしたから。激闘というよりはガス欠ファイトの印象というか笑

試合は頻繁にスイッチして構えるデュ・プレシに対してウィテカーがタイミングを合わせて前手でジャブをついてく展開。
サウスポーのティルに対してはオーソ構えでしたが、オーソのウィテカーに対してはサウスポーで構え喧嘩四つを作るデュ・プレシ。
時折ウィテカーの被弾も目立ちますが序盤ウィテカーが支配してるように見えました。
動いたのは1R終盤、四つの展開からデュ・プレシが首投げ気味の大外刈りでテイクダウン。そのままトップをキープしパウンド、肘を打ち込んでウィテカーを出血させます。
この時点で、こいつは何か起こすかもしれないとゾワっとしましたが2Rに入って打撃戦を展開するとデュ・プレシのジャブが完璧にウィテカーを捉え、ウィテカーダウン。よほど効いたかゆっくり立ち上がったウィテカー、ケージ際を沿うように距離を取ろうとするのに対してデュプレシが追いかけパンチを浴びせます。動きを止めガードを固めるウィテカーに対してアッパー、ボディ、崩れたウィテカーにデュ・プレシがさらに連打を浴びせストップ!!!

オッズを覆すアップセットが起きました!正直僕はウィテカーの勝ちを信じていて、この試合に勝ってシドニー大会でvsアデサニヤ3で確定だろうと疑いませんでした。
鼻手術をして覚醒したのかと思わせるようなデュ・プレシ。
ケージ外には立ち上がって狙いを定め、視線を送る王者アデサニヤ。
両者ケージ内で舌戦を交わしほぼ次戦タイトルショットはアデサニヤvsデュ・プレシで決まった感じですね。

ミドル級はトップ層が停滞していたところにアデサニヤ絶対倒すマンことペレイラが登場して新しい風を吹かせたと思いきや、アデサニヤの変態カウンターが炸裂して基軸を元に戻した感じがあります。
フェザー級のヴォルカノフスキー、ホロウェイのような2強の構図を崩したデュ・プレシ。
彼によってストリックランド兄貴のタイトル挑戦はまたしばらくお預けですね笑

総括

カードも濃ければ内容も濃い、期待値と結果にズレがほぼなかった高カロリー大会となりました。
アンダーカードは秒殺試合も多く、タイトルマッチ2試合も抜群の面白さでした。
パントージャは一年ぶりの試合で、Uberで働いてたという記事も出てましたね。ここからは王者としての日々が始まるので、防衛戦に期待したいと共に、日本代表平良達郎選手はベルトを巻くのにこいつらを倒さないといけないという、修羅の道であることを再確認。
そして”The Great”ヴォルカノフスキーはフィニッシュまでの流れが美しさすらありました。肘の手術をするそうですが、次はトプリア戦の空気が流れてます。
個人的にはトプリアはもう何戦かトップランカーとやってから見たいところです。

今回書いてみて、試合内容をつらつらと書くのも長くなってしまったので
次回は試合予告のような、結果の情報を省いた記事を書いて、
おっ見てみようかな?となるようなものが書けたら良いなと思いつつ、また同じような記事書くかもしれませんが、試しながら書き残せていけたらなと思います!