【Noche UFC】いつの時代も糖分対塩分【メイン以外の注目試合】『O'malley vs. Dvalishvili』※事後記事のみ
大会色合い
スペイン語で夜を意味するNocheを冠したメキシコ独立記念日を祝うNoche UFCがナンバーシリーズとして今年もやってきました。
会場はラスベガスのスフィア。2019年から建設され2023年に完成し9月から運用されている球体型巨大会場。球体状の映像が一面に映し出される作りで、ラスベガスで異様な存在を放っている様子をXで度々見かけていましたがまさかここでUFCのイベントが行われるとは驚き。
会場の内面も天井まで全てスクリーンになっており、入場、試合中は屋外のステージにいるような背景で様々な演出がされており激高チケットに見合うよう彩られていました。一度は行ってみたいもんです。
その特別会場でのメインイベントに選ばれたのはバンタム級王者ショーン・オマリー。このスターに挑むは類を見ないスタミナお化けメラブ・ドバリシビリ。コメインにはメキシカン王者であるアレクサ・グラッソと元王者ヴァレンティーナ・シェフチェンコのトリロジーマッチ。というかTUFのコーチ対決でもあります。
面白かった試合
(フライ級:プレリム①)エドガー・チャイレス vs ジョシュア・ヴァン
ノーランカーの両者ではありますがチャイレスは日本の平良選手とも対戦し、ヴァンも一度は平良選手とカードが組まれたプロスペクトで注目のカードでした。
近い距離でのパンチが得意なヴァンに対してリーチで勝るチャイレスがカーフとジャブを散らせて高身長から振り下ろす右ストレートを武器に組み立てます。
チャイレスのステップワークが少し静かになった2R。ヴァンの上下のコンビネーションが炸裂して下がるチャイレス、追撃のボディとフックのコンビネーションを畳み掛けるヴァン、チャイレスはスピニングバックフィスト一撃でヴァンの動きを止め会場爆発!!
3Rは大外刈りを試みたチャイレスを逆にヴァンがコントロールし競り勝ってヴァンのユナニマス判定勝利。
(ライト級:プレリム③)マニュエル・トーレス vs イグナシオ・バハモンデス
無慈悲なKOでメキシコ大会を盛り上げてきたマニュエル・トーレス。
今回もアグレッシブに攻めますが大きく左を空ぶったところを外からズドン!パウンドアウトかと思われましたがどうにかスタンドに戻るとダウンした側とは思えない形相で再度トーレスがプレッシャーをかけます。
距離感バッチリのバハモンデスは冷静に、トーレスが前に出てきたところを外からもう一度右ストレートをしっかり打ち込んで今度はしっかりパウンドアウト。素晴らしいKO勝ちで2連勝!
(女子ストロー級:プレリム②)ヤスミン・ハウレギ vs ケトレン・ソウザ
女子では珍しい両者1回ずつのローブローで試合は中断。
直後近い距離で交錯するとソウザの返の左フックでハウレギが腰から落ちるダウン。その刹那バックテイクしRNCをセットするソウザ!!!
タップすることなく落ちてしまいレフェリーストップで衝撃ダウンからの失神サブミッション!!
メキシカンのハウレギは敗北してしまいましたがソウザのパフォーマンスは凄まじいものでした。
(フライ級:メインカード①)ロナルド・ロドリゲス vs オデー・オズボーン
リーチで勝るオズボーンが開始早々に右フックでダウンを奪うとスクランブルからトライアングルをセット!あわや秒殺かと思われましたがこれが極められずロドリゲスにリカバリーの時間を与える結果に。極めようとして不発だった時のリスクは大きいもので、そこの技術重要性が伺えますね。
2Rはロドリゲスが強烈なボディトライアングルからポジションをキープしてさらに消耗させ3R終盤はタックルを切られるロドリゲスでしたがオズボーンのタックルを切っていいトップポジションのままロドリゲスの粘り勝ち。
(ライト級:メインカード②)ダニエル・ゼルフーバー vs エステヴァン・リボビクス
仕留めるパンチを持っているリボビクス、ロングリーチを備えた若きゼルフーバー。
終始ゼルフーバーの前手の指がリボビクスの顔面に向いていたので見ていて凄く嫌でしたが案の定3Rにアイポークが発生していてフラストレーションが溜まっていたところでしたが、直後リボビクスの右がクリティカルヒット!
追いかけてラッシュをかけるリボビクス、上半身を振りながら逃げるゼルフーバー。フラフラになりながらもパンチを返すゼルフーバー。
リーチを掻い潜る気持ちの強いファイトでリボビクスが勝利。これは推し決定!
(フェザー級:メインカード③)ブライアン・オルテガ[#3] vs ディエゴ・ロペス[#12]
一度は流れ仕切り直しとなったランカーマッチ。
イケイケのロペスvsタイトル経験者のオルテガ。復帰戦となったヤイール戦で見事復活を遂げたオルテガでしたがロペスのカウンターに開始早々ダウン。左右のフックが目立つロペスでしたがカーフも強力でオルテガの足が変色するほどに。
ランカー3位のオルテガに勝って一気にトップ戦線に躍り出たロペス。柔術ベースと南米選手特有の気の強さがマッチしたストライキングで次の相手は誰となるか。
大会総括
TDDが成立するかどうか注目していたメインイベントの1Rでしたが、メラブの無尽蔵カーディオの前に”Sugar”ショーン・オマリーほぼアクションを起こせずに5Rが過ぎチームメイトのスターリングの仇を取る形に。バンタム史上最もタフなメラブが長期政権を築くのか。
ここ最近のタイトルマッチではエドワーズ、アデサニヤ、オマリーといったストライカーが立て続けに根性系ファイターに黒星を喫していてアンチストライカーレスラー時代の流れが来つつあります。
コメインの女子フライ級チャンピオンシップではシェフチェンコが得意の回転打撃を完全封印し、相手と打ち合わない距離管理と塩漬けファイトの徹底した自己満作戦遂行を5Rに渡って見事にやり遂げ、UFC275以来約二年ぶりにベルトを巻くことに成功しました。
会場での盛り上がりは欠ける展開だったと思いますが勝てる選択肢をとって勝つこともMMAの魅力の一つで、しっかり楽しめる試合でした。
年齢的にもここで負けたら引退を考えているのでは?とも思っていたのでシェフチェンコの返り咲きは嬉しいものです!
判定の試合もダウンを取られてリカバリーしたりと展開多いものばかりだったので各々の選手のタフさも際立っていましたし、演出によってラウンドガールの衣装や映像が近代化していくのも迫力満点!またスフィアで開催されてくれ!