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【飲食店向け】自前デリバリーとデリバリーサービス(Uber Eats等)の比較

実家が新木場で新木場食堂「丸惣」を営んでいますが、新型コロナの影響を受け、デリバリーを始めることになりました。特にIT周りに関してデリバリー立ち上げのサポートをしましたので、その内容を共有させて頂きます。同じ内容を丸惣デリバリーブログにも記載しています。

はじめに

最近、デリバリーサービスと自前デリバリーの違いについて良く聞かれますので、改めて自前デリバリーとデリバリーサービス(Uber Eats等)の比較を整理したいと思います。(ここでいう自前デリバリーは自身の店専用のデリバリーサイトを持って、集客・販売するデリバリーを指しています。)

飲食店をやられている方は自前でデリバリーをするのかUber Eats等のデリバリーサービスを頼むのか迷われている方も多いと思います。勿論これはどちらかが必ず良いという話ではなく、ケースバイケースだと思います。私達は自前でデリバリーすることを選択しましたが、全員にオススメできるかと言われればそうでは無いです。

主要なポイントをまとめると下記のようになるかと思います。

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配達

デリバリーサービスの良い所は、特に準備が必要無く始められる所だと思います。配達員も準備する必要がありません。自前デリバリーをする場合には、効率良く人員配置しないと配達員が何もしていない時間が長くなったり、反対に配達員が足りなくなったりします。デリバリーサービスの場合にはそこら辺は全部お任せでラクチンです。一方デリバリーサービスは、配達員を店側がマネジメント出来ないので、たまにニュースになっているように配達員によっては配達が雑で、意図せず顧客満足度を下げてしまう場合があります。

デリバリーへの集客

デリバリーサービスは集客力があります。例えばUber Eatsや出前館等は広告を沢山出していたり、他サービスと連携してたりして、多くのユーザを集客しています。ですのでデリバリーサービスに登録するだけで、放っておいてもある程度注文が入ってきます。一方で自前デリバリーの場合には、デリバリーサイトを作っただけでは注文は入りませんので、SNSで発信したり、チラシを配ったりして集客を自分達でやる必要があります。

ではデリバリーサービスには集客で勝てないのかといえば必ずしもそうではなく、デリバリーは半径3km程度のエリアマーケティングであり、やり方によっては集中してマーケティングが出来ますので、デリバリーサービスよりも集客できる可能性があります。丸惣デリバリーも初月から某有名デリバリーサービスの平均注文数を上回ることが出来ました。

手数料

便利なデリバリーサービスですが、そのかわり手数料が30-40%程度かかります。飲食店の営業利益率は平均で10%切っているので、普通にやると赤字になってしまい成立しません。その為、デリバリーサービスを活用している多くの飲食店は、料理の料金を店舗での提供価格から手数料分を上乗せする等高めに設定しています。Uber Eatsを眺めてみればわかりますが、どの店も普通の感覚より高いです。値段を上げてもお客さんが購入してくれるかがポイントになると思います。

コロナ以前は、デリバリーでは利益を出さず、デリバリーサービスをあくまで店を知ってもらう為に活用して店に集客するという考え方もありました。しかし、店舗への集客が難しくなった昨今では、そのやり方は通じなくなったように思います。

自前でデリバリーする場合には、手数料はかかりませんが、配達員の給料だったり事前カード決済した場合にはカード決済手数料等の諸経費はかかります。これら諸経費がデリバリーサービスの手数料と比べてどうなのかがポイントになるかと思います。

お客さんとの接点

ここが一番重要だと考えています。

突き詰めると飲食店はお客さんに満足してもらうためにやっているんだと思います(どの商売もそうだと思いますが)。満足してくれるからお客さんもお金を払ってくれますし、また頼んでみようと思ってくれる訳です。デリバリーサービスを活用すると接点は配達員だけで、お客さんとの接点は基本的にはありません。これだと改善のしようがほとんどありません。一方自前デリバリーだと、配達時にそのお客さんがどのような方なのかがわかりますし、年代や家族構成も推測できます。また玄関口で少しお話させてもらったり、手紙やメールをもらったりすることもあるので、お客さんの細かいニーズもわかります。お客さんに満足してもらうために色々と改善することができます。丸惣デリバリーはお陰様でリピーターが非常に多いのですが、これはお客さんとの接点があるからだと思います。またお客さんに感謝の言葉をもらうことが多く、私達従業員の重要なモチベーションになっています。

店独自の表現

デリバリーサービスは基本的に決められたフォーマットに従って情報を登録するので、店独自の表現はできません。写真を工夫したり、説明文を工夫したりする程度です。

一方で自前デリバリーはそこら辺は完全に自由です。お客さんのニーズに合わせてデリバリーサイトの構成を決められます。やろうと思えば、動画で料理を作っている所を生配信しながら売ることもできますし、お客さんごとにパーソナライズして商品をオススメすることもできます。

丸惣デリバリーでも期間限定で数量限定品の枠を設けて販売したり、ブログを載せて情報発信したりしています。今後もどんどん改善していきたいと思っています。お客さんのニーズを汲み取りながら改善していけば、お客さんの満足度も上がり、売上もリピート率もあげることができると思います。

準備するもの

デリバリーサービスを活用する場合には、基本的にデリバリーサービスが全て準備をしてくれます。たまにタブレットのみ店で準備する場合がありますが、基本的に何も入りません。非常にラクチンです。

一方自前デリバリーの場合には、デリバリーサイトや集客ツール(SNS等)、配達員等は自分達で準備する必要があります。特にデリバリーサイトや集客ツールは一昔前なら準備が困難もしくは高コスト過ぎて自分達で準備することができなかったと思いますが、今はデリバリーサイトはShopify、BASE、Stores.jp等のECプラットフォームを利用できますし、集客にはSNS等がありますので、大分準備コストが下がったように思います。ただそれでも多少ITに詳しい必要がある等、まだまだ課題はあります。

まとめ

デリバリーサービスと自前デリバリーを比較してみました。ざっくり言うと気軽に始めたいならデリバリーサービスで、じっくりと本気で取り組みたいなら自前デリバリーが向いています。

また自前デリバリーだとどうしてもある程度ITの知識が必要になってくるので、ITが不得意ならデリバリーサービスを活用するのが良いと思います。

バーチャルレストラン等コスト構造が従来と異なる新しい試みも増えてきましたので、上記に書いたことは今後色々と変わるかもしれません。私達も色々と新しいチャレンジをしていきたいと思っています。

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