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医療的ケア児の親になって6ヶ月

2ヶ月毎に振り返りや棚卸しを兼ねてnoteを更新しています。息子が爆誕して6ヶ月が経ったので前回の4ヶ月のタイミングで書いたnote以降の動きや思考・感情の変遷をご笑覧ください。

また本noteは、11月から私自身が育休にも入ったので近況報告医ケアの親N=1サンプルとして残すことも目的にしてます。
前回までのnoteはこちら


まとめ

これまでの半年の振り返りとこれかの半年のまとめ
・生後6ヶ月でようやく息子氏が1月末に退院できました。
・息子が帰ってきてもうすぐ1ヶ月ですが昼夜たくさんの人の手に支えられてます
・今は退院直後なので「生活の安定化」がテーマですが、次の数ヶ月は復職を見据えて「活動量の増加」をテーマです
・人にもどんどん会っていきたいので我が家でも外でも是非みなさん会ってください
今回のnoteも文字数が6,000字近くなってしまった・・・

出来事の振り返り(時系列順)

①祖母が医ケアトレーニングに参戦

自分は毎日行きつつ、同じタイミングで病室に大人二人までしか入れないので妻&祖母が練習したい医ケアの内容を調整しながら進めてました。


我が家は息子1人、私と妻との3人の核家族です。退院後の生活は当然3人で過ごす。そして子育てはどんな子であっても大変。

ましてや24時間医療的ケアが必須である我が家は+αでもある。それを親二人だけで切り盛りするのは到底無理だと予期してました。仮に2人で回せたとしても親のどちらかが体調を崩したり、何かあったときにそこで一気に崩壊する。

なので自分たちが病院で医ケアの手技取得を開始した11月のタイミングに、近隣に住む私の母(息子からみて祖母)が幸いにも協力的*だったので彼女も医ケアの手技習得に参加出来ないかを医師に相談しました。

当時の回答は"NO"でした。
コロナの関係で原則面会もNGだったのでそういうものなのか、、、と落胆しながら我々夫婦だけで1ヶ月間手技のトレーニングを行いました。

しかし、NICUから小児科に転科をした12月のタイミングで祖母の参加がようやく認められました。病室に同時に二人は入れないのでスケジュールを決めてかつ習得する内容にバラつきが出ないように管理しながら手技を取得をしていきました。家庭の状況を理解して頂き、調整して頂いた病院関係者には感謝の気持ちでいっぱいです。

*誤解を招きそうな書き方なので補足をすると、両親・義両親・各親戚のみんなにたくさんサポートしてもらっています。上記はあくまでも医ケアの手技習得の文脈でという意味になりますmm


②1回目の院内外泊(24時間)

退院にむけて病院内に私と妻も一緒に息子と泊まり込みで入院をして、家での生活をイメージしながら過ごす練習をしました。

滞在時間は24時間。お昼12時にスタートして翌日の昼12時まで。出産後からそれまでずっと長くても1日に面会時の1〜3時間程度しか息子と過ごすことがなかったのではじめて長時間を共にします。また必要な医ケアの提供だけでなく、何かあったときの応対や医ケア以外の育児全般、そして一緒にいながらも逆にパパママがちゃんと休むこともこの院内外泊で"練習"していきました。

やったことは普段の医ケアに加えて、ベビーカーの乗車練習、呼吸器メーカーの方との顔合わせ、心臓マッサージなどの応急処置など。
退院をした今でこそ何でもないようなこともこの院内外泊を経験するまではたくさんの不安と心配、すべての事象に対して120%のエネルギーで望んでいました。そしてなにより24時間がとても長く感じました。

院内外泊が終わった直後は二人してオール明けのテンションで疲労困憊でそれはそれでなんだか大学時代を思い出すような懐かしい感覚ではありました。笑


③訪問看護や訪問医、ヘルパーの選定、面談、契約

複数の医療機器が常時必要な息子は気軽に病院には行けないので自宅に医療関係者に来てもらいます。家に来て息子を診てくれる①訪問医や②訪問看護師を利用するには複数の選択肢の中から選んで、契約する必要があります。
退院後の生活では最寄りの病院よりこれら医療的関係者のほうが密に連携をとるといっても過言ではない。(最寄りの病院にも引き続きお世話になっているので関係者が増えるイメージ)

退院支援看護師の方に候補の事業者を教えてもらいそこからの選定作業。しかし、選び方がわからない。各事業者の違いや自分たちに必要な要素がわからなかった。

最寄りで①訪問医は2つしかなかったので選びやすかったが、②訪問看護は数が多い上に全世代に対応する総合型小児特化型に分かれており選ぶのに苦労しました。(苦労というか選び方がわからない)前者の総合型はデイサービスやリハビリなども対応しつつ、高齢者などの全世代に対応している。

はじめは総合で1社、小児で1社選んで併用を考えていたが、先輩パパママからのアドバイスで"小児特化"がよいとおすすめされました。総合型だと小児のことが得意でなかったり逆に病院で習ったことを訪問看護の方に共有しないといけないケースがあったりと。

また妻の友人に訪問看護の仕事をしている方がいたので時間をもらって訪問看護に関する解像度を上げるためにヒアリングもさせてもらいました。
紆余曲折して、現在は小児特化の事業所1社に入ってもらっている(この紆余曲折だけで1本のnoteかけそうなくらいごちゃごちゃしたのでいつか書けるなら書きたい、、、笑)
今振り返ってみても小児特化にしてよかったと思います。病院の小児科にいたときと同水準以上のケアを"自宅でも"用意が出来、小児専門なので悩みごとや質問があっても子供にあった解決策をすぐに提供してもらえています。

加えて、夜間には居宅介護としてヘルパーさんに入ってもらっており、吸引などの医療的ケアができるヘルパーさんが一晩中息子を見守ってくれるおかげで私と妻は睡眠時間がちゃんと確保できている。(この辺も別途noteを書きたい)


④退院カンファレンス

リアルとウェブ参加合わせて
15〜20人くらいの関係者に
集まって頂きました。

退院支援看護師さん主導で退院前に関係者が一堂に介してMTGを開いてくれました。目的は、情報や認識のすり合わせと顔合わせである。
医療関係者だけでなく保健師さんや行政の支援課、それまで知らなかった支援に携わる福祉関連の職種の方など息子を支援してくれる関係者がとにかく多いので「連携強化」という意味で意義がありました。


⑤NGチューブからEDチューブへの交換

入院中は経鼻栄養として鼻から胃にチューブを入れてミルクを飲んでいたが逆流が頻発したり、体重増加が伸び悩んでいました。なので胃ではなく、さらに奥の十二指腸までチューブを伸ばすことにしました。
それ以降は逆流もなくなり、再び息子の体重も順調に増え始めた。
手遊びで息子がチューブを触ったり、抜こうとしてヒヤヒヤする場面もあるので固定用のシールを貼っている。お風呂の度にシールを替えているのだがここで私や妻の絵心が日々試されている。。笑

日々息子のチューブ止めに使うシールにお絵描き


⑤2回目の院内外泊(48時間)・クリスマス

2回目は48時間の滞在だったので
妻とシフト組んで臨みました。
当日はこれをベットに貼って
都度確認してました。
妻作成のクリスマス飾り

2回目の外泊練習として前回の24時間ではなく今度は48時間の院内外泊。家でクリスマスを迎えることが出来なかったが妻が色画用紙で事前に準備したクリスマス飾りとともにささやかながら家族の時間を楽しみました。
一晩ではないので睡眠削ったり、ノリで乗り切ることは出来ないので妻とシフトを組んで息子を見守る練習もしてみました。ドキドキだった1回目の外泊練習より体感的にはあっという間に時間は過ぎていきました。


⑥退院延期をし、年末年始に入る

年末前に退院できる状態にはなっていましたが、退院直後に年末年始のタイミングになり訪問看護や訪問医が自宅にこれないのは不安ということで退院を年明けに延期させてもらいました。


⑦もしもマニュアルの作成

もしもの事象ごとにやるべきことをまとめました。
今は連絡先等のその他の資料と合わせて
常にベット脇で保管してます。

家で過ごす上で息子が「もしも◯◯になったら〜」、「✕✕のときは〜」と緊急時用のマニュアルを作成しました。完成までに主治医や訪問看護の方にもチェックしてもらいベット脇の備品と一緒においてありいざというときに参照できるようにしています。

シートを参照してうんぬんよりかは、妻と一緒に作成での過程や先生たちとのすり合わせを通じて自分たちの認識の棚卸しや緊急時の理解を深めることが出来たのがよかったです。


⑧医ケア児を受け入れ開始予定の保育園への見学・面談

自分達が住む自治体では医療的ケア児は満1歳からでないと保育園に入れないのですが息子が自宅では体験できないような多様な刺激を得られるようにと少し早いですが保活をはじめました

車での移動にはなりますが、通えなくはない距離に医療的ケア児の受け入れがしてもらえる保育園があったので役所での相談を経て、保育園での面談・見学をしてきました。受け入れ可能かの正式な判断はもう少し先ですが、現状すぐNGではなかったので一安心でした。

通うことができれば息子の療育にもなりますし、親である自分たちがパパママの役割以外に、別の役割を登園している間に得られるので家族のwell-beingにつながるとも考えています。このまま問題なく入園できるといいな。
保育園に限らず療育のための施設やサービスはいくつもの選択肢があるようなので息子にとってベストな方法を模索していこうと思ってます。


⑨退院予定日の前日に発熱し、退院が1週間延期

いざ、退院予定日を迎えた前日に息子が発熱し、退院が一週間伸びました。退院に向けて周りの大人のバタバタや緊張が伝わってしまったかのかな。笑

⑩産後189日目にしてようやく退院

当初の予定より何度か延期がありましたが、生後6ヶ月で家に帰ってくることができました。退院の1日を1分の動画にまとめたので、もしよかったらご笑覧ください。たくさんの機材・備品とたくさんの大人たちに囲まれた帰宅でしたが息子氏はのびのびと自宅で過ごせています。





退院してから3週間が経った今

親の手を完全に離せる貴重な1〜2時間

昼は訪問看護や訪問医、夜は居宅介護のヘルパーさんが入れ替わり入っていただく生活をしています。お願いしている訪問看護は小児特化でかつ医ケアの家族が完全に休息を取れることを事業所の理念に掲げているところなので看護師さんに来てもらっている間の時間は外出含めて『完全に親の手を離す』ことができます。

新生活をはじめてみるとこれがめちゃめちゃありがたくて日中は息子氏の側を離れられないので気が張って疲れますが、来てもらってる間は完全に個人の時間を過ごすことができます。事業者によっては訪看さんに来てもらっても親が一緒にケアしたり、小児特化でないと逆に親から看護師さんにケア内容を共有することが発生したりします。
事業所ごとの強みや特色は異なりますが我が家には今の訪看さんの考え方やスタイルがとてもフィットしています。訪看選びは一概にどこがいい悪いとかではなく自分たちのニーズに合うことも重要だと感じました。

先輩パパママのアドバイスや妻の友人に訪問看護の方がいて事前に相談できたことで自分たちに必要な要件の整理が出来ました。パンフレットやHPだけで決めてたらもしかして今頃なにか困っていたかもしれません。


次の課題はレスパイト先の確保

我が家には昼夜誰かしらの外部の方がいる生活にはなりますが、親二人だけだったら必ず疲弊して共倒れしてただろうし、「(資料)医療的ケア児者とその家族の生活実態調査」でもその点の課題は明確だったので退院直後のファーストステップとしてなんとかここは避けられているかなと思います。

「医療的ケア児者とその家族の生活実態調査」より

とはいえ、たくさんの人の手を借りていても数週間経った今現在で、すでに疲弊してる部分は正直あるのでレスパイトの確保が次の我々の課題として感じています。

レスパイトとは、「休息」という意味を持ちます。
医療的ケア児の介護は、長時間目を離すことは難しい場合がほとんどです。
安全で長期的な在宅介護のためには、主介護者である家族、特に母親の負担軽減が必要不可欠です。
レスパイトケアは、医療的ケア児だけでなくその家族を社会で支える「家族支援サービス」の一環になります。
また、吸引や経管栄養といった医療処置は、医療従事者あるいは家族以外の実施は行えないため、医療ケアが行える事業所のレスパイトケアを受ける必要があります。
参照:https://medi-blanca.co.jp/column/レスパイトケアの必要性について/




これまでの6ヶ月の振り返りとこれからの6ヶ月

2016年から大学の友人らと毎年末にこのフォーマットで一年の振り返りをしています。
今回はその形式でこれまで半年とこれからの半年を整理してみました。

また、毎年年末に友人たちと一年の振り返りをしているのですがそのフォーマットを使って息子氏が生まれてからの半年とこれから半年を整理してみました。
息子氏の退院直後である今は『生活の安定化』が最重要テーマです。

訪問看護やヘルパー、家族、友人など差し出してもらえる手に全力で頼らせてもらいつつ生活を回していく。家を病院と同じようなNICU化ではなく、適切な医療的ケアの提供と親と子のふれあいの時間の両立を大事にした空間の確保をしていく。そして、その先の生活を見据えた活動量の増加を次の数ヶ月で図っていきたいと思っています。赤字はこれから注力していきたいことです。

親としてすべきこと

足元は育休中なのでたくさんの人の手を借りながら、ご飯の準備や掃除等の家事、息子や家族のケアをなんとか回せています。が、ここから更に復職が乗っかってくると個人パワーでは無理ゲーになるので
①家事の外注(親として必須なことに集中する)
②保育園の入園(日中の自分の活動時間の確保)
③働き方&稼ぎ方の見直し(産前と同じことはできないのでアップデートが必須)
をして最適化していきたいです。

すでに調理家電やネットスーパー等の便利グッズは利用してますが、世のワーママ/ワンオペママ と比べたらまだまだ自分がやれていることは爪が甘いので磨いていく所存です。


今は我が子や妻を見守るだけで疲弊して一日が終わってしまい、会社のチャットやバリバリ活躍する友人のSNS等みてると社会に対してアウトプットが出来ていない今の自分自身に正直焦る気持ちになります。
というか比べてもしょうがないと頭では理解しつつも心がモヤモヤするのでまだまだ人間としての修行が足りないな痛感します。

けれども、目の前にいる必死に一日一日を生きている我が子や家族のために長期の育休を取得したことに一ミリも後悔はないですし、タイムマシンで戻ったとしても同じ決断をしてるとも思います。

今後の生活を見据えてアウトプットのリハビリをかねた個人の作業時間の捻出を徐々にはじめました。今もこのnoteを書くだけでひーひー言ってます。
2ヶ月後のnote更新時はさらりとかけるくらいにリハビリが仕上がってるといいな。笑

最近色んな人と話すなかで親が優先してすべきことは下記だと自分の中で考えています。

①困っていることを言語化する
②子供の未来に関するあらゆる意思決定
③ふれあい時間の確保

逆にこれ以外の困っていることの打ち手の実行だったり、家事だったり、看護だったりは極論いえば誰かにお願いができる部分はあるので上記の①〜③に自分の時間や気力を集中できているかを最近は意識しています。


ここまで読んで頂き有り難うございました!!!




おまけ

退院した数日後にハーフバースデーの記念を兼ねてはじめての家族写真をようやく撮ることが出来ました。

途中で寝てしまった息子氏をカバーしようとそれっぽい写真にしてみました。笑
決め顔風な息子氏
ゆびしゃぶりを覚えはじめて連日しゃぶり尽くしている生後半年の息子氏
撮影の合間にも医ケア


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