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チキンソテーのお話

10年程前のこと。同じ職場で働く65年程お歳を積み重ねられたとある女性スタッフの方に、「今日の晩ご飯は何ですか?」と聞いた時の答えが「チキンソテー」だった。

困ったことに、どうも私は、隣の晩ご飯が気になるのだ。(ヨネスケさんよろしく、突撃することはしないが…)料理名だけを聞くと平凡なもので驚く要素はないのだが、それを奥様の為に作られた上に(既に召し上がってから出勤)、深夜となる奥様の帰りを待っているのが、彼女よりお歳を積み重ねられた旦那さんという事実が驚きだった。

既に定年退職され、趣味の畑メイン、ときどきバンド(たしかギター担当)の生活とはいえ、奥様の為に、「チキンソテー」をお作りになる旦那さん。しかも70歳を超えているのだ。

いやはや、私は負けたと思った。

競争でない限り、人との違いに勝ち負けはないのだが、なぜだか負けたと思った。なんて素晴らしい旦那さんなのだろうと。それをさりげなく、ごく当たり前のこととして語る奥様(女性スタッフ)。もう何年もその様にご夫婦で寄り添って生きていらっしゃるのだろう。

「とても感動したことをお伝え下さい」と奥様にお願いしたことがきっかけで、旦那さんとのお付き合いも始まった。自宅の庭に実る柚子を使い、柚子ジャムを趣味で作られており、毎年瓶詰めされたそれを二つ程プレゼントしてくださる。これが絶品なのだ。困ったことに、市販されているものよりもはるかに美味しい。我が夫婦の楽しみでもあった。

ところが、旦那さんは数年前に他界…。

そして、チキンソテーや柚子という言葉を聞く度に思い出す。

75歳を目前にした奥様とは相変わらず同じ職場で一緒に働いており、先日こんなお願いをした。数年前にお話ししてくれた「チキンソテー」のレシピを教えてくれますか?10年程前の話だが、奥様はしっかり覚えており、数日後に手書きのレシピを渡してくれた。

今度は、普段料理をすることのない私が、私の奥様へ作るために。
ちゃんと作れるのかしらん…。

(う)ご夫妻、ありがとうございます。by雅秋

[チキンソテー・教わったレシピ(一人分)]
※切り取られたnoteに書かれた原文のまま
●鶏もも肉1枚 ●ブロッコリー ●ミニトマト ●レモン
●塩・こしょう 少々 ●サラダ油 ●バター ●小麦粉適量

①筋切りをする。
 鶏もも肉に直角に浅く包丁をいれる。
②皮に穴をあける。
 皮の方に返し、フォークで数ヶ所刺して味を染みやすくする。
③塩・こしょうをする。
 両面に塩・こしょうを軽く振り、手に押さえるようにして下味付け。
④4~5分おいて下味をなじませる。
⑤小麦粉をつける。
 小麦粉を薄くつけ、はたいて余分な粉を落とす。
⑥皮から焼く。
 熟したフライパンにサラダ油を温め、バターを加え、皮を下にして入れ、  弱めの中火で焼く。
⑦ときどきフライパンを揺らし、2分位焼き、きつね色になったら裏返し弱火で4~5分焼く。(蓋はしない)
⑧肉の厚いところに串を刺し、澄んだ汁が出てくれば火が通っている。

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