噺を撮る【あたま山 / 桜】
滑稽噺、人情噺、長屋もの、廓もの、などなど、噺にはいろいろな種類があります。
おもしろくするために誇張しているものが数多くありますが、中には「絶対にあり得ない!」という「空想もの」もあります。
そこには江戸の人々の遊び心がうかがえて楽しくなります。
ケチが衣を着たようなケチ兵衛さん。
花見の時期にもただ花を見て回るだけで、お金はいっさい使わない。
しかし、いい加減お腹が減った。
ふと地面を見るとさくらんぼが落ちていたので、拾って食べた。
翌朝、頭が痛むと思ったら、頭から桜の芽が生えきた。
それがみるみる伸びて大木となり見事な桜の花を咲かせる。
これが世間の評判になり、大勢の花見客が押し寄せ、木の周りで飲めや歌えの大騒ぎ。
ケチ兵衛さん「これはたまらん」と桜の木を根こそぎ抜いてもらった。
するとそこに大きな穴ができて、雨水が溜まり、ボウフラがわき、魚が棲みつき、今度は釣り客で大賑わい。
「こんな苦労はもうごめん」「ひと思いに死んでしまおう」。
ね、なかなか愉快なお噺でしょ?
オチはさらに奇想天外です。
是非、お聴きになってみてください。