双極性障害【朝が変わった】
あれほど悩まされていた朝。
毎朝、仕事に行くかどうか迷っていた。
仕事が嫌なわけではない。
むしろ好きである。
それなのになかなか家を出られなかった。
家を出ようとすると頭が重くなった。
服を着替えては「やっぱりダメだ」とパジャマに戻る。
「やっぱり行こう」と思い直してはまた着替える。
また「やっぱり」と思ってパジャマに。
そんなことを何度も何度も繰り返し、結局行かなかったり、我慢して家を出たり。
毎朝、こんなことの繰り返し。
そうならないうちに、起床後、洗面だけ済ませて急いで家を出ていた時期もある。
起きてから10分くらいで。
それでも駅へ向かううちに、あるいは、電車内で頭の重さが来て、引き返すこともあった。
必ず座れるように異常に早い電車に乗っていた。
座って目を閉じて、音楽を聴きながらなんとか堪えた。
職場のある新宿に着いてようやく「諦め」がつく。
始業の2時間も前に着いて、喫茶店でモーニングを食べながら時間をつぶした。
もう働けないのでは、とも思った。
それが変わった。
今は頭の重さはまったくない。
起床後、ゆっくり洗面を済ませ、朝食も食べることができる。
何の迷いもなく家を出られる。
電車で立っていても平気。
苦痛を感じることはない。
こんなに心地良い朝を過ごせる日が来るとは夢にも思わなかった。
想像もできなかった。
生涯治らないと言われているこの病気。
「もしかしたら治ったのかもしれない」とすら思う。