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いるだけでいい
五代目古今亭志ん生。
昭和の大名人と呼ばれた噺家の一人。
私を落語の世界に引きずり込んだ人。
この人の有名な逸話。
高座で居眠りをしてしまい、前座さんが起こそうとすると、
客席から「寝かしといてやれ!」と声がかかったと聞きます。
志ん生がそこにいるだけで客が喜ぶ。
残念ながら私は高座を見たことはありませんが、
とても魅力のある噺家だったのでしょう。
そして、その息子さんの古今亭志ん朝。
私が見に行ったある落語会でのこと。
前の演者が終わり、出囃子「老松」が始まっただけで
客席から大きな拍手。
本人はまだ登場していません。
誰もが志ん朝を待っている。
そこにいるだけでいい。
そういう魅力のある人になりたいものです。