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噺を撮る【文違い / 内藤新宿】

噺の代表的な舞台といえば長屋と吉原。
いずれも今の台東区や墨田区あたりのようです。
残念ながら(?)私に馴染み深い新宿は噺にはほとんど登場しません。

新宿を舞台とする数少ない(唯一?)噺の一つ。
「文違い」
遊女のお杉と3人の男たち。
それぞれが相手は「自分に惚れている」と信じて疑わない。
それが故の騙し合い。
相手を騙したと思っていたら、自分が騙されていた。
男女の感情のもつれはいつの世も変わらないようです。

/ 噺に新宿が登場しないのは、新宿が文字通り「新しい」場所だったからではないかと推測しています。
新宿は、日本橋を起点とする五街道の一つである甲州街道の第一番目の宿場です。
ただし、甲州街道が整備された最初からあったわけではなく、当初、第一番目の宿場は高井戸でした。
しかし、高井戸は日本橋から遠かったため、この中間地点に「新」たに開設された「宿」場が新宿というわけです。
この新しい宿場の場所は家康の家臣であった内藤家の領地だったことから「内藤新宿」と呼ばれていました。
内藤新宿は甲州街道と青梅街道が分岐した場所でもあります。

「新宿歴史博物館」に展示されている内藤新宿の様子