織り姫は恋煩いのせいにしたの(”織り姫は恋煩い”の原文)

宇宙の果てのあの暗黒星雲よりも冷たい何かが心臓を覆っていた
何かを渇望しているのか 何かに絶望しているのか
心臓は鉛のように重く河の奥底まで沈んでいく
貴方の名前をもう口癖になるほど呼んだのに
貴方の声も思い出せないのよ私
涙が泡みたいに上っていくのを見て
人魚姫のように私も泡になるのかな なんて
貴方との思い出をまるで指の隙間から零れ落ちるかのように忘れるほど
時間の流れが遅くなって何かが遠ざかる
誰にも見つからない私の涙だけが熱をもっていた
 
そう 好き過ぎるだけ ただの恋煩いだ
簡単なことなのに 脱出不可能なのだと
絶望して 渇望して また絶望して また渇望して
そうして繰り返しているうちに辿り着いたのは あまりに単純な答え
 
“もう待てない”と何度目かの最終警告
私が私らしくありたいと願うように
貴方が貴方であればあるほど 私達はあの日を彷徨った
ぐるぐる回る感覚の度に少しだけ期待を抱いていた
貴方を思って泣きそうになっては星たちに慰められる
そんな夜があといくつくるの?
世界の始まりに・・・やり直しがきくのなら
私はまた初めての恋をしてきっと普通みたいに貴方に好きって言えるのに
そして一度忘れてしまえば もし覚えていればなんて考えもしないのでしょうね
なんて恐ろしいの
苦しい恋に狂ったら 大好きな貴方をも責めていた
 
そう 好き過ぎるだけ ただの恋煩いだ
認めた瞬間から 私は自由になった
苦しくて死にそうな水の中で息が出来た まだ河の底
でも全部全部恋煩いのせいにして 私やっと自由になれたの
 
 
どうすれば宇宙は私のために形を変えるの?
七月七日のカササギは何もしてくれない
手を伸ばせば貴方に触れられるのならすぐにでもそうするわ
 
そう 好き過ぎるだけ ただの恋煩いだ
神様がこの恋を過ちと呼んだとしても
永遠のものなんて信じないけれど運命は信じるから
世界がやり直す度に何度でも 私は恋に落ちて私になるわ

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