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レポートは「構え」からあらためよvol.2

先日レポートを見ていて、これまで感じてきた違和感がよりリアルに感じられた。学生は学生で書き方に困っているだろうと思い、「レポートは『構え』からあらためよ」と題した投稿をしてみた。

タイトルが暗示しているように、要は、「構え」、つまり、多くの人が書く前からすでに躓いていた、ということだ。だから、レポートなるものを書く前に「構え」をあらためるところから始めよう、というのが投稿の主旨だ。

学生諸君に少しでも参考になっていれば、と思う。

今日は別のレポートを読んでいて、さらに指摘しておきたい点がいくつかあったので、別の投稿を用意することにした。

今回のレポートの問い

今回のお題を一般化すると、こういうものだ。

Q) 授業で見た資料Aと授業の読みである資料Bが、どのように関係しているかを論じなさい。

よろしいかな。資料Aと資料Bの関係性を論じる、というのがこの問いに目的だ。

さて、このレポートを朱入れしていて多かったのが、以下のような論の展開である(ちなみに、やはり一段落で書く人はいる)。

①Aのまとめ→②Bのまとめ→③AとBがこう関係していると「思う」(手短)。

さて、どこがまずいかわかるだろうか?

問われていることを理解し、結論を出そう

この問いの直接的な答えは何かというと、「AとBがどう関係しているか」である。ということは、先の最後の③を中心とした回答にならなくてはならない。

しかし実際は、肝心のその部分が一言二言に留まり、かつ昨日書いたように「思う」「考える」で結論や論点を濁して終えているものが多かった。つまり思考が思考となる前に、そこで終了している。

問いが「AとBがどう関係しているか」なら、このレポートは、AとBの関係性を中心に構成されなければならない。例えば、3点関係性を見出したらそれが筆者の功績。ただし、挙げただけでは本当にそう言えるかわからない。だから、その3点の根拠をそれぞれ詳しく論じる。これがレポートを書く目的であり、そのために必要なこと(=根拠づけ)だ。

昨日も書いたように、「~と考える」「思う」で思考を(思考に入る前に)「止めず」、そう考え、思った根拠を論じつつ、そこから思考を「始める」のである。

むろん、AとBのまとめから入る書き方もある。その場合、本当に端的に無駄なくまとめないと、文量だけが増えてしまい、AとBの関係性を語る肝心の部分に来るまでに、すでにいっぱい思考した気になってしまい、結論が手薄になってしまう。本末転倒である。

書く前に結論を決める

AとBの関係性を問う問いに対し、AとBのまとめから入ってしまうのは、このレポートを「考えながら」書いているからだ。AやBをまとめながら、どう関係しているかなぁと考えているのである。

ということは、多くの方はおそらく、書いている最中にはまだAとBがどう関係しているか、その答えが出ていないと思われる。

前回のツイート(とnote)に続き、これもまさに「構え」の問題。つまり、レポートは書きながら考えるのではない。事前に考え、思考をまとめたものを、順序だてて説明していく作業こそ、レポートである。つまり、一行目を書くときにはすでに、自分の手のなかに最後の結論があるものなのだ。

したがって、レポートは「徒然なるまま」に書くのではなく、事前に下準備をして書くべし。ある程度の流れと結論が出来たら、あとはそれをどう表現していくかを「書きながら」考える。結論を考えながら書くのではなく、書くはずの結論までの論のつなぎ方と表現の仕方を考えながら書くのである。

結論

まとめると、レポートは1)与えられた問へ直接的に答え、それを中心に論を構成すること、その際、2)書きながら考えず、事前に答えとそこにたどり着く手順を理解して書き始めること。これが先の投稿とnoteに続く、レポート執筆に必要な「構え」2である。

なお、これは基本の話。しかし、いったんこの基本が内在化され、ある程度熟練した書き手になったら、直接的な答えを中心にまとめようとさえすれば、書きながら考えることは可能だろう。ただし、これはあくまでも応用。基礎もなく書きながら考えるのは、単なる無計画としかいいようがない。

応用ができる人は、考えながら書いてもきちんと着地できる。結論が分かっていないまま書き始めても、信じるに値する自分の直感があり、最後には妥当な結論へとたどり着くものなのだ。

野球でもサッカーでも、バスケ、剣道、テニスでも、あるいは、ギターやドラム、ベースでも、うまくなるために必要な基礎の基礎というものがある。野球であれば我流にバットを振るだけではだめで、きちんと素振りができる。否、素振りができることが目的ではなく、素振りは基礎を体得させるための手段だ。基本的な型が身につけば、そこからはみ出るところに「自由」な表現が生まれてくる

そういう自由にかけるよき書き手を目指して、まずは素振りから。

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