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家の鍵を閉め始めた


最近ようやく自宅の鍵を閉めるようになった。

今まで防犯性の高いオートロック式の家で住むことで得られる安心感、当たり前のありがたみをこの一年間で感じた気がする。


自分は些細なミスすら許せない性格で「鍵を閉めることで得られる安心感」よりも「鍵を閉め忘れる恐怖」の方が勝っていた。

計3度空き巣に入られているらしいこの家で、仮に犯人と鉢合わせるのであれば、「鍵を閉め忘れた」という自分の過失より「閉めなかった」という潔さの方が僕には大切で、精神的ダメージが少ないと考えた。

あとはキルミーイフユーキャンだと思った。


この生活を一年間続けたが、もちろん空き巣に入られた形跡はなく無事に過ごせた。

至る所から物音がすることは多々あったが、幽霊か空き巣だろうと気に留めることもなかった。

実際は入られていたら面白いなとも思っていた。



施錠し始めた理由は些細な出来事からだった。

今住んでいる家は祖母の元煙草屋を併設した、二軒がいびつに繋がったもので、主に二階をねぐらとして生活している。

その店舗のドアを開け広げて電気を消し、一人たたずんでいた夜中に、酔っ払い大学生のような三人組が侵入してきたのだ。

「なに?」というとどこかへ行ってしまったのでそれ以上の素性を知ることができず残念だが、恐怖よりどうせ入るなら毅然とした態度でいる度胸も持ち合わせて欲しかったと感じた。


なら閉めるか。


良い子は鍵を閉めた方が良いと思う。

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