大縄跳び
「元気になりたい人、おはいんなさい」
給食のおばさんたちが縄の両端を大きく回している。双子なのだろうか。背格好から声色まで何もかも同じだ。
安心している自分を発見する。いくら久しぶりだからといっても、緩やかに回転する縄を見つめながら、機を見定めるのは簡単だとたかをくくる。
あたりは異様に静かで、縄が風を切る音と、地面に設置する無機質な音が単調に繰り返している。
突風が吹いたかと思うと、縄が高速に回転し始めた。両端にいた給食のおばさんは、和かな表情のまま、肩関節が高速で回転している。
さぁ、タイミングは何度も巡っている。
くぐもった声が聞こえた。
物理的には入り込む余地はある。
でも、出来そうだなんてこれっぽっちも思わない。
さぁ、決めるのは自分だ。
自己責任
門戸は開かれている。
なに?跳ばないの?
そういうとおばさんたちも縄も砂埃になって消えて、雨が降り始めた。
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