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過程を見せるもの、見せないもの

よく映画の関係者だと、映画を作る裏側のことを考えてしまうので、純粋に作品を見ることが難しくなる。というようなことを聞く。

ついつい「これはどうやって撮影した?」とか「脚本は誰がどのような着想で書いた」とか「このセットどのくらいお金がかかるんだろう」とかそういうことに目がいって、ストーリーそのものの世界に入りにくいという。

それと似たような話で、映画を見る前にメイキング映像を見るのはリスクが高いだろう。演じた俳優のインタビューなんかも見るのも禁物かもしれない。うっかり敵同士のふたりが仲良く撮影の裏話なんかをインタビューで語っているのを見てしまったら、それこそ作品に入り込めそうにない。

一方で、では工業製品はどうだろうか。工場見学は一時期ブームになっていたりして今でも根強い人気を持っている。
製造過程を知ったり、設計者の想いを聞いたりすることでより製品の技術を体験しやすくなったり、愛着が湧くのだろう。
自分自身も自動車の知識を得るたびに、自分の乗っている車に愛着が増しているように思う。
プロジェクトXのように、製品が生まれる過程そのものにドラマがあったり、それ自体がブランドになったりもする。

だから映画と自動車は「作る過程を見せてはいけないものと、見せた方がいいもの」という点では正反対だなと思った。

作品や物には、過程を見せた方がいいものと、見せてはいけないものがあるなと思った。

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