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やりたいことが少しずつ

社内の教育用の動画を作成することになった。
会社の中のルールを分かりやすく説明するためのものなのだが、やってみると想像以上に頭を働かせる必要があった。

どこまで背景を深掘りするか
どこまで画面に絵を描いて、残りを言葉で補うか
写真の方がいいか、図にしたほうがいいか
長さはどのくらいが適切か
などなど

少し前にデザインとか動画編集とか勉強してみたいなと思って、例のごとく短期間ガーッとやって、それで飽きてやめてしまった。

でも会社で動画に触れる機会をもらえると、また勉強してみたいなと自然と思えるようになった。

こないだまで、何をやっても「どうせ死ぬ頃には辞める」という、元も子もない観念に足を絡め取られていた。

どこかへ向かってみようと思っても、地面の土を掘り起こして邪悪な根っこがニョキニョキ伸びてきて、自分の両足をガッツリ引き留めるのだ。その巨大な根からは、根よりも一回り細く先の尖った触手が伸びてきて、ふくらはぎとか太ももに刺さる。痛みはなく、感触としてはスプーンでプリンの最初の一口目をすくうみたいに、すんなりと体に入ってくる。
そしてその触手から体の内側を、わずかに湧いてきた貴重なやる気を、ストローでオレンジジュースを飲むみたいにゴクゴク吸い取っていく。それどころか自分の体ごと地面に引き摺り込もうとしてくる。なんとか足をバタつかせて、手でその触手と根を叩き、なんとかその拘束から逃れる。そんな内面の世界だった。

でも最近は、地面から根が出てくるにはくるのだが、肌を硬くしてなんとか触手の貫通からは逃れている感覚だ。
しばらく体を固くして、目を閉じて、無視してやり過ごしていると、根は飽きたのか諦めたのか地面に引っ込んで行く。
それを察知して目を開けると、汗をかいた体に風が吹いてきて心地いい。
空気を肺いっぱいに入れると、「まぁ、とりあえずやってみよかな」とさらっとしたやる気が体を駆け巡る。
飽きたり、ダメだったらやめればいいのだ。

いずれにしても、やりたいことが少しずつ出てきたことで、自分への自信回復や、日々の不安の軽減がなされいる。
やっといいサイクルに入り始めているのかもしれない。

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