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文系高学歴の間で広まる経済成長不要論の浅はかさ

最近、周りで「日本は成熟国家なのでこれ以上経済成長できないし、する必要もない」といった意見をチラホラ聞くようになった。

今日は、その「経済成長不要論」がいかに浅はかな思考であるのかということを伝えたい。

1. 経済成長不要論の起源

まず、このような議論が形成されるようになったきっかけは、むしろホリエモンこと堀江貴文氏や落合陽一氏など、実業家や資本主義者が唱える「好きなことで生きていく」という言葉を資本主義に対して懐疑的な文系高学歴の人間が誤解したところから始まると考える。

そもそも、堀江氏や落合氏が「好きなことで生きていく」という思考に至ったのは、「AI化で必要のない仕事が増えるから」ということだけではない。「人間は利己的な動物であり、自分の意思に逆らってやりたいとも思わないことをしようとするとどこかでモチベーションが保てなくなるので、それくらいだったら、自分が情熱を注げる分野で事業を立ち上げた方が実行力や行動量が増して事業の成功確率が上がる」と彼らが考えているからだ。

つまり、彼らはあくまでも経済活動を活性化させるために「好きなことで生きていく」を唱えているわけである。

一方で、彼らの「好きなことで生きていく」を誤解した文系高学歴の人間は、「日本は成熟国家なのでこれ以上、経済成長はできないし、する必要もない」と考えているケースが周囲を見ている限りでは多い気がする。もちろん、データを集めて統計したわけではないので、正確なことは言えない。

つまり、そういった若者は資本主義に懐疑的な意見を持っているということだ。共産主義者はいなくともシェアリングエコノミーなどの言葉が流行するのはその一因だと思われる。

2. 文系高学歴の間で広まる

次に、「経済成長不要論」が広まっているのはなぜ文系高学歴中心なのかということについて話したい。これは、高校、大学と学生生活で関わる知人に、理系や高卒で土木関係や機械関係の仕事をしている人が少ないからだと思われる。

土木関係や機械関係の仕事をしていれば、「公共インフラや工場機械は消耗し、いずれ、新しく、次はもっと質の高いものに作り替えなければならないということは当然だと考える。

しかしながら、文系高学歴は鉄道マニアでもない限り、自分が通勤通学に利用している電車は、夜間に作業員が線路の保守工事を行なっているおかげで走っていることを知るすべもない。

つまり、周りの環境に恵まれているせいで地に足をつけた思考ができなくなってしまっているということだ。

3. ロシア極東の成れの果て

次になぜ経済成長不要論が浅はかなのかを解説したい。経済成長不要論の最大の欠点は、社会を一国単位でしか捉えられていないということである。世界には日本以外にも経済成長を目指している先進国はたくさんある。もし、日本だけ経済成長を諦め、他の国だけが経済成長を続けるとどうなるだろうか?

日本よりも便利な製品やサービスなどがどんどん生まれることだろう。前述した通り、人間は欲深き動物なので、もし、他の先進国が外国語を流暢に話せなくても暮らせるくらい便利な社会になっていれば、欲を求めて人々は海外に移住し、日本からの人口流出は避けられないだろう。「ただでさえ少子化が進んでいるのに」だ。

そんなことは幻想にすぎないと思うかもしれないが、現在、同じようなことがロシアの極東で起こっている。ロシアは極東開発を進めているように見えるが、公共インフラはことごとく廃墟と化している。

最後に、この記事が経済成長不要論を信奉している人々が、自身の経済観を考え直すきっかけになってくれれば幸いである。

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