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今週のTop Tier VCニュース!#24(2022/7/10週)

先週(#23)のInsight Partners、Sequoiaに続き、今週もLightspeedとBattery Venturesが新たなメガファンド($1B以上)の組成を発表しました。米国では2022年上半期で$121.1BのVCによる資金調達が実施され、Dry Powderは歴代最高値を更新しており、VCの投資余力は十分です。

今週の投資先ハイライト

メキシコ発Fintechの"Stori"が$150Mを調達しユニコーンへ

主な投資家

  • General Catalyst

  • Lightspeed Venture Partners

  • GGV Capital

概要

Storiは、BAI Capital, GIC, GGV Capital, Lightspeed Venture Partners, General Catalyst, Vision Plus Capital等が参加したSeries C-2で$150Mを調達し、ユニコーンクラブ・クラブに参加した最新のメキシコ企業となった。

同社の評価額は$1.2Bに達し、最高統治責任者兼共同創業者のMarlene Garayzarは、メキシコでユニコーンのTechスタートアップを創業した最初のメキシコ人女性となりました。

$150Mの資金調達の内訳は、株式による$50Mと、Davidson Kempnerか$100Mの借入枠も含まれている。

今回のSeries C-2は、Storiがラテンアメリカ最大のSeries Cラウンドの1つである$200Mの資金調達を完了してからわずか9ヶ月で行われました。

2018年に設立されたStoriは、十分なサービスを受けていない人々にクレジットカード商品へのアクセスを提供しています。現在、メキシコで140万人の顧客がおり、カードの申し込みから請求書の支払いまで、すべてのユーザー体験はStoriのモバイルアプリで実施されます。銀行口座のないカスタマーでも年間利用料金なしでクレジットカードを所有し、クレジット(信用)ヒストリーをで作ることができます。

昨年は、メキシコのFinTech企業である「暗号取引所の"Bitso"」「決済プラットフォームの"Clip"」「銀行ソフトウェア開発会社の"Konfio"」「支出管理サービスの"Clara"」の4社がユニコーン・クラブに加盟しました。


パリに拠点を置く自律分散型組織(DAO)の"Morpho"が$18Mを調達

主な投資家

  • Andressen Horowitz (a16z)

  • Spark Capital

  • Coinvase Ventures

概要

Morphoは、Andreessen HorowitzとVariantが共同リードし、Spark Capital, Coinbase Venturesなど100近くの投資家がさんかしたEarly-stageラウンドで$18Mを調達した。

パリに拠点を置くCryptoスタートアップのMorphoは、わずか1年半前、ブロックチェーン上の金融ルールを支えるアルゴリズムであるDeFiレンディングプロトコルをより効率的にするための研究プロジェクトで会社を設立しました。

Morpho Labsは、研究成果であるMorphoプロトコルをプログラミングするオープンソースのソフトウェア開発会社です。分散型の貸し借りをより効率的にすることを目指しています。

Morphoはオープンソースの自律分散型組織(DAO)で、ユーザーが暗号通貨を貸し借りできるようにします。このプロトコルは、すでに存在するAaveやCompoundなどの基礎となる融資プロトコルで開発されたピアツーピア(P2P)交換モデルに基づいています。

Morpho Labsは、Morpho DAOを通じて、プロトコルの改良に取り組むことで資金を得ている一方、DAOはユーザーから少額の手数料を徴収し、その使用方法を管理しています。


ストリーミングデータベースPFの"Deltastream"がSeedで$10Mを調達

主な投資家

  • New Enterprise Associates(NEA)

概要

Deltastreamは、ステルスから抜け出しNew Enterprise Associates(NEA)がリードするSeedで$10Mを調達しました。

企業向けのストリーミングデータベースプラットフォームを開発しているDeltaStreamは、データストリームを管理、保護、処理するためのサーバーレス・ストリーミング・データベースを提供しています。"サーバーレス "とは、DeltaStreamがインフラを抽象化し、開発者がサーバーについて考えることなくデータベースとやりとりできるようにする方法を指します。

「今日のインターネットユーザーは、オンライン上でカスタマイズされたリアルタイムのデジタルインタラクションを期待しており、こうした体験を提供するには、ミリ秒単位のスピードでデータを処理する必要があります。この要求に応えられないと、顧客の不満や喪失による収益の低下、ダウンタイムや不正行為を迅速に発見できないことによるコスト増が発生します。しかし、データをリアルタイムに処理することは、ほとんどの企業にとって難しいことです。既存のソリューションのほとんどは、バッチベースのため数分から数時間でデータを処理するか、導入と拡張に高価な専門チームを必要とします。DeltaStreamは、クラウドネイティブのリアルタイムストリーム処理ソリューションでこの課題を解決します。使いやすく、自動的にスケーラブルでありながら、コスト効率を維持することができます。リアルタイム・ストリーミング・アプリケーションの構築には、データ管理や分散システムのスキルを持つエンジニアリングチームが必要です。そのような人材を獲得するための競争は激しく、多くの企業がそのようなチームを持つ余裕を持てずにいます」とCEOは説明しています。

DeltaStreamは、表向きはイベントストア(イベントを保存するために最適化されたデータベース)に接続し、コンピュートとストレージのタスクを実行することでこの課題を解決します。このプラットフォームは、KafkaやAWS Kinesisなどのストリーミング・ストレージ・システムの上に計算レイヤーを提供し、ユーザーが1つまたは複数のサービスからデータを読み取り、計算を実行して、その結果を異なるストレージソースに同時に書き込むことを可能にするものです。


バイオ医療薬品の"Gossamer Bio"がPIPEで$120Mを調達

主な投資家

  • New Enterprise Associates (NEA)

  • ARCH Venture Partners 

概要

Gossamer Bio (Nasdaq: GOSS)は、同社の普通株式約1660万株を1株当たり7.21ドルの価格で、機関投資家と認定投資家からなる選別グループへ私募で売却すること(Private Investments in Public Equities: PIPEs)に同意したことを発表しました。この資金調達には、EcoR1 Capital, New Enterprise Associates(NEA), Weiss Asset Management, Madison Avenue Partners, Rock Springs Capital, Boxer Capital などの新規および既存の機関投資家と、Gossamerの一部の取締役および執行役員が参加しています。

免疫、炎症、癌の疾患領域における治療薬の発見、買収、開発、商業化に注力する臨床段階のバイオ医薬品企業であるGosamer Bioは、セラルチニブ・プログラムの支援に加えて、他の製品候補や開発プログラムの研究開発、運転資金や一般企業向け目的に使用する予定です。今回の資金調達により2024年半ばまでの営業および資本支出を賄うのに十分な資金となることが期待されます。


投資環境

Lightspeedが新たに$7B超の資金調達

  • Lightspeed Venture Partnersが4つの新たなファンドを組成し、総額$7.1Bの資金調達を実施し、AUM(運用資産総額)は$18B超に達しました

  • 4つの新たなファンドの内訳は、①14号 Fund[Early]($1.98B), ②Select Fund[Growth]($2.26B), ③Opportunity Fund[Global] ($2.36B), ④India Fund[APAC]($500M)

  • また、新たにLightspeed Factionというブロックチェーンインフラストラクチャの優れた創業者を支援してきた歴史をもとに、その専門性を高めるための独立したCrypto NativeなBlockchainチームの組成を発表した


Battery Venturesが新たに$3.8Bの資金調達

  • Battery Venturesが3つの新たなファンドを組成し、総額$3.8Bの資金調達を実施し、2022年3月時点のAUM(運用資産総額)は$17.8Bでした

  • 3つの新たなファンドの内訳は、①14号 Fund[All stage], ②Common fund(①②の合計で$3.3B), ③Select Fund Ⅱ[Follow-on] ($530M)

  • Batteryは創業からこれまでに450社以上に投資し、73件のIPO, 195件のM&A Exitの実績。2021年だけでも8件のIPOと13件のM&A Exit


米国VCの資金調達はメガファンドが牽引し、2022年上半期で$121.5B

  • 米国のベンチャーキャピタルは2022年の上半期に$121.5Bを調達し、2021年に記録した$138.9$の87%をコミットしたことが明らかになりました

  • 今年の総額のうち、$77Bは$1B以上のファンドにコミットされたもので、メガファンドが調達した年間総額としては断トツに大きいものです

  • 一方、2022年Q2のディールメーキングは$62Bに減少し、2020年Q4以降で最も低いディール額を記録しました


2022年Q2の米国ベンチャー市場

  • PitchBook-NVCAが「Venture Monitor Q2 2022」を公開

  • 第2四半期の好調な資金調達は、VC市場に明るい兆し

  • 2022年Q2は米国のベンチャー・エコシステムの投資環境が厳しくなったが、ディールメーキングが引き続き好調なEarly-stageや、LP(投資家)からの関心を集め続けている大規模VCファンドの資金調達など、VC業界のいくつかの領域は今のところ比較的影響を受けていないようです

  • 100件以上のLater-stageメガディールが6四半期連続で成立していましたが、2022Q2の最終集計では約26%減となり、この期間の最も低い数値

  • 2022Q2はIPOの窓口が事実上閉鎖され(8件のみ)、ベンチャーキャピタルが支援する株式上場は13年ぶりの低水準となった

  • 米国VCによる資金調達額は2年連続で$120Bを超え、主に米国内のTop-Tier VCが牽引

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