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今週のTop Tier VCニュース!#59(2023/4/3週)

Pitchbook-NVCAが2023Q1の米国VC業界動向の速報をリリースしましたが、Silicon Valley Bankの破綻は、最悪の事態は避けられたとはいえ、VCエコシステム全体に混乱をもたらしており、2023Q1でのExit額は、記録的な金額を叩き出した2021年総額のわずか1%に留まる$5.8Bだったとのことです。全体的な投資案件数も減少傾向が続いており、Later-stageのスタートアップの資金調達も支援するメガファンドブームも終焉を迎えているようです。
今週ピックアプした投資案件は、VRスマートコンタクトレンズの開発を目指していましたが、VC投資において業績が重視される環境の変化に対応するよう事業の軸足をピボットし、短期的に大きな市場可能性があるとわかっている技術の商業化にフォーカスする予定です。現在の資金調達環境をよく表した案件だなと感じます。

今週の投資先ハイライト

マイクロLEDディスプレイ技術の商品化を進める"Mojo Vision"がSeries Aで$22.4Mを調達

主な投資家

  • New Enterprise Associates

  • Khosla Ventures

概要

Mojo Visionは、New Enterprise Associates, Khosla Venturesなど新しいミッションを信じる既存の支援者および新規投資家のDolby Family Ventures、Liberty Global Ventures、Fusion Fund、などが参加した「新たなSeries A」と呼んでいる資金調達ラウンドで$22.4Mを調達した。

Mojo Visionのピボットに関するニュースは、CESの開催中に発表されました。過去数年間、Mojo Visionは、初の拡張現実スマートコンタクトレンズであるMojo Lensの開発で大きな進歩を遂げました。昨年、このレンズの最初の完全なプロトタイプを実演し、CEO自身がこの画期的な技術を身に着けてテストした最初の人物となりました。しかし、製品開発に重要な進展があったとしても、Mojoは資金調達の面で大きな困難に直面していました。世界経済の低迷、極めて厳しい資本市場、先進的なAR製品の市場の可能性がまだ証明されていないことなどが原因で、Mojo VisionはMojo Lensの開発を継続するための追加の民間資金を見つけることができない状況に陥っていました。

より直接的な市場機会を生かすため、同社は事業の軸足を変え、MojoのMicro-LED技術にリソースを集中させることを決定しました。この変更は、Mojo VisionがMojo Lensの開発を減速させるという難しい決断をしたことを意味します。会社のリソースを、短期的に大きな市場可能性があるとわかっている、世界クラスのMicro-LEDディスプレイ技術の継続的な開発と商業化に向けることにしました。同社はプロジェクトを中断に際し、スタッフの75%を解雇すると発表しました。

同社は、レンズの心臓部であるマイクロLEDディスプレイ技術の商品化を進めています。このコンポーネントの技術には、現在、より大きな市場があり、より管理しやすいロードマップがあることは確かです。以下は、同社が発表したこの技術のスペックと詳細です。

  • 1インチあたり最大28,000ピクセルのダイナミック表示

  • Sub-μmス scaleで高効率な青色マイクロLEDデバイスを実現

  • 赤・緑用高効率量子ドットインク

  • 1M+nitの高輝度

  • 最適化されたCMOSバックプレーン、wafer0towafer bonding、カスタムマイクロレンズ光学系を組み込んだディスプレイシステム

  • 300mmシリコン上の窒化ガリウム(GaN)をベースにした大量生産プロセスで、エンドツーエンドの300mmフローを実現

「今回の資金調達により、画期的なモノリシックマイクロLED技術を顧客に提供し、高性能マイクロLEDの市場投入を支援することができます」とリリースで述べています。



投資環境

【速報】2023 Q1 米国の最新VC動向

  • Silicon Valley Bankの破綻は、最悪の事態は避けられたとはいえ、VCエコシステム全体に大混乱をもたらしました

  • 米国の全体的なディール数は、減少傾向が続いており、前四半期比で更に25%以上減少

  • VCが支援する企業の2023Q1のExit額は$5.8Bに過ぎず、2021年の記録的なExit総額の1%にも満たない状況

  • 2022Q1には98件のメガラウンドが発生したのに対し、2023Q1にはわずか19件のみで、Later-stageのPre-money Valuation中央値も2022年比で16.9%低下し$54Mへ


2022年のメガファンド($1B超)ブームの終焉

  • 近年、米国のVC市場は資金調達のペースが抑えられなくなり、2022年には年間$162.6Bのキャピタルコミットメントという記録的な数字に結実しました。

  • しかし、この記録的なコミットメントは、ファンドの規模によって均等に分配されたわけではなく、多くの資金が大規模なファンドに投資され、$1B以上のコミットメントでクローズしたファンドは過去最多の$93.0Bで、これは2022年の資金調達額の57.0%に相当します

  • 2022年に$1B以上を調達したベンチャーファンドは35社で、2021年以前の年と比べると3倍以上でした。Andreessen Horowitzだけでも、2022年に4つのメガファンドを設立ししました

  • しかし、メガファンドの躍進は長くは続きそうにありません。Exit活動が低迷しパフォーマンスが低下すると、メガファンドのブームは終わりを告げています

  • 米国VC市場全体の資金調達の減速に伴い、2022Q4と2023Q1には、$1B規模のファンドのクローズは4件にとどまっています

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