【刑事事件】撮影罪について
１．はじめに
性的姿態等撮影罪、いわゆる撮影罪についてご紹介したいと思います。
正確には、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像にかかる電磁的記録の消去等に関する法律」の第２条です。
これまでは、各都道府県の迷惑防止条例で取り締まりがされていましたが、昨年（２０２３年）７月１３日から、全国一律で処罰する盗撮罪が施行されています。
県をまたぐ電車（たとえば、京浜東北線）や飛行機内では、どの都道府県で盗撮（犯罪）が行われたのか（どの県の条例が適用されるか）、わからないという困った場合もありましたが、そのような問題もなくなりました。
２．盗撮罪の増加と厳罰化
これまで、迷惑防止条例では、１年以下の懲役または１００万円以下の罰金（たとえば、いわゆる東京都迷惑防止条例）であったのが、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となり、厳罰化されています。
※なお、拘禁刑は、来年の刑法改正で導入されたもので、これまでの懲役刑と禁錮刑を一本化したものです。あまり、違いはありません。
何より、スマートフォンや盗撮グッズの普及で、「気軽に」盗撮ができる環境になってしまいました。テクロジーの進化により犯罪が身近になってしまいまいた。ですので、盗撮罪が増え、結果、厳罰化となりました。
レジ袋がなくなって、マイバッグ万引きが増えたのと同じ感じです。時代により犯罪が変わってきます。
上の記事のように、新法で、弁護士までもが検挙されてしまいました・・・。
性的志向に根差す犯罪で、気軽にできてしまうので、なんというか、誰でも陥ってしまう犯罪です。
盗撮や痴漢やの志向趣向は、それを持ってしまうとなかなか解決（処理）が難しいです。同意があるものでは満足できないからです。
それに加えて、スマートフォン等で気軽にできてしまう盗撮は、どうしても増えてしまいます。
３．典型的な相談内容
事件の内容としては、①電車などで不特定の者のスカートの中の盗撮、②風俗店などで隠して撮影、③知り合いを家に呼んだ際にこっそり撮影、という事例が圧倒的に多いです。
相談の内容としては、撮影はしてしまったものの（画像は保持している場合と既に怖くて廃棄してしまった場合）、逮捕・勾留されるのではないか、刑事裁判になるのではないか、自宅や職場にガサ入れ（捜索差押）されるのではないか、と不安がある相談者が多いです。
４．相談を受けた際の質問事項
相談を受けたときに、私の方で質問させて頂く事項は、下記の記事（児童ポルノ単純所持）とだいたい同じなので、ご興味があればご参考ください。
５．性的影像記録提供等罪
新法には、盗撮行為だけではなく、盗撮画像を不特定又は多数の者に提供する行為も罰せられます（同法第３条第２項）。
盗撮した画像を、個人的に撮りためている場合（上記ニュースのような事件）だけでなく、盗撮した人は、ウェブなどを通して、利益を得るかどうかは別として、公開したい（他者に提供したい）と思う人も多いようです。
この場合には、より足がつきやすくなり、より警察からの検挙の可能性が高まります。
犯罪の警察による検挙は、①被害者を通じての発覚と、②警察によるサイバーパトロールが主です。単なる撮影罪ですと、①だけですが、ウェブで提供してしまうと、①に加え、②の可能性も高まります。
法定刑は更に重く、５年以下の拘禁刑若しくは５００万円以下の罰金と大変重くなっています。
６．最後に
盗撮がやめられないという被疑者・被告人の事件を多数担当しました。最初は、「そういったことをやらせてもらえる風俗に行くとかではダメか？」とアドバイスしていましたが、やはり、同意がある場合とそうでない場合では違うようで、スリルなどでやめられないそうです。
性的志向は、生理的なもので、その人に深く根差したもので、それが犯罪になってしまうと大変つらいと思います。いっぱい見てきました。皆さんが、合法的に解決できる性的志向のみをお持ちであるのなら、それは本当にラッキーだと思います。
社会で生きていく以上、犯罪になるような行為はできません。
カウンセリングや病院に通うという手段もありますが、なかなか難しいようです。アルコールや薬物依存はもっと大変ですが。
何かあればお近くの弁護士にご相談ください。
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