川村真司 / Masashi Kawamura
らくがきARがどうやって生まれたか
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

らくがきARがどうやって生まれたか

川村真司 / Masashi Kawamura
画像2


Whateverが自社プロダクトとして企画・制作したiPhoneアプリ「らくがきAR」。8/1日に公開して、瞬く間にApp Store無料&有料アプリ総合ランキング1位(中国・韓国・台湾・インドネシア・マレーシア・シンガポール・タイ・ベトナムの有料総合ランキングでも1位!アジアで大人気!)になるほどの話題となっています。今回は普段の独り言ではなく、らくがきARをはじめとした「らくがきプロジェクト」をリードしてきた弊社クリエイティブディレクター宗佳広とプログラマー岡田隆志を迎えて、その制作のきっかけや裏側をちょっとだけみなさまにご紹介したいと思います。

コメント 2020-08-04 115002

まさ:らくがきAR」、公開後の広まり方がすごかったね!あっという間に30万ダウンロード(8/5朝時点)されて、正直びっくりしたw 小さい子供から、ワンピースの尾田栄一郎さんといったプロの漫画家さんまで幅広く楽しんでもらえていて、すごくオーガニックに広がってる気がするね。

宗:元々プロトタイプの映像は公開していたし、去年アワードとかも頂いていたコンテンツだったので、ここまで反響があるとは思って無くて本当にびっくりしました…デモではなくて、きちんとプロダクトとして完成させられて良かったです。こんなに遊んでもらえて、本当にありがたいです。

まさ:というわけで、せっかくこんなにたくさんの人に遊んでもらっているアプリなので、色々と裏側のお話を聞いてみたいなーと思って、公開後の対応で忙しいところだと思うけど、ちょっとお時間もらいました。まず「らくがきAR」アプリの企画・開発の経緯などを教えて下さい。

宗 : まささんご存じのように、Whateverに入る前のココノヱ時代から、らくがきを認識してそれを動かすっていう技術を使って、10年以上らくがき関連コンテンツを制作してきました。

まさ:話はじめて10秒で、いきなし話の腰をおりますが、読んでくれている人のために、これまでのらくがきコンテンツについてもちょっと教えて下さい。

画像5

宗 : はじまりは2010年ですね。「撃墜王ゲーム」というタイトルで、カードに描いた飛行機が描いた絵柄によって攻撃力やスピードが変わり、複数体で対戦するっていうゲームをつくったんです。ちなみにそれが後の2016年に、SEGAさんと共同開発してゲームセンターに「らくがきカードバトル撃墜王」としてリリースされました。現在もひっそりとゲームセンターの隅にあるかもw それから2012年に電通さんと一緒に「らくがき水族館」で描いた魚を泳がせました。その後にらくがきARの母体となった「らくがき動物園」を作ったのですが、そこで初めて描いたものに自動でボーン(骨)が入るシステムを開発の中心メンバーだった山田純也が作りまして、その時は驚愕しましたね。ホネボーン(HoneBorn)システムって命名したのは山田君です。

で、2017年にiPhoneにAR Kit が実装されて、iPhone単体で空間認識ができて、ARコンテンツが作りやすくなって。らくがきと相性いいんじゃね!?ってDeveloper版のiOSをインストールして、今までのらくがきコンテンツと組み合わせてみたのがはじまりでした。

らくがきARの原型はこの時ほぼ出来上がっていたし、プロトタイプとしてお客さんに見せたりして、ここから色々なコンテンツに派生・展開できたらいいねって話をしていたのを覚えてます。でもそんな中、ずっとそれまでいっしょにらくがきコンテンツを作ってきた山田君が、他界してしまったんです... さらにはその後ココノヱとWhateverの合流というビッグイベントも発生して、少しそこから間が空いてしまいました。

でもその合流時にまささんにらくがきARを見せた時、「これ絶対ちゃんとリリースしよう!」っていうCCO命令w が出て。あの毒舌のまささんが褒めてくれるのってやっぱり山田君すげえし、こりゃ一般のユーザーにも体験してもらわんといかんな、って思いつつも日々の業務に追われてました。

しかし今回のコロナ禍で家にいるお子さんに是非プレイしてもらって、家での時間を楽しくすごしてくれたらなっていう思いもあり、私と岡田くん、小桃ちゃんのチームで、山田君の技術と意思を引き継いで、プロジェクトをリブートしてついにリリースまでこぎつけた、という感じです。

まさ:いろいろな歴史があって誕生したプロダクトだったんだね!僕は残念ながら山田君とはほとんど面識がなかったのだけど、彼の意思をチームが引き継いで、みんなでらくがきARを完成させられたのは本当に良かったね...。そしてその後押しをちょっとできたのは僕としても嬉しいです。(普段そんな毒舌かどうかは知らんけどw) じゃあ続けて、実際の開発作業がどういう風に進んだのか聞いてもいいかな?

宗 : はい。まず、リブートの最後の一押しになったのは、去年の「デジタルえほんアワード」でした。プロトタイプ版の「らくがきAR」をエイヤ!と応募したら、なんとグランプリを頂いてしまって。その関係で、先日オープンした角川武蔵野ミュージアムへの展示のお話までいただき、展示をするならちゃんと完成させないと!!ってこともあって、きちんと製品レベルまで品質を引き上げて、App store配信と平行で角川武蔵野ミュージアムへの展示プロジェクトも進めていきました。

まさ:確かに、実際に展示するとなるとプロトタイプではダメだもんね。実際に公開されたプロダクトのプログラムを担当した岡田くんに聞きたいのだけど、 表現や開発で工夫・苦労したところってどこですか?

岡田:らくがきを「動かしたい!」と思ってから「動いた!」まで、いかに簡単な操作で実現できるかですね。らくがきARはアプリ起動かららくがきが動き出すまで1タッチです。簡単!

過去のらくがきコンテンツはキャリブレーションがとても重要で、展示用に開発された撃墜王ゲームなどは、展示場所の照明位置とか、体験する時の人の影など環境光の変化に弱くて、設営前にすごい量のパラメータを調整していて。あとスキャンできる範囲指定がとても大事で、その実寸とカードの大きさから当時はセンシングしていたんですが、カメラが動くと設定がやり直しになります。子どもって、触っちゃうんですよね気になるとw

画像5

らくがきARは、もともとiPhoneのカメラ性能が良いというのもありますが、多少スキャン精度に問題がある環境でも体験者が絵を読み取りやすい位置を探ってカメラを動かしてくれるのでその点助かってます。あと、ARKitは距離が測れるので、実寸サイズ固定のスキャン範囲そのものを動かしてしまおう!という逆転の発想でスキャンエリア問題を解決しています。

いままでの経験とノウハウが1タッチでのスキャンを生み出してるのかなと思います。

まさ:できるだけシンプルに、ラクガキが魔法のように命を吹き込まれる設計、というのは体験として効いていると思います。簡単がゆえにたくさんの人が遊んでくれているし、簡単がゆえに余計驚きがある。宗さんにも聞きたいのですが、制作者としてここを体験して欲しい!というポイントってどこでしょう?

宗 : 岡田が言っていることに近いですが、まさに「自分の描いた絵と空間を共有できている」感覚です。できるだけアナログ⇄デジタルないし、現実⇄仮想の遷移をシームレスに体験してもらえるように考えて設計しています。

今までのらくがきコンテンツでも、自分が描いたものがスキャンされて動く瞬間はお子さんはもちろん、大人の方でも感動してくれて、それはすごく嬉しかったんです。それが、ARになると「自分の空間に自分の絵がいる」という感覚がより強く感じられて、親しみや愛おしささえ感じられるようになったと思います。

画像6
画像7
画像8

まさ:たくさんの人が遊んでくれている「らくがきAR」だけど、今後のアップデート予定ってなにか考えてますか?

宗 : これをベースに対戦ゲームを作りたいんですよー!以前作ったらくがきコンテンツに「召喚!らくがきモンスターズ」という対戦ゲームがあるんですが、展示イベントでは一番の人気で、自分の描いたモンスターズが描いた絵柄によってパラメーターが変わるんです。これ、AR上で、複数人それぞれのスマホで見ながらAR上でバトルしたら絶対楽しいと思うんですよねー。コップに隠れながら飛び道具とか、机から飛び蹴りとか。

画像3

岡田 : あとはダンスが相性いいと思います。TikTokではすでにそういう遊び方をしてくれているユーザーさんがいるのですが、ただ、音楽に合わせてらくがきが踊るだけでなく、らくがきと一緒にユーザーが踊るとか、そういう遊びをユーザーさんが見つけて広げていってくれたらうれしいなぁと思ってます。

ただ、アプリは開発自体もそうですが、運用も大変なので…たくさんご要望いただいているandroid版の開発も体力が要りますし…協力していただけるゲーム会社さんとか…いないかな… |д゚)チラッ

まさ:たしかに今のシンプルさはキープしつつ、対戦ができたり、ダンスを踊ってくれたり、もうちょっと生まれたキャラたちのパフォーマンスが増えたり操作できるようにしたり、インタラクションが増えたらさらに面白いかもしれないね。あともっと基本的なところで、android版はすごく作りたい!だけど、開発にはたしかに結構な時間がかかりそうだね...。最後の質問ですが、らくがきARに限らず、これからのらくがき系コンテンツの展開についてはなにか考えてます?

宗 : 絵を描くことって、世界共通で老若男女が表現できる手段だし、コミュニケーションの方法でもあると思ってます。世のデジタル化が進んでも、そのアナログな表現方法を基軸としていい感じにデジタルがミックスされたコンテンツを作り続けていきたいです。なので自社開発だけでなく、ぜひラクガキを生かしたお仕事のご相談もお待ちしています!

あと、一時期「らくがきミュージアム」っていう名前でらくがきコンテンツを集めたイベントを全国で実施していたんですが、その時の一般の方々からの温かい声が忘れられないんです。またそういったイベントや催事にも展開していけたら嬉しいですね。

まさ:いろいろなコンテンツを体験できるイベントは楽しそうだね!子どもたちがめちゃくちゃ遊んでくれそう。まだまだいろいろ可能性があるらくがきシリーズなので、Whateverとしては今後も様々なアップデートをしたり、ブランドとのタイアップや、様々な横展開を考えていきたいです。今日はお二人とも、忙しいところありがとうございました!



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
川村真司 / Masashi Kawamura
Whatever CCO / WTFC CCO / Design Design Museum 顧問。広告、テレビ番組、MVなど様々な制作活動に従事。Creativity「世界のクリエイター50人」やFast Company「ビジネス界で最もクリエイティブな100人」に選出。