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泣くけど泣くな!

「泣くな!」
「泣いたら何もかもおしまいやぞ!」
「泣くならトイレで泣け!そして忘れてこい」

昔の会社の後輩に、今の会社の社員に
よく言う言葉…
叱責したとき、注意したとき
幾度か泣かせてしまう時がある。
決して本人も最初は泣くつもりなんてないかもしれないのだが…

泣いてしまえば「泣いていること」が
全ての世界を全ての言葉を覆ってしまう。
要は泣くとそこで思考が停止し
事の本質がぼやけてしまう状態になる。
良い言い方ではないけど
時には泣いてる自分に酔ってしまいがちになり、果てはセルフ悲劇のヒロインを作り上げてしまうことにもなるわけで…。

まぁそんな機械みたいに
自由に涙を流せるわけではないが
できることなら話を聞ききってから
これは泣くのか泣かない案件なのかを判断してもらいたいなと無茶を言ってみたり…

つい最近、アマプラで映画を観た。
「この世界の片隅に」というアニメ映画だ。
もっと詳しくいうと
2016年に封切られたその映画に
映像を足した2019年公開の
「この世界のさらにいくつもの片隅に」という映画である。2時間40分ほどの長尺。
ネタバレにならない程度にあらすじを言うと

18才で広島の呉に嫁いだ主人公が
戦禍の中、懸命に生き、原爆投下、そして終戦を迎えるまでを描いた戦争アニメ…
てかこれだけなら正直ありがちで
あまり観たい気持ちにならないし
全くもって意欲がそそられないよなぁと。
じゃあどうしてこれを観ようと思ったのか?
それはとある映画評論家が
泣こうと思えばいくらでも泣けるが
泣いちゃダメな作品!といったから。

なんやそれ?どういうこっちゃねん!
まぁおもんなかったらやめたらええねんと
夜中から見始めた。

2時間40分…2時間40分…を観終わった…
茫然…ただ茫然。

アニメ映画はジブリを何本か、
エヴァ、ディズニー?くらいしか
観たことはないが
確実に人生ベストアニメではないだろうか…
てかアニメっていう括りにするのも
嫌なくらい素晴らしい作品である。
てか戦争、原爆、もうその分類に入れるのもあほかっちゅうくらい
1人の女性の人生にスポットをあてた
凄まじく丁寧で限りなくリアルで
それでいて包み込むように優しい
世界中から愛される傑作だと思った。
そら戦争もんやねんから
全部が全部ハッピーエンドなわけなんてない
でも欠片であってもハッピーを見つけて
生きていかなあかんのよと…
泣いとる場合やないねんと…

そう!泣いとる場合やないんです!
泣かずに全部見届けてね
そして慎ましくとも明日も笑って
生きていきまSHOW!
そういうことなんやね…納得。

エンドクレジットの最後の最後まで
泣かずに観て欲しい!
ちなみに私は泣かずに鑑賞したが
数日経った後もいまだに残っていて
思い出すとちょっと泣けてくる…
ただそのなんちゅうの可哀想とか
単純なもんじゃなく
この作品の素晴らしさに
こんな作品を生み出せる日本に
大きく言うとエンタメの片隅にいる者として
感動して泣けてくるわけだ。
これはギリセーフやんね?

お願いだから観ておくれ!


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