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ゾクゾクするホラーをあなたに……!→ホラー冒頭博覧会 #ホラー冒頭博 感想

 こんにちは。ホラー作品は昔から、こわいこわいって思いながらついつい読んでしまいます。まさかミケ猫です。夏といえばホラーですよね。
 さて、今回は「ホラー冒頭博覧会」という企画に参加しております。私はホラーを書いた経験が少なくて(読むのは好きなんですが、書くのはけっこう大変なんですよ)、今回は色々と勉強させていただこうかなと思って参加してるんですよね。とても面白いホラー書き出しが16作品集まっておりますので、ぜひ読んでみてくださいね(※匿名企画なので、自分のもしれっと感想します)


企画リンク

作品

https://ncode.syosetu.com/n3442jg/

投票所

感想

01.『私は見られている』

 こわっ。これは最初から、本格的に怖い作品が来ましたね。
 ただ見られているだけで実害はない……かと思いきや、徐々に侵食されていく日常。凝視してくる相手が変なのか、自分の精神疾患なのか、思考を巡らせているうちに訪れるのが、友人D子の死ですよ。しかもこれ、地味にメンタルクリニックのヤブ医者も消えてませんか? これが、過去を振り返って一人称で語るという形式で綴られていくわけですが。
 謎がたくさん散りばめられていて、めちゃくちゃ続きが気になる作品だと思いました。どんでん返しに次ぐどんでん返し、みたいなお話になるんじゃないかと期待しています。とても面白かったです。

02.仄闇の仔

 エグいホラーが来ましたね。これはいいぞぉ……!
 冒頭、怪しげな噂話からの導入。性と恐怖は相性抜群ですからね。そして、犠牲になるカップルはもはや定番。トンネルの怪異を直接説明するのではなく、エピソードでもってぼんやりした輪郭を怪しげに描き出すのは、ホラー上手い人だな? 本編が始まるのは後半といった感じでしょうか。だいぶ心を抉られる由唯ちゃんのお話が始まりますが、これどうなるんだろうなぁ。母親もその彼氏も相応の結末を迎えほしいものです。
 身体の中にあるもの……食べられちゃうだけで終わるのかなぁ、と色々とおぞましい行く末を想像しちゃいますね。面白かったです。

03.仮面

 これはドキドキしますね。謎が多い……!
 冒頭、高橋が天内の後を追って、雨の中を「奴」から逃げる緊迫したシーンから始まります。そして、高橋は奴を待ち構えると。天内は逃げ、既に犠牲になった青柳視点でことの経緯が語られます。
 ふむ。今回は高橋の計画で、天内と飯田も集められた――が、高橋の正体は怪しげ。なるほど、これは色々と裏がありそうですね。
 改めて読み返すと、高橋視点の描写が意味深に思えるんですよね。高橋の言う「奴」は消去法で飯田だとして、高橋が加害者側だと仮定すると、構図が逆転するんですよ。ウィスキーにギミックがある? タイトルも含め意味深です。SF展開がアリかナシかでも変わるなぁ。いやぁ、ぜひ種明かし編も読ませてください!

04.呪殺達成率100%の村

 面白いのにホラー! ホラーなのに面白い!
 これは私、すごく勉強になったなと思ってます。というのも、私は作品を面白くする=身も蓋もない感じにする=怖くなくなるという感じになってしまうので、かなり気合いを入れて笑える要素を削り取りながらホラー作品を作るんですよね。でも本作は逆なんですよ。笑える要素でしっかりと読者感情を緩めつつ、それが伏線となって後半の怖さを倍増させる。その加減が絶妙なので、読後感が「ヤベえ……!」って感じになるんですよ。うまい。
 いやぁ、これは技が光ってましたね。面白かったです。

05.『たそかれ』よ、さようなら

 じ、じ、時空のオッサン系少女!(好きです)
 冒頭の知恵の輪が「うんめいのわ」なんでしょうが、どうなってるんですかね。ヤバい世界に入り込んじゃって……あと、黄昏時に戻りなさいって言われてるのに、タイトルがさようならしてますよね。これ、元の世界に戻れないやつですか??? ここからまだ入れる保険ありますか??? 世界の違和感の描き出し方が上手くて、恐ろしかったです。
 ここからどんな展開が待ってるのか、いろいろ想像しちゃいますね。面白かったです。

06.美人で優しい生徒会長が神社の裏の杉の木でしているのは

 生徒会長こええええ!(いいぞぉ!)
 完璧美少女の生徒会長には、その光の強さの裏に、おぞましい闇を抱えていて……これは恐ろしいですね。めちゃくちゃヤバいじゃないですか。そしてその見せ方が上手すぎて、超勉強させてもらおうと私は思ってます。
 これは今の私が欲しているスキルをびしびし感じています。音や体感覚の描写と心理描写が見事にマッチして、ゾクゾクする情景を描き出していますよね。あと小物。私は特に、犬や猫の首輪が墓標にひっかかってるのとかがビビビと来たんですが、何を食べたらこれが生み出せるのか分かんないんですよね。うま。とても面白かったですし、本作はもうちょっと分析して一部でも自分のものにしたいと思いました。ありがとうございます、先生。

07.怨み孕み

 こっわ。え、めちゃくちゃ怖い。生々しい!
 冒頭の出産シーンからすごく描写が生々しいですよね。めちゃくちゃ痛そう。こういうのを私も書けるようになりたいです先生。いやほんと、勉強させていただきます。描写が上手すぎるし、痛さが分かるし、気持ちがめっちゃ伝わってくるんですよねぇ。そして……生まれてきたもののおぞましさもヤバい。なんなら『ごくろうさま』だけで怖い。いや、ここに至るまでの流れも含めて上手すぎる。全部は消化しきれないので、ちょっとずつ勉強しますね。先は長いなぁ……。
 その後ももうずっと怖いですよね。ずっと怪しい雰囲気で、輪郭がはっきりとしなくてもめちゃくちゃ不穏なまま進行していくじゃないですか。いやぁ、これ今の私じゃ再現できませんよ……いっぱい分析します。面白かったです。

08.病める時も健やかなる時も、どう考えてもバッドエンドな時も!

 なるほど、こう書くんだ! 私は一つ学びましたよ!
 ほうほう、これはなかなか興味深い構成でした。私は実はSFが主戦場なのでそっちの文脈で本作を読んでたんですが、面白いですよね。いや、この設定をそういう風に使うとホラーに仕立て上げられるんだと思ったら、手元で眠っているアイデアの中にもホラー作品として書けそうなものがあるなぁということに気がついて脳汁がめっちゃ出た感覚です。いいなぁ。書きようによってはすごくシュールな作品になりますし、本作のようにホラーを全面に押し出すこともできると。いやぁ、すごく面白かったです。

09.ずっと傍に……

 ほほう、これはもう幽霊というか怨念ですねぇ!
 不由美ちゃん、明美さん、秋上先生の三人の構図が私はすごく面白いなと思ったんですよね。力関係というか、不由美ちゃんと明美さんの関係、不由美ちゃんと秋上先生の関係、明美さんと秋上先生の関係。三角形の辺にそれぞれ面白みがあって良いですよね! そして最後は裁判へ。ここから話がどう展開していくのか楽しみですね。秋上先生がいい感じに踊りながら地獄に直行していく話が読めるのかなぁと期待しちゃいます。面白かったです。

10.ふたりめのたね

 すごく不気味で、不安になるホラー……怖いなぁ。
 本作は不気味の描き出し方がうまいですよね。日常描写の中にちょっとずつ混ぜ込む違和感であったり、ふとした会話の中の気持ち悪さだったり、論理的にではなく本能的に何かを悟る心の動きであったりとか。なるほど、こういう風に滲ませていくんだと面白く読ませていただきました。不気味でじわじわと怖くなっていく感じ、すごくいいです。
 ここからどうなっていくんでしょうね。二人目の子ができたとして、ちゃんと愛せるんでしょうか。あとそうくん大丈夫かなぁ。面白かったです!

11.償われる前の罪

 ほほう、これは怪しい霊媒稼業ですね!
 初島と歌のバディがすごくいい感じで、本作の面白みを作ってくれてますよね。今見えている事件の概要はたぶんほとんどあてにならなくて、裏で色々な思惑が絡んでいそうです。なるほど、今手元の情報だけではちょっと推測もしきれない感じですが、一筋縄ではいかないんだろうなぁ。これはワクワクしちゃいますよねぇ。
 二人がどんな風に事件を解決していくのか。また、真実はどんな感じなのか。続きを読みたいなぁという作品でした。面白かったです!

12.クローズド・オープンワールド

 面白かったです。これは怖い!
 これはもう、最後のアレを見つけるってところを活かすために、冒頭から緩急つけて良い盛り上げ方してるじゃないですか。上手いですよね。二人のやり取りもなんかちょっと楽しそうで、不穏ではあるものの、なーんだ何もなかったなぁと安心させてからの! いや、死ぬのだろうとは思ってましたが、そんなふうになるとは思わないじゃないですか。
 ここからどんな風に物語が転がっていくのか。主人公もこのままじゃただじゃ済まない可能性がありますからね。面白い書き出しでした!

13.次に誰かを殺すなら

 やめてくれぇ! って言いたくなりますね。こわい。
 いやぁ、何がってやっぱりラストですよね。娘がいなくなるって展開は本当に「うおおお、やめろおおお」となりますからね……この恐怖はちょっと、これまでの作品とは種類の違う怖さというか。で、ここに至るまでの描写も、このラストを活かす作りになってるんですよね。噂話で不穏にさせ、お買い物でちょっとほのぼのさせて、からの……ですから。まだ明かされていない裏もありそうですし、これはなかなか心にくる作品だったと思います。焦燥感みたいなものをすごく刺激される作品でした。恐ろしかったです。

14.この街には、魔女がいる

 不気味ですねぇ、魔女……!
 この魔女はなんというか、あえて輪郭をぼやかすことで怖さを増す怪異ですよね。都市伝説みたいな感じですが、巻き込まれるとたしかな気持ち悪さがあって、いつまでも逃げられません。どこまでいっても追いかけられますから……この事態を終わらせる方法がないんですよ。出口のない、粘着される恐怖。ラストのSNSへの呼びかけが、果たして打開策になるのか、それとも墓穴を掘ることになるのか。とても気になるホラー書き出しでした。

15.女王の薔薇は枯れない

 すごく不思議な空気感のある作品でしたね。面白かったです。
 描写が丁寧で、世界に引き込まれるようでした。それで、とても丁寧に描いてある中に謎が散りばめられていて、過去に何があったのか、これからどんな風に進んでいくのか想像が膨らみますよね。千春は死んじゃったでしょ、の一言だけでここまで心をざわつかせるのはすごいなと思いました。
 ホラーなんですが、ファンタジーミステリーを読んでいるような気持ちにもなって、すごく面白かったです。物語がどのように転がっていくのか楽しみになります!

16:異界へようこそ

 これは面白い怪奇冒険譚になりそうでワクワクしますね!
 生き残れるのかなぁ、どうだろう。全員生き残りルートから全滅ルートまで色々と考えられると思うのですが、その先の読めない感じがたまらなく面白いと思っています。いやぁ、今のところまんまと罠にハマって言ってる感じがしますけれど、ここからどうなっていくのか。
 さっそく分断されていますが、これにどんな風に怪異が絡んでいるのか、それをどんな風に乗り越えていけるのか、いけないのか。色々と想像が膨らみますよね。あまり良い予感はしていないんですが、そういうのも含めて今後の展開の気になる作品でした。面白かったです。

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