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【百人一首鑑賞】夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ  清少納言

■夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ 清少納言

(詠んで味わう)よをこめて とりのそらねは はかるとも よにおおさかのせきはゆるさじ

どうして和歌のサムネがニワトリなんですか?

ですよね~。なんでやねーーーん!ですよね💦歌の中の「鳥」というのが、朝の訪れを知らせるニワトリなんです。清少納言のこの和歌は、事前に漢文の知識がないと「なんのこっちゃ?」で終わってしまうので、まずはそのくだりからまとめますね。

孟嘗君の『鶏鳴狗盗』。

学生時代、国語の時間に習った人も多いかもしれません。鶏鳴狗盗という熟語の意味がこんな感じなんです💦

→意味
立派な人とは言えぬ、ただ器用な才能の持ち主をいう。「鶏鳴」は、鶏の鳴きまねのうまい者。「狗盗(くとう)」は、犬のように人の家に忍び込むのが上手な者を指す。いろいろな才能のある者を部下にもっている必要があるという意味にも、どんなつまらぬ人間でも養っておけば、その才能を生かして役に立つことがあるという場合にも用いることがある。

鶏鳴(けいめい)狗盗(くとう) | 今週のことわざ(三省堂辞書編集部) | 三省堂 ことばのコラム (sanseido-publ.co.jp)

→原文をかなりLADY-KAMAA的に超訳。
孟嘗君という人が、とある理由で王様にとらえられそこから数人で逃げだそした。函谷関まで逃げてきたものの、まだ夜中。関は空いていない。しかし追っては迫る。一緒に逃げた仲間の中に、ニワトリの鳴き声のモノマネがうまい人がいて鳴き真似をしたところ、他のニワトリたちも鳴きだしてこれを聞いた関守が門を開けた。孟嘗君は運よく関所を通過した。

鶏鳴狗盗を押さえたうえで、この和歌の訳

例によって、田辺聖子先生の「小倉百人一首」より引用します。

夜も明けぬうちに 鶏の鳴き真似をしてだまし 関所を開けさせた
あれは中国の故事の函谷関のこと
だけど私の関所はダメよ
私の逢坂の関の守りは堅いわ だまされて開けるなんてこと絶対ありませんわよ お気の毒さま

さすが、ファーストサマーウイカ様!何この中国の故事をベースに和歌を作るなんて、器用なことするなぁ👏

と、故事を引用しただけでなく、そこに「でも私はだまされないわよ♪」なんて遊び心満載ですよね。なんかこれ、本当に恋愛?それとも遊び?田辺先生の訳を読むと、疑似恋愛的な感じで遊んでいるようにも思うんですよね~。

この和歌は、とある人との歌のやり取りを経て詠まれている

ところで、田辺先生の訳と一緒に分析も読んでいたところ、この清少納言の歌はある人との歌の交換をいくつか経てできた和歌であることが分かりました。

誰って??

平安F4の、藤原行成なんです!

田辺聖子先生の解釈だと、恋人同士ではなく仲の良い男友達だったといわれていました。だよね~この前4/28の放送回では、はんにゃの金田さん、斉信と、深い仲(でも、馴れ馴れしくしないでよね🔥の対応でしたけど)で描かれていたけど、行成とはやり取りがないからなぁ。。。
ききょうは、モテるのか?バツイチは平安ではもしかして、良い女なのか?

行成と清少納言の歌のやりとり

同志社大学の吉海先生の記事から、やりとりをLADY‐KAMAA「超」訳で追っていきたいと思います💦(できるかな)

①行成が清少納言の部屋で深夜まで話をしていた
②行成が突然「明日物忌みなので、これから宮中に参内する」と言って、去っていった
③翌朝、行成から清少納言にこんな手紙が届いた
「今日は残りおほかる心地なむする。夜をとほして昔物語も聞え明かさむとせしを、鶏の声にもよほされてなむ。」
→用事があって帰ったくせに、鶏が鳴いたから帰った、と、故事を用いてあえて事実と違うことを述べ、清少納言の反応をうかがっている
④で、清少納言は「いと夜深くはべりける鳥の声は、孟嘗君のにや。」と返答。これは、行成の返答をすかしてます。
⑤行成しつこい(笑)さらに返答
「孟嘗君の鶏は函谷関をひらきて、三千の客わづかに去れりとあれども、これは逢坂の関なり。」
孟嘗君みたいなお堅い話ではなく、逢坂の関、あなたと私の逢坂の関でしょ?と恋愛の話にどうしても話をもっていきたい行成。この人相手にしてほしくてしょうがない感じね💦
⑥清少納言が、掲題の和歌で応戦。
「夜をこめて鳥のそら音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ」
あなたと私の逢坂の関も、そう簡単に進展はしないわよ、と。

→一部私の感想が入っています。

引用元:

仲がよかったからこそできるコミュニケーションか?

これ、そう仲良くない人とのコミュニケーションなら、「鬱陶しい」だけですよね🥺ということは、やはり気の合う友達だったということでしょうか?
ちょっと面倒な男性もきちんと相手してあげる、バツイチのやさしさが垣間見える和歌でした。

初見でこの和歌を見たときと、このnoteを書き終えた今とで和歌の印象が本当に変わりました。おもしろいですね、平安✨

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