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【俳句鑑賞】春深し女は小箱こまごまと 青邨

山口青邨(1892-1988)俳人。岩手県出身で高浜虚子に師事。工学博士として東大に勤めながら作句に励んだ。科学者としての目も生かした写生・観察に加え、省略や象徴、季語の活用によって複雑なものを単純化することを目指した。(以上Wikipediaより)

ところで、揚句の季語は「春深し」。2月4日から5月5日までが俳句でいう「春」となるので、春が深い季節は桜が散った後のちょうど今頃というところか。4月下旬に入ると行く春の季節に変わるので、この短い間をうまく表現している季語だなぁと改めて思う。

女性はカワイイものを箱にいれる。宝石箱には母から譲り受けたものが入っていたり、幼女もおもちゃの指輪を折り紙で作った箱に入れたりして、兎角、大事なものは綺麗な小箱に収めたがるところがある。ある意味、男性にはない感性かもしれない。

そんな細やかな習慣や感情をこの一句で見事に描いているところに感動した。春が深くなるこの季節、自然と心が外に向き出かけやすくなるものだ。お出かけするときにお気に入りの指輪やネックレス、昔ならば簪などを小箱から出して春の長閑さが伝わってきた。

一方で、ふと、疑問にも思ったのだが、今は男性にも小箱は存在するかもしれない。時計なり、フギュアなり、時代も変わったものである。

神楽坂君見つけしより春深し masajyo



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