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自給自足カレッジ29

今日と明日の2回は、カリブ海に浮かぶ二つの島国で起こった食料危機に対して異なる政策が取られた結果、80キロしか離れていないにも関わらず、全く異なる様相を呈している、成功した国=キューバと、失敗した国=ハイチを例にあげて、二日に分けて書いてみたいと思います。
1日目の今日は、土壌喪失により社会が崩壊してしまったハイチについて書きたいと思います。
イスパニョーラ島の西部の三分の一を占めるハイチの歴史は、強烈なハリケーンがなくとも、小規模な山腹の農地が壊滅的な土壌喪失を引き起こしうることを示しています。1492年のコロンブスのイスパニョーラ島発見から25年と経たないうちに、スペイン人入植者は島の先住民を全滅させました。2世紀後の1697年、スペインは島の西側3分の1をフランスに割譲し、フランスはそこに50万人ものアフリカ人奴隷を輸入し、植林地とサトウキビプランテーションで働かせました。
この50万人もの奴隷は18世紀末に反乱を起こし、1804年にハイチは世界で最初の解放奴隷が独立を宣言した共和国となりました。それに続く急斜面での耕作は、国土の約三分の一を、農業が維持できない岩が剥き出しの斜面に変えました。植民地時代既に高地でのコーヒーとインディゴ藍のプランテーションで、広い範囲にわたる侵食が報告されており、プランテーション主が高地の畑からの十分な収穫を当てに出来たのは、僅か3年程度だったと言われています。
人口増に伴って、小農家が再び高地に散らばってくると、急斜面での耕作が拡大。そして、1990年には、ハイチに自生する熱帯林の98%が失われていました。ハイチでは、人口増に伴い耕作適地の6倍もの土地で無理に農業が進められた為に土壌の侵食が起こり、ついには自給もできない農家が増え、多くの農村の世帯は食料を買う為に、とうとう最後に残った木も食料を買う為に切り倒して炭に焼いてしまいました。絶望的になった小農は都市に集まって巨大なスラムを形成し、2004ねんに政府を転覆させる温床となりました。
これが、デビット•モンゴメリーが「土の文明史」で書いているハイチのストーリーです。
イースター島やアイスランドと同様、土壌の喪失に伴って文明が崩壊していく様が見て取れます。

自給自足カレッジでは、土壌を毀損させず、逆に豊かにする自然農法や自然栽培の普及に努めています。

ご興味のある方は、是非我々のホームページを覗いてみて下さい。

https://self-sufficient-life.jp

未来の子供達に、豊かな自然とサステナブルな生活スタイルを残して行く為にも、現在日本で行われている農薬や化学肥料を使って土を酷使している慣行農法から、自然栽培に切り替えて行く時期に来ているのではないかと、ハイチの例からも学べるように思っています。

自給自足カレッジ
小柴正浩

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