柔術と言う格闘技はどのように練習に取り組めば良いのか?

白帯のススメ

最初に柔術を始めて誰もが思う事は何から覚えれば良いの?と言う事だ。
柔術を覚えていくのに青帯になるのが一番最初の目標ならしっかりとした段階を踏まなければ路頭に迷ってしまう事になる。
柔術の技とはそれほどまでに多い。
何も知識がない人に柔術を教えるのに必要な事はマウントからの十字固めとバックからのチョークスリーパーは必須だ。
大人の男なら十字締めから教えるのも良いと思う。
そこからポジションの概念を知ってもらう。
これが最初の最初。
一、二ヶ月してスパーリングも出来るようになってきたら本題はここからだ。
パスガードはまぁまぁ出来る。でも下になって何をしたら良いか分からないと言う状況になる。
私もそうだったからよく分かる。
下から最初に覚えるのは問答無用でクローズドガードだ。
理由は下にいて一番相手を止めておけるガードだからだ。
いきなりオープンガードで脚を利かしてなんてのは9割9分の人間は出来ない。
でも下にいて考える時間が作れないとガードそのものに慣れる事は出来ないのだ。
そしてクローズドガードには一番大切な攻撃の為の組み手を覚えることが出来る事が私がこのガードを勧める理由だ。
クローズドガードは後にあなたがスパイダーガードやデラヒーバなどの多彩なガードを使うようになった時も必ず必要になるし、ハーフガードなどの脚を組んだままのガードを使うようになったとしても組み手の理念はそのまま使えるから一番基礎を覚えるには適したガードでもある。
クローズドガードを経由してそのまま得意にしていくも良いし、オプションとして持っていて他のガードを練習していくも良し。
あと、トップからもクローズドガードの割り方から覚えていくとパスガードも安定する。
クローズドガードに捕まるのが怖くて思い切ってパスに行けないのは本末転倒になる。
白帯の頃はクローズドガードのシチュエーションスパーリングをたくさん行う事でパスゲームの基本を学ぶ事が出来る。
私は個人的にこれは白帯時代には必須な練習だと思う。

青帯のススメ

青帯になってくると得意なガードが一つは欲しくなってくるものだが意外とスッと上達する人もいれば何年も決まらず苦しむ人もいる。
私は青帯を2年やったが結局得意なガードを見つけたのは紫帯になってからだった。
こう言うケースも時としてある。
それぐらい難しい事なのだと思う。
青帯は技に溺れてどんどんもがく時期である。
何かを決定付けるには段階として時期尚早。
トライ&エラーを繰り返して自分の体を知る時期なのだ。
上手くいかなくてもどんどん次の技を試して技マニアになれば良いと思う。
YouTubeやSNSなんかで技を勉強して使ってあれがダメだった、なら次はこれならどうだろう?と模索する一番楽しい時期なのだ。
好奇心は大切にして欲しい。
その中で良い感じの技を探していけば良い。
意外と別に好きじゃなくてもこの技はやりやすいししっくり来て最初から出来たと言う技を皮切りに一生付き合っていく羽目になったりするのだ。
私もこの時期一度ディープハーフを教えてもらった時にやり易くしっくり来たのを覚えている。
しかし私は脚にしがみつく泥臭いディープハーフより三角締めがやりたかった。
体と言うのは正直でそれに従った時に本当の得意技が生まれるキッカケになる。
体の声に耳を傾けてみよう。
今思えば私の体は初めから首に三角締めをするより脚に三角締めをする方が良い感じだと選択していた。

青帯で試合に勝ちたい人はまずガードをある一定の時間キープ出来ることが必須条件になる。
アタックをたくさん持っている事よりもディフェンス仕切れるガードやトップがあればゲームプランを作りやすくなる。
守りながら攻めると言う事が出来るように心がける事が第一歩だ。
攻防一体と言うのはそんなに簡単な事ではない。
その中でコンビネーションを出したりカウンターを入れたりしていけるようになれば黒帯だ。
最初は継ぎ接ぎだらけの攻防一体を綱渡りしながら行なっていくのだ。
初めから正しい選択が出来るわけではない。
しかし柔術は攻撃を優先するよりミスをしないことの方が大切なのだ。
だから最初は守りきれる技術、ガードキープをトップキープが必要なのだ。
攻撃方法なんて最初は単発しか出ない。出すタイミングもよく分からない。
だからディフェンスをしっかりして様子を伺えるようになれば上達は早い。
攻撃ばかりを練習しても意味はない。
攻防とはなんなのかを知るために練習するとゲームが上手くなる。
まずはなんでも良いグリップをキープ出来るならスパイダーガードが良いだろう。足を組む力があるならクローズドガードも良い。
自分のフィジカルの特徴を把握して自分に合ったガードを探す。
自分に合ったガードとは守り抜けるガードの事を指す。

青白帯のパスガードのススメ

初級者帯の頃はトップは実際あまり考えずに出来る人はいる。
フィジカルがある程度強い人がパンツを持って走り回ればそれを抑えるのは単純に難しい。
後は初期段階で起きやすいのは担ぎしかしない人も極めて危険だ。
最初のうちは良い。
しかし相手のガードのレベルが上がってくるとこの二つだけでは済まなくなる。
そして壁にぶつかるのだ。
と言う私も青帯の頃までこの二つを駆使して戦っていた。
テクニックも何もなくただ乱暴に走り回っていただけだった。
もちろん当時紫帯、茶帯が珍しかった環境でそれに気付けるわけもなく何故私は自分が上級者をパスできないか分からなかった。
しかし私はニースライスをある日練習し始めた事でトップが変わり始めた。
さて、トレアンドと担ぎとニースライス。
ここで大きな違いがあった。
それは組み手だ。ニースライスは組み手を駆使しないと成立しない。
その為に組み手を切る、組む、良いところを持つ、相手に持たせないと言う事を覚える事が出来る。
担ぎとトレアンドはこの組み手の意識があまりない技だ。
だから私はトップの基本としてニースライスをエックスパスをオススメする。
この二つは襟を持つパスだ。組み手を意識しないと仕掛ける事が出来ない。
そこから技を覚えていけば組み手が上手くなればパスはどんどん上手くなる。
トップの基本もボトムと同じ攻防一体を意識する事が重要なのだ。
決して担ぎやトレアンドが悪いわけではない。
この二つは単発の技としてはかなり強力な武器になる。
ただし、混ぜないといけない。
組み手で守る事を覚えて、動きで攻める。
これを意識して練習することをお勧めする。

紫帯のススメ

ここまで来るとかなりピンからキリまであるクラスの帯だと思う。
強い紫帯は黒帯に匹敵する実力を持つ選手もいる。
ここで話をするのは所謂、伸び悩む紫帯についてだ。
紫帯になると攻防もかなり出来てきて自分が使うガードや技もなんとなくわかって来る。
ここでかなり多くの人が悩みとして持つのが決定力についてだと思う。
ディフェンスはそこそこ出来るが攻撃力がない。
もしくはアタックはそこそこ出来るが防御力が弱い。
攻防のバランスに悩む時期だと思う。
柔術プラトーと言うものがあるならここでかなり多くの人が苦しむ。
私は珍しいタイプで紫帯になった瞬間強くなったタイプでなって三ヶ月後には黒帯をひっくり返していた。
私に何があったかと言うとここでハーフガードを選択して他を全くやらなくなったと言うのがこの時期だったのだ。
体にあったものだけをチョイスし、自分の好みより勝ち負けにだけ関係する取捨選択をしたのが伸びた理由だと思う。
ここで大切なのは自分のスタイルに深みを持たせる時期であると言うことだ。
ガードに関して言うと攻防していてそのスポットに入れば一枚上手が取れるようにならないといけない。
すると自然と決定力が生まれ強い紫帯になる。
細かい所をどんどん理解していくとどんどん伸びる時期ではある。
一歩間違うと技マニアになってしまうので注意が必要なのだが第一前提として勝負に必要かどうかだ。

まずは青帯、そして紫帯へ

柔術を始めて半年ぐらいの人の目標はまず「青帯になりたい」と言う気持ちが大きくなって来る時だと思う。柔術を知らない人からした青帯の価値がどれほどのものかあまりわからないと思う。
青帯?黒帯じゃなくて?と良く言われる。しかし、柔術をやっている人間からしてみると青帯は柔術における柔道初段みたいなものなのだ。
紫帯は2段や3段と同じぐらいの価値になると思う。
黒帯は競技を始めて10年。才能あるものでも早くて5年かかると言われている。
なので白帯からした紫帯は雲の上のような存在と言っても過言ではない。
しかし長い時間がかかるものだからこそ生涯かけて週に何度も練習してしまう「柔術にハマってしまう」のだ。
釣りやゴルフのように週末できれば良いと言う人もいるだろう。
だけど柔術の楽しさとはいつも自分のできることを探し見つける所にあるのでそれは「積み重ね」の中でしか楽しみを見出すことはできないのだ。
だから人は時間をかけて柔術に時間を費やしていく。
最近ではストライプ制度がある道場もありストライプという白テープを帯の端についてある黒タグに巻いてもらいそれが4本貯まったら次は帯の昇格などのように、レベルアップがわかりやすいようにしてある。
長い道のりを歩いていると本当に今この方向で正しいのか、どれぐらい歩けているのか分からなくなる。
しかし指導者がしっかり生徒に寄り添い道しるべを出してあげることによって一歩一歩を確実に歩んでいける。
紫帯になったら格闘技をやっているものに俺は柔術紫帯ですと言ったら一目置かれる存在になる。
紫帯とはそれぐらいの価値があるのだ。
プロの格闘家でも紫帯を持っているか、それ以下が多い。
それぐらいの能力は柔術を続けていけば必ず身につくようにはなっているのだ。
柔術の素晴らしさは帯色だけで測れるものではないが、確実に人を強くできるシステムがあるということにある。
このススメに書いたことのように手順、取り組まなければいけない課題などが常にあり、何も考えずスパーリングだけで紫帯以上に行けるのはほんの一握りだ。
だから何よりも長い道のりを楽しみながら積み重ねて行って欲しいと思う。その先に黒帯がある。

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