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Short story

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#秋

【掌編小説・たいせつにしすぎるとなくしちゃうよ】

 最近、なにかを落としませんでしたか?  何かを見通したかのように、後輩の黒田が聞いてきた。  なんで?  なんとなく、そんな気がして。  なんとなくで、ふつう、そんな気はしないんだよ、黒田。  そうですか。そういうものですか。  黒田とは、なんか根本的にリズムが違う気がする。時々いらいらさせられるのだけれど。気が付くと黒田の言った言葉をじっと考えている瞬間があって。  余白の時間が訪れるとその言葉を頭いっぱいにぐるぐる巡らせていたりする。  ほらね、って気づかされて訳もな