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コーチングが広まらない理由(ビ・ハイア事件を受けて)

ビ・ハイアに対する報道があり、その後のコーチの対応から、コーチングが広まらない理由が、さらに明確になったと思っています。

現時点で、コーチング関係者でこの問題を知らない人は、少ないでしょう。

コーチの中でも、コーチ関係者向けに発言を行う人が増えてきました。

しかし、一般人に向けて発言を行っている人が少ないことに、違和感を持たざるを得ません。「ある流派のコーチング」の中でしか通じない話を、コーチがあまりにもしすぎです。

今回の報道を受けて、コーチングは洗脳だという人も出てきています。

コーチが現状においても専門用語を使って、仲間内で会話をし続けていれば、そのような色眼鏡はどこまでも強くなるでしょう。

【1】コーチが今、するべきこと

私達コーチが今するべきことは、一般の方々とのコミュニケーションです。「コーチング」を知らない人々に対する働きかけです。

偏見が強くなった今だからこそ、よりいっそうの働きかけが必要です。

現段階において内側で話しているのは、マイナスでしかありません。

ただし、これはビ・ハイア事件について口火を切った人のことを責めているわけではありません。それはコーチとして1つの形を示したことで、すばらしいと思っています。

私が問題としているのは「コーチング」に関する話題だけであることです。この枠を超えた議論が、コーチの方々がしていないことに違和感があるのです。

【2】コーチが「型」にはまっている。

今回の一連の報道内容を見ると、不可思議なことが多いのです。議論を始めればキリがないはずです。

私が最も疑問に思ったのは、パワハラ被害者が今回は実名で、記者会見を行ったことです。

私からすると、これはとても不可解な出来事の1つです。

被害者がこの後のキャリアにおいて、大変な不利な目にあう可能性が高いからです。

他の原告の方もツイッターで実名で活動されていますので、おそらく本人たちが望んでしたことだとは思います。

しかし、あえて記者会見にまで顔を出す必要はなかったとは思っています。

おそらく社会的制裁を加えたいために行ったものだとは思いますが、それでも実名を出す必要があったかどうかは疑問に思っています。過去のパワハラ報道でも被害者が実名記者会見というのは、ほとんどないはずです。

弁護士費用の件についても気にかかります。

もちろん完全成功報酬型で、着手金を一切取らない先生もいらっしゃいます。しかし、今回の担当弁護士の方のホームページを拝見するかぎり、そうでもなさそうです。どのような経緯で、その弁護士の方に繋がったのかと思うところもあります。

請求金額についても、疑問があります。これは弁護士の方が他の専門のところですから、適正な金額として請求されているとは思います。ただ、パワハラが原因で自死したという主張だけでも何億円も行く場合もあるのに、今回はその他の請求も合わせても1億円にも届いていません。原告の数、主張の内容からして、少なすぎるのではないかと感じました。

もちろん、業務委託契約という形式については、大きな問題点があります。会社は、その業務委託契約の相手方の、個人通帳を持っていたともされていますので、この点についても不可解な点があります。(なお、業務委託契約、個人通帳の所持については、会社も認めています。)

様々な事情がありますが、不可解な点が多すぎるのが今回の事案です。

自分なりの観点を示そうと思えば、いくらでも示すことができる事案です。

コーチの多彩さを示すことができる事案でもあるのです。

しかし、コーチ達があまりにも内にこもっているために、カルトのように思われても仕方がない状態にあります。

「コーチにも、いろいろな人がいる」と思ってもらえるようにならなければ、全体が同じような偏見で見られます。

【3】コーチは一般社会に生きるべきだ(カルトではなくて)

そうならないためには、コーチが一般の人々に向けて情報発信をしていくのが一番です。

今回の記事は内側に向けてのものですが、私は普段から外側に向けてのみ情報発信を行っています。

コーチングを本当に広めたいのであれば、もっともっと一般の人々からどのように見えているかを考えたほうがよいです。

専門用語をできるだけ使わず、一般の人々に向けての情報発信を、これまで以上に行っていかなければ、本当にカルト化するのではないかと危惧しています。

なお、すでにカルト化の傾向は見えます。

【4】「本物」「偽物」を言い出したらカルトと言ってよい

 ある物事について、自分の価値観を表明するのは構いません。

 しかし「本物」「偽物」を言い出したら、それはカルトと言ってよいです。これは1つの価値観の強制だからです。「本物のコーチ」「偽物のコーチ」という表現を、違和感なく受け止めているなら、それはすでに洗脳済みということです。

「自分のコーチングは、科学に基づいている」と表明するのは構いません。科学の前提には批判可能性があるからです。科学そのものが絶対的なものでないために、事実によって反証される可能性があります。

 しかし、「本物のコーチ」「偽物のコーチ」については反証ができません。自分の中で一定の基準を満たした人を「本物」、そうでない人を「偽物」と言っているに過ぎないからです。その基準も明確でないため、反証ができません。何が本物であり、何が偽物であるかは、その人の胸先三寸であり、結局のところ「自分が正しい」と言っているのに過ぎないのです。

 コーチングはカルトなのでしょうか。それなら、私はそのような業界に興味はありません。私が望むのは、誰かを信じることではなく、私の助力を求める人により効果的な助力を与えることだからです。

 コーチングをカルトにしてはいけません。そのためにも「本物」「偽物」という言葉は使うべきではなく、そのような言葉を使う流派からは距離を置いたほうがよいでしょう。

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