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まちの心臓を取り戻したウメオから学ぶこと

本日はモリゼミシーズン1.の最後のオープンレクチャーでした。最後は、北欧スウェーデン北部の最大の都市ウメオ。恥ずかしながらウメオという都市のことをほとんど知りませんでした。そもそもスウェーデンは福祉国家などのイメージしか日本では定着しておらず、日本人からは少し縁遠い国のようです。

ウメオは人口約10万人ですが、「大学」が主要産業であることから人口の約3万人は学生という都市です。1888年に「ウメオ大火災(The Great Fire of Umeå)」という災禍に見舞われ、まちの大部分を焼失しました。まちの根本が根こそぎ奪われたことで、ゼロに近いところからまちの再興が行われたようです。

特に心に残った、「まちにとっての骨は都市構造、まちにとっての筋肉はネットワーク、まちにとっての心臓は文化」

火災後の約80年は都市の基本となる「骨」「筋肉」に対応する都市構造の整備やネットワークを再興されていきました。その起点となったのが大学の設置です。ウメオ大学が設置されたのは1965年で国王であるグスタフ6世アドルフの認可がされてからです。この地域を再興していくためには、人的資源を十分確保し、学問で地域の何に着目していくのか考えていける視点というものがあった模様。当初は医学・歯学・哲学の3学部だったが、どんどん学部数を増やし、現在でも新学部が創設され続けています。

その次の「心臓」文化を問い直す取り組みとしては、「欧州文化首都」の取り組みが大きく作用しています。この取り組みは欧州の統合のためにもそれぞれの土地のアイデンティティーを相互に理解することが必要であるという考え方から始まった取り組みです。単純に文化事業を行うだけでなく、アーティストはもちろん市民の参加も必須。長期的に社会や経済の発展に寄与するものでないといけません。ウメオはその根源であるサーミ文化を見つめ直すことで、まちの心臓である文化を自分たちのものとして再興させました。

後のディスカッションでも交流しましたが、日本での文化事業やアート事業はまだまだ「業界関係者」のみにとどまり、市民が主体的に関われる「余白」「余地」が不十分かなーという印象を持っています。良いと思われる仕組みやネットワークなどをそのまま輸入して移植しても、その土地のアイデンティティや背景をしっかり見つめなおし、普通の市民もそれを実感できることが重要なのではないかと思っています。それが真にまちの心臓部を再興することではないかと思いました。まさに、私がやりたいこととも通ずるなと感じています。

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