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【営業編】形のない技術を売るには?

こんにちは。
技術を使った事業開発の体系化を通じて、技術が公平に正当に提供される世界を目指しています、菅野です。

これまでに、私なりに学んできたこと、感じてきたことを書いてみたいと思います。
今回は営業編です。技術ソリューションの営業です。
今後は、0→1, 1→10ステージの技術系スタートアップにおけるマーケティング、プロジェクトマネジメント、法務・知財、広報などなど、可能な限り書いていく予定です。


世の中に営業のHow toは無数に存在しますが、商材が形のない技術となると、途端に入手可能な情報量が減る印象があります。
僭越ながら、以下のような方にとって少しでもご参考になれば幸いです。

【こんな方にオススメ】

  • 無形商材、特に技術に正当な価値をつけて売りたい方

  • Technology platformerとして、大手企業とのアライアンスを拡大したい方




さて突然ですが、製品として形になっていない無形商材としての技術を売れる人とはどんな人でしょうか?

技術に精通した専門家でしょうか。
それとも、バリバリの営業マンでしょうか。


答えは、上記のいずれでもありません。いずれの要素も一定程度持ち合わせた新しいタイプの人だと思います。
メーカー研究者から営業へキャリアチェンジをした人、商社出身だけど頑張って対象技術の基本知識を習得した人、どんな方でも大丈夫です。ただし、成功される方に一定の共通性はあるように思います。今日は、主にその点について私の考えを書いていけたらと思います。


そもそも目に見えない技術を売る営業とはどのように進むのか、商品の姿・形や性能が明らかである有形商材の営業と比較してみました。

※あくまでも私のイメージです。



両者に共通する基本は、ヒアリングによって顧客のペインや動機を特定し、解決によって生じる価値(目に見えない)を言語化し、課題解決のソリューションを提供するということです。これによって対価を得ます。

一方で、両者で大きく異なるのは、ソリューションの具体性・視認性です。

有形商材の営業では、ソリューションは姿・形・性能が明らかな素材や装置などが製品となります。例えば、車の営業マンであれば、顧客はなぜ車で移動したいのか、車に求める特徴は何か、BANTなどを特定していき、その顧客に合った車種を自社ラインナップから選び提案するでしょう。顧客は自身のニーズに合ったソリューションを比較的即座に手にすることができ、提供者側も即座に大量に販売することが可能になります。

無形商材での営業では、目で見て確認できる明確なソリューションが手元にありません。したがって、どのようにソリューションを具現化するのか、その可能性やリスクについても表現できる言語化能力・対等な交渉能力・バランス能力・期待値コントロール力などが求められることになります。良い部分だけをプレゼンテーションすれば信用を得られず誤解が生まれますし、悪い部分ばかりプレゼンテーションすれば取引は成立しません。他にも、あまりにも主(顧客)・従(自社)の関係を意識しすぎれば、出来ない課題を引き受けてしまうリスクもあります。

有形・無形営業における自社と顧客の関係性について、以下のとおり図式化してみました。

左:有形商材、右:無形商材(技術ソリューションの提供)


有形商材の営業では、自社・顧客の双方が情報や製品を出し合い、マッチングを図る「向き合い型」のコミュニケーションだと思います。
無形商材の場合は、ゴールとそこに辿り着くための道のりが不透明で、しばしば自社と顧客とで同じ方向を向く「共創・共走型」になります。開発・開拓にはリスクが伴いますから、中長期的な協力・信頼関係を育成することが重要であることも、有形商材のビジネスとの大きな違いかもしれません。


大きな壁を異なる会社同士が乗り越えていくことは容易ではありません。開発・開拓には時間もかかります。
しかし、急速な変化が求められる現代において、他社のアセットも活用しながら非連続的に事業を創っていくこと、そしてその競争力の源泉として科学技術を利用することは今後さらに求められていくでしょう。
このようなやりがいのある仕事に挑戦する人のコミュニティが今後広がるといいなと思います。


駄文、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
それでは。