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【感想】ここにタイトルを入力『フワちゃんの浅草のんびりツアー』
ここにタイトルを入力(4/18):フワちゃんの浅草のんびりツアー。撮影データ消失という非常事態。どうVTRを成立させるのか?ホラー映画でたまに使われてきた手法で一点突破かと思いきや(テレ東・上出Pの『蓋』も彷彿)出オチにならず手を替え品を替え面白かった。MM号www https://t.co/qZ8i8JqtRY
— 林昌弘,Masahiro Hayashi (@masahiro884) April 19, 2022
昨年11・12月に水曜NEXT!枠で2週連続放送されて話題になった『ここにタイトルを入力』
この度6週限定でレギュラー化(と呼んでいいのか?)
レギュラー初回(通算では第3回)はマヂカルラブリー村上がMCの『クイズ・ファイブセンス』
ここにタイトルを入力(4/11):クイズ・ファイブセンス。構成・竹村武司×演出・原田和実。6週連続放送の初回はマヂラブ村上がMCの五感を駆使したクイズ番組。それにしてもバイきんぐ小峠がずっと何かぶつぶつ言ってた気がするな。最近忙しすぎて疲れてるんだろうか? https://t.co/ycSwwdsoeV
— 林昌弘,Masahiro Hayashi (@masahiro884) April 12, 2022
もちろんこの番組がそんな普通のことをやるわけはなく、バイきんぐ小峠が誤ってダブルブッキングされてしまっており体の左右半分ずつ同時に2つの収録に参加するという企画w
そしてレギュラー第2回の企画は『フワちゃんの浅草のんびりツアー』
もはや恒例となりつつある原田和実ディレクターからの相談の画で幕開け。
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フワちゃん「えぇ!?マジ!?」
原田D「まぁでも一応頑張って何とかはしたので、放送はするんですけど」
そんなこんなで番組はスタート。
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監視カメラの映像で代用www
テレ東の『ハイパーハードボイルドグルメリポート』で知られる上出遼平プロデューサーが手がけた『蓋』を彷彿とさせる幕開け。
蓋(9/6):テレ東で深夜28:10(早朝4:10)から放送された謎の番組。仕掛け人は『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平プロデューサー。何だこれは…?壮大な伏線が張られているのか画面の中にヒントが隠れているのか。全くわからん。だからワクワクする。次回は9/9(木)早朝3:55から。
— 林昌弘,Masahiro Hayashi (@masahiro884) September 7, 2021
一瞬「いや、でもこれ最初の驚きがピークの出オチ企画にならないか?」と心配になるも、ここから怒涛の“映り込み大喜利”が幕を開ける。
感想ツイートには一応わかる人にだけ伝わるように略記で1つネタバレを書いたが、あれ以外にも手を替え品を替え色んな映像を繋ぎ合わせてVTRが作られている。
これを書いている時点ではまだ無料見逃し配信期間なので是非ともその目で。
ちなみに手法自体は映画(特にホラー)ではちょくちょく使われてきたものではある。
(もちろん主流ではない)
ちなみに世の中にはこんな映画も存在する(日本では2017年の東京フィルメックスで上映)|監視カメラの映像だけを用いた劇映画 中国の現代美術家の初監督作「とんぼの眼」 https://t.co/Ok7d4KlbL8 #ここにタイトルを入力 #フワちゃんの浅草のんびりツアー
— 林昌弘,Masahiro Hayashi (@masahiro884) April 19, 2022
ツイートでは『とんぼの眼』を挙げましたが、より多くの人に薦められるエンタメ映画ならやはり『search/サーチ』でしょうね。
映画全編がPC画面上で展開されるアイデア勝負な1本。
search/サーチ:2回目は伏線を堪能しながら。あの人が真犯人というのは普通なら禁じ手なんだけど、きちんと序盤で手掛かりを画面に映してる。そういう意味でミステリーとしても非常にフェアな作り。欲を言えばエンドロールまで『モテキ』みたいにPC画面演出でやってほしかったなー https://t.co/IjpjEhzQQL
— 林昌弘,Masahiro Hayashi (@masahiro884) October 27, 2018
ちなみに監督のアニーシュ・チャガンティは次作の『RUN/ラン』ではアイデア勝負を封印してヒッチコックばりの王道サイコスリラーを正々堂々と撮っているのが凄い。
RUN/ラン:『search/サーチ』のアニーシュ・チャガンティ監督の長編映画2作目。怖かった…あり得たかもしれないバッドエンドの『37セカンズ』とでもいうべき最高に最悪なスリラー。家をはじめとするミニマムな空間であれだけ心臓に悪い展開を成立させる手腕が凄い。PC画面の使い方には思わずニヤリ。
— 林昌弘,Masahiro Hayashi (@masahiro884) June 19, 2021
話を戻しましょう。
ちょっとだけ出演しているナイツがラジオで舞台裏を喋ってくれていた。
塙「先週は小峠さんが体を半分に割られて、こっちでは『ボクらの時代』みたいな番組にトークとして参加してるんだけど、こっちではクイズ番組に参加してるっていう」
相席スタート山崎ケイ「おもろ(笑)」w
塙「そういう面白い企画を考えたディレクターがいるの。4年目ぐらいの。その人がすごい優秀で結構みんな注目してて」
貴重な証言!
やっぱり業界内には比較的小規模な深夜番組でも届くんだな。
土屋「その現場にいるスタッフさんも誰も分かんないって」
塙「ベテランのカメラマンさんも意味わからないって言ってたね」
土屋「だって自分が背負ってるカメラにテープ入ってないんだもん」w
塙「その若手の子(※注:原田D)は頭の中で出来てるから。俺たちもギリギリで分かんないわけ。だから『ちゃきちゃき大放送』が12:45に終わるじゃん?で、13:30ぐらいに浅草着いて。俺その日『漫才サミット』で伊達さんと札幌に前乗りしてジンギスカン食べるって言ってたから、20:30の飛行機取ってたの。浅草のロケが押したら怖いなと思って。13:45に終わった」www
空港で4時間ぐらい暇を持て余した塙www
ところで、この番組を手がけている原田和実ディレクターは劇団を主宰していたそう。
学生時代に演劇をやっていて、自分で脚本・演出する劇団を持っていたんです。ヨーロッパ企画さんの作品が好きで。
個人的に原田Dの企画はこの演劇経験というか作劇のノウハウが活かされているように思う。
ここで三宅隆太監督がとても分かりやすく解説してくれているTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の2021/5/3(月)放送回を引用する。
(9:35頃から「サスペンス、ミステリー、スリラー、ホラーの定義ってそれぞれ何?」というリスナーからの質問に対しての回答)
スリラーっていうのは作劇する側からするとかなりシンプルなルール付けがあって、元々何か達成する目的があってそのプランを進めている人たちもしくは人がいて、そのプランが進行中にそうとは知らずにたまたまそこに関わってしまう特殊な才能を持っていない凡庸な人物がいてですね、その人物が関わったことでプランが折れてしまうと。敵の側からすると。それを何とか元に戻そうとして敵側が四苦八苦していることが、たまたま関わった人物の視点から描くと、急にわけのわからない不条理な理不尽な事件に巻き込まれたように見える。
(中略)
学生がスリラーを書きたいと言う時は必ず敵の方の物語をそれが達成できるっていう所まで一旦考えて。まぁアクションアドベンチャーに近いストーリーラインになるんですけど。それを途中でバツっと折っちゃうと。ここで折れたらどうする?って。で、その前の段階を全部捨てて、その折った人物から話を始める(とスリラーになる)
原田Dが手がけてきた4本の企画
バイきんぐ小峠の今夜もグダグダ気分
バカリズムの恋のお悩み解決TV
クイズ・ファイブセンス
フワちゃんの浅草のんびりツアー
この中で2は完全にスリラーである。
別室で収録を見ている視聴者代表の声がリアルタイムで番組に反映されていき、まさに理不尽・不条理な事態に巻き込まれる出演者たちw
さらに残り3本も厳密にはスリラーではないものの(小峠もフワちゃんもなぜこんな目に遭っているのか一応説明を受けている)テレビ番組制作の過程そのものを三宅監督の言う「プラン」と捉えればどこかでそれを折っている企画である。
1と3は収録前(キャスティングの段階で出演者のスケジュール上の問題が発覚してプランが折れる)
4は撮影後(編集の段階でデータ消失によりプランが折れる)
折れたプランをどうリカバリするか?という発想から企画が生まれているように自分には感じられる。
意識・無意識に関わらずこういう自身の色のある演出家は応援したくなります。
あとはさすがにこういった画期的アイデアを1人で生み出し続けるのは大変だと思うので放送作家との出会いか、と思っていたら…
WACK渡辺社長との対談本で『水曜日のダウンタウン』には「ゼロイチのアイデアがある程度の数を出せる放送作家に7人入ってもらっている」と藤井P。『奥様ッソ』の大森Dや『ここにタイトルを入力』の原田Dにもそんな作家に巡り会ってほしいなと単なる視聴者ながら考えてたら、両方に入っていた竹村武司。
— 林昌弘,Masahiro Hayashi (@masahiro884) April 19, 2022
既に心配無用かもしれない。
さて、次回企画は『バカリズムMCキングオブイリュージョン』
「アメリカズ・ゴット・タレント」を始め世界30カ国以上でTV・舞台に出演、世界が認めるイリュージョニスト・HARAがこの番組の為だけに見せるスーパーイリュージョンショー!
目の前で繰り広げられる前代未聞のイリュージョンの数々に驚きの連続!
MCバカリズムとゲストのシソンヌ長谷川忍、朝日奈央、鈴木福とともにあなたも奇跡の瞬間の目撃者となろう!
HARAさんってあの『ラヴィット!』でAyaさんという視聴者の「ドイツ」というツイートを大バズりさせた人かな?
今度はスタジオ収録中にプランを折るのか、はたまた全く異なる手を見せてくれるのか。
楽しみ。
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