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おっさんのアニメ観 6.声優

これまでの記事:
おっさんのアニメ観 1.世界観
おっさんのアニメ観 2.キャラ
おっさんのアニメ観 3.ストーリー
おっさんのアニメ観 4.音楽(OP、ED、挿入歌)
おっさんのアニメ観 5.作画

 声優はアニメにとって非常に重要な要素。キャラだけでなく、作品そのものに命を吹き込む役割をしている。その演技の巧拙が作品に対する評価を大きく左右することもある。
 主要キャラはもちろんのこと、脇役やキーキャラを誰がどのように演じるかによって、作品から受ける印象は大きく変化する。

 原作が存在する場合は、原作の読者が抱いているキャラの声と実際の声優の声・演技とのギャップが生じるが、それは不可避なこと。読者の脳内イメージを具現化するなど現在の科学では不可能である。

 話は逸れるが、長期にわたって作り続けられている作品は途中で必ず声優の交代が発生する。
 有名なアニメを例にとると、『サザエさん』のように適宜交代していく場合もあれば、『ドラえもん』のように主要キャラ一斉交代ということもある。交代直後は批判などもあるが、視聴者の世代交代も漸次進行するため、次第に話題にも上らなくなる。

 声優は様々な声色を使いこなすことができる。スネ夫、狡噛のニヒルな演技、スーパーハカーのダルが同一人物だとは思えない。関智一はやっぱりすごい。
 女性声優なら、『慎重勇者』のリスタルテと『Re:Creators』の軍服の姫君なんかが良い例かもしない。豊崎愛生は『けいおん』シリーズの唯も演じている。3作品を見比べてみると、その違いに愕然とするのは間違いない。
 
 このように声優は自在に声色を使い分けることで、様々なキャラクターを演じている。そして、それぞれがピタリと当てはまっているのは、素人にはとても真似できない高い技術だと感じる。
 個人的には、上田麗奈、加隈亜衣も声の使い分けがうまいと感じる声優である。

 逆のパターンもある。女性の代表例は早見沙織。男性なら櫻井孝宏。どのキャラもほぼ同じ声で、高低差こそあれ、誰が演じているかがすぐにわかる場合がほとんどだ。しかしである。聞いているとまったく別人に感じられる。
 そのキャラのためにこの声優は存在しているのではないか、というレベルで演じ分けている。感服するしかない。

 例えば、早見沙織演じる鳩子の長台詞(※)の「自分の言葉で語ってよ!」は、心にロンギヌスの槍を刺されるような一言だった。
 そして、櫻井孝宏が放った、忍野メメの「いいよ」は共演した女性声優が歓喜の声を上げるほどのしびれる台詞だった。
 まるで、目の前にそのキャラが存在し、人生を過ごし、心を持ったように感じられるレベルだと私は感じた。

※鳩子の長台詞 【アニメ】知ったか上司に聞かせたい

 二つの要素を両立している声優もいる。真っ先に思い浮かぶのは悠木碧。人間業とは思えない早口。滑舌がすばらしく完全に聞き取れる。
 そして様々な声を使い分けることができる特異な存在でもある。まどかとデグレチャフが同じ喉から出ているのは俄かには信じられない所業。さらにキャラへの感情移入がすばらしく、なりきって演じる様は半端ではない。元子役という経歴から、演技が肉体化されているのかもしれない。

 声優はキャラに命を吹き込む存在である。最近の女性声優には一部アイドル化している人もいるが、皆、声優という本業を重視していることが作品を通して伝わってくる。(小倉唯とかね)

(敬称略)

7.独自性 に続く

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