保険営業よもやま話「研修生制度について」

最近、入社間もない研修生の初期研修を担当することになりました。

自身でも経験した研修生制度ですが、やっぱりおかしい事がたくさんあります。そのあたりを赤裸々に書いてみようと思います。

保険初心者が挑むには高すぎるハードル

代理店研修生の制度についてはこちらの記事をご参考に。

まず、保険の素人から研修生制度を利用するとき、知っておくべきことがあります。それは「収入が安定するためにはどれだけ契約を預かる必要があるのか」です。

損害保険代理店は手数料商売です。

お客さんが保険会社に支払う年間の保険料(掛け金)の一部が、代理店の売上になります。手数料率は代理店さん毎に異なりますが、およそ10%~20%程度。

つまり年間保険料が1,000万円の保有契約で、100万~200万程度の手数料売上です。


具体的にいくら契約もらえたらいいの?

例えば、1年間限定で代理店研修生制度を活用するとして、1年後に代理店に戻り、歩合制で働くとします。

その代理店さんの手数料率が高く、20%だったとします。(20%は高い方です)

もし年収が300万円必要だった場合、一年間の研修期間で獲得すべき保険契約は、年間保険料で1,500万円のご契約となります。

一般的に、自動車保険の平均保険料は年間5万円とされていますので、一年間で300件の契約が必要という事に…。

もちろん、手数料がもっと低ければ契約はもっと必要です。

手数料率の高い種目(企業の賠償責任保険や火災保険、生命保険など)を多く扱えば、その分収入は安定します。

あくまでも単純化すると、という話です。


ノルマと実際のギャップ

保険会社によって異なりますが、ガイドラインと呼ばれるノルマ設定が必ずあります。詳しくはこちらで。

某社でのガイドラインは、入社10か月末までに損害保険契約300万円です。

結構このノルマ設定も大変なんですが。。

でも上述の通り、1年後に代理店で食べていこうと思ったときには、とてもじゃないけど300万円ではやっていけません。

1年で1,000万~1,500万円は必要なんです。

でも、ほぼ無理ゲーです。


これから研修生制度にチャレンジする方へ

もし代理店から十分な説明を受けることなく、この制度に挑戦した方は、間違いなくその研修生期間中に絶望を覚えることでしょう。

自分が成功するイメージをもって挑戦したのに、現実を目の当たりにして、保険の仕事からも離れてしまう方たちをたくさん見てきました。

そうならないために、チャレンジする前にやるべきことをまとめておきます!

【十分な貯えを!】

代理店に帰っても生活に困らない程度の貯蓄をしておくことをお勧めします。

【代理店の店主と話し合い、給料を固定給にしてもらう】

案外、このあたりの打合せをせずに研修生になる人が多いです。ご自身の人生です。ご自身の将来の給料についてしっかりと研修期間が始まる前に話し合っておかれることをお勧めします。

【挑戦前に十分な見込み客を増やす】

自動車保険や火災保険など、「どうせ同じ保険ならあなたで入ってあげる!」と言ってくださる知り合いをたくさん見つけましょう。そして、出来るだけその情報を集めて、エクセルなどにまとめて管理しておきましょう!


今後の保険業界は…

ここまで準備して、いざ研修生にチャレンジしたとしても、保険業界の今後は荒波です。

ネット通販型がもっと広がり、自動車が自動化したらそもそも保険すらなくなる可能性もあります。

なにより、人口がどんどん減少していくことが決まっています。パイの取り合いで、今までのように大きく稼ぐことが、そもそも難しい時代になるでしょう。

この辺りを踏まえたうえで、それでも保険業界に入って頑張りたいという方がいらっしゃったら、ぜひ自分のためにではなく、目の前のお客さんのために、最適な補償を提案できる募集人を目指してください。





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