ガレージ


シャッターを開けるボク
ガレージに眠る
純正色より更に明るい銀色に光るその車体
走るために改造されたすべてのパーツ
ボクはコクピットに腰を降ろす
マスターキーを差し込みエンジンに火を入れる
走り出すそのクルマ <スープラ>
濡れた街路
乾き出したアスファルト
真夜中の高速道路
突如スピードは上がる
流れる景色
光の示す路
迷う事なくアクセル踏み込む
最高速に向け加速は続く
闇を切裂くその速度
夜明けに向かうこの空
朝日はその速度域を終れと知らせる
ボクは高速を降りる
いつもの店
いつもの珈琲
一息ついて
ガレージに戻る
<スープラ>は
シャッターの中でまた眠る
隣のシャッターを開け
BMWに乗り換え
ボクは仕事へと向かう。。。。

また別の日、休日は
さらにその隣のシャッターを開ける
そこに眠っているのは
オープンカー
休みの日はメインで使うのはこれ。
軽快に走るこのクルマ
ライトウェイトスポーツ
日本が世界に誇れるクルマの一つ
ロードスター
適度に改造されたそれは
路面を滑るように走る
爆音を鳴らし走る
漆黒の闇夜を駆け抜ける
狂った様な速度域
明るい赤色のその車体
照し出すその先に映るアスファルト
フロントガラスに当たる小さな石たち
見えないその先見つめながら
予測が出来ない先の動きを感じ走る
何もかも忘れてしまうその時間
生死を掛けるその時間
見える小さな不安
感じる路
寸分狂わずトレースする恐怖
下り坂、上り坂
右へ左へのコーナーを脱ける
峠道
だけど、それは次第に解ける感覚
コーナーを一つ脱けても次のコーナー
幾度も続く
そこに鳴り響くタイヤの滑るスキール音


慣れなど必要のない世界
慣れてしまえばどうって事のない世界
でも死と隣り合わせの世界
そこに慣れてしまわないように。。。。
ガレージのシャッターはボクの一つの儀式

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